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THE BADGE「飛べない天使」

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1983年5月発表のアルバム『Touch』より。 ザ・バッヂ。彼等唯一のアルバムが再発された2004年まで、実は音を聴いたことがなかった。活動期間が1982~1986年で、私が熱心に音楽を聴いたり見たり情報を集めたりしていた時期と重なるのだが、レコードを借りたりもしなかったし、 ライブで目当てのバンドの対バンになっていたことも無かった。 もっとも私がこの時期(幾分ダークな)ニューウェイブに興味が向いていて、ザ・バッヂのようなサウンドに興味が無かったからかもしれない。 バンド名やアルバムの黒いスーツの描かれたアルバムジャケットは当時から知っていたが、 この頃では中古でも見なくなっていたので、2004年のCD化を機に手にとって聴いてみた。 ザ・ジャムとして来日した時のポール・ウェラーに気に入られたという事やバンドの写真をみても想像できるザ・ジャムの影響下にあるサウンドだが、 それだけでは括れない魅力がある。ビタースウィートなボーカル、ハーモニー、印象的なメロディ、時にシャープで時に余裕のあるサウンド...。 「飛べない天使」はイントロがちょっぴりニック・ロウの「Cruel To Be Kind(邦題:恋するふたり)」を思わせるポップなナンバー。 ザックリとしたアコースティックギターの響き、“Never Smile, Never Cry~”と歌われるところの流れるようなベースラインがいい。 自分の感情表現やトライする気持ち、自分の音楽さえも押さえつけられた“飛べない天使”たちの苛立ちを歌った曲で、 “こんなはずじゃなかったさ/なにかが違いすぎる/夢のないステージに/爪をかみ冷たい夜を待つ”というフレーズなどを聴くと、 ザ・バッヂのメンバーが歩んできた、これまでの音楽活動を振り返った気持ちが込められているかもしれない、と思ってしまう。 今ザ・バッヂの音源は初期の未発表音源のリリースや、テイチク時代、キング時代とリイシューが進んでいる。 CDの演奏を聴く度に彼等のライブを体験したかったと思う。それはもう叶わぬ事なのだが...。