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私の放浪音楽史 Vol.113 ECHO & THE BUNNYMEN『HEAVEN UP HERE』

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1981年5月30日、KOROVAよりリリースのアルバム(UK)。 鮮烈なデビューアルバムと楽曲のスケールを拡大した『ポーキュパイン』に挟まれた第2作。ややいぶし銀的な印象を受けるが、1曲1曲は硬く芯まで凍りつき、それぞれの曲から痙攣するような振動が感じられるだろう。まるで抜き身の刃のような青白い妖気を漂わせる緊張感に満ちた名盤である。 アルバムのオープニングは1980年11月BBCのジョンピールセッションでは「That Golden Smile」として演奏していた「Show of Strength」で“Your golden smile would shame a politician”という歌詞が歌われている。うねりのあるギターフレーズがかっこいい。続いてスピード感のあるパンキーな印象の「With A Hip」、ライヴEP『シャイン・ソー・ハード』に収録されていた「Over The Wall」はもくもくと湧き上がる灰色の雲のような不穏なイントロからタイトでパーカッシヴなドラミングがダイナミックな曲。ファンキーな印象の「It Was A Pleasure」、シングル曲の「A Promise」。アナログ盤ではここまでがA面。 ノイジーなギターが炸裂するタイトルトラックの「Heaven Up Here」、シンプルかつサイキックな小品「The Disease」、ライヴEPでは「Zimbo」というタイトルだった「All My Colours」、ユニークな印象もある「No Dark Things」、粉砕するように攻撃的なサウンドの「Turquoise Days」、“私が望むもの全てが私は欲しい 私が愛しむもの全てを私は愛す 間違いを犯したとしても、誰がそれを責められよう”(大意)と歌われる「All I Want」がラスト。バニーメンの歌詞って全体的にフィロソフィーとメランコリーが混在しているよね…。 スパイキーでタイトな演奏が充実したこのアルバムはイギリスでトップテンヒットとなった。 このアルバムを含むバニーズ初期4枚の美しいアルバムジャケットを撮影したフォトグラファー、ブライアン・グリフィン(Brian Griffin)は2024年に亡くなっている。

私の放浪音楽史 Vol.112 ECHO & THE BUNNYMEN『SHINE SO HARD』

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1981年、KOROVAよりリリースの12インチライヴEP(UK)。 1981年1月17日、ボクストンのパヴィリオン・ガーデンズでおこなわれたライヴを収録した短編映像作品『SHINE SO HARD』のサウンドトラックとしてリリースされた。ファーストアルバム『クロコダイルズ』から「Crocodiles」と「All That Jazz」が、後のセカンドアルバムに収録される「Zimbo」(後の「All My Colours」)と「Over The Wall」の4曲を収録している。 この12インチ、ジャケットはかっこいいし、バニーズのライヴ演奏が聴きたくてぜひとも入手したかったが1980年代中旬、新宿のコレクターズショップではかなり高額で売られていてなかなか手に入れられなかった。私が『SHINE SO HARD』を聴いたのはリリースから随分経ってからで、これはお茶の水にあったシスコで購入したと記憶している。私の12インチはニュージーランド盤で、買った値段は覚えてないけどコレクターズ価格ではなかったと思う(オリジナルUK盤は文字がグリーンなんだよね…)。 ラフでフリーキーになった「Crocodiles」、Zimboという言葉が繰り返し歌われ催眠的な効果を生みだしている「Zimbo」。そして特にピート・デ・フレイタスのパーカッシヴなドラミングは、アタックの強いドラムロールで高揚感をもたらす「Over The Wall」や「All That Jazz」、エキゾチックなムードを演出する「Zimbo」で印象に残る。「Zimbo」の歌詞がアルジャーノン・ブラックウッドの小説『ジンボー』(原題:Jimbo: A Fantasy)にインスパイアされたのではないか、ということを読んだのは日本では1983年12月に来日記念盤としてリリースされた『エコー・アンド・ザ・バニーメン(ネヴァー・ストップ)』に封入されていた大野祥之のライナーノーツだった。そこには“主人公のジンボー少年の肉体と心が分離して、心が閉じ込められながらも、最後には閉じ込められた部屋の外へ飛び出す”というストーリーが紹介されている。今回セカンドアルバムに収録されている「All My Colours」の歌詞を読んで、“Flying”ではじまり、“What d'you say when your heart's i...

私の放浪音楽史 Vol.111 ECHO & THE BUNNYMEN『CROCODILES』

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1980年7月18日、KOROVAよりリリース(UK)。 私がこのバニーズのデビューアルバムを聴いたのは3枚目のアルバム『ポーキュパイン』の後だから、1983年後半頃か。最初に入手したのは日本盤のアナログだった。オレンジやグリーンに照らされた夜の森に佇むメンバーを写したジャケットがアーティステック(フォトグラファーはブライアン・グリフィン)。シャープで躍動感のある粒揃いでコンパクトな曲が並んでいる。ブロデュースはビル・ドラモンドとデイヴィッド・バルフの変名ザ・カメレオンズと、一部イアン・ブロウディ。 フィードバックノイズの霞の中からリズムがフェイドインしてくる「Going Up」、後にリリースするライヴEPのタイトル『Shine So Hard』になる“Stars are stars and they shine so hard"という歌詞の一節があるメランコリックな「Stars Are Stars」、“キーモン、キーモン”というモンキーを逆さ言葉にして繰り返し歌う「Monkeys」、ライヴでは長尺になるがアルバムではザクザク、ジャキジャキのギターがかっこいいスピーディなタイトルトラック「Crocodiles」、シングル曲「Rescue」とその12インチのカップリング曲「Pride」(この2曲のプロデュースがイアン・ブロウディ)、ピアノの旋律が印象的な「Villiers Terrace」、ZOOからのファースト・シングル収録曲の再演「Pictures On My Wall」、躍動感に満ちた「All That Jazz」と「Happy Death Men」でアルバムは終了。 タイトでパワフルなピート・デ・フレイタスのドラムとグルーヴィーなレス・パティンソンのベースは鉄壁のリズム隊。そして鋭利なフレーズを奏でるウィル・サージェントのギター、艶やかな響きのイアン・マッカロクのヴォーカル。スペシャルなクリエイティヴティはこの4人ならではのものだ。キーボードはデイヴィッド・バルフが弾いている。 この日本盤はUKリリースと同仕様10曲入りで、バンドの代表曲のひとつ「Do It Clean」とジュリアン・コープとイアン・マッカロクの共作「Read It In Books」はアルバムに収録されていなかった。イリギス盤にはその2曲を収録したシングルが付属している限定盤がある...

MY PLAYLIST Vol.10『TRIBUTE TO THE VELVET UNDERGROUND & NICO』

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ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』。1966年にほぼ4日間で録音され、リリースされた1967年当時は全米ビルボードチャートの171位という結果だったが、1970年代後半のパンク、ポスト・パンク、ネオ・サイケデリックの多くのバンド・アーティスト達に支持された。いわくこのアルバムを聴いた奴は“全員が音楽を始めた”という。幻想と現実、ハーモニーとカオスをポップ・アートで包み込んだ『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』は、今となっては絶大な影響力を持つモンスター・アルバムである。 数多くのカヴァー・ヴァージョンがあるが、手持ちのディスクから、以下、私の選んだ『TRIBUTE TO THE VELVET UNDERGROUND & NICO』  1. Sunday Morning  Strawberry Switchblade  2. I'm Waiting For The Man Vanessa Paradis  3. Femme Fatale Teenage Fanclub  4. Venus In Furs Jim O'Rourke  5. Run Run Run The Motorcycle Boy  6. All Tomorrow's Parties Japan  7. Heroin  Echo & The Bunnymen  8. There She Goes Again R.E.M.  9. I'll Be Your Mirror The Primitives 10. The Black Angel's Death Song Smile Kick 11. European Son Ride Track 1. 12インチ・シングル「 Since Yesterday」(1984年) Track 2. アルバム『ビー・マイ・ベイビー(原題:バネッサ・パラディ)』(1992年) Track 3. CDシングル「 Ain't That Enough」 (1997年) Track 4. 10. Various Artists『VUトリビュート RABID CHORDS 002』 (2000年) Trac...

私の放浪音楽史 Vol.87 ECHO & THE BUNNYMEN『SEVEN SEAS』

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1984年7月6日、Korovaよりリリースの12インチ・シングル。 エコー&ザ・バニーメンのアルバム『オーシャン・レイン』からのシングルカット。 私が購入したのは輸入盤の12インチで、カップリングにはビートルズのカヴァー「All You Needs Is Love」と「The Killing Moon」、「Stars Are Stars」,「Villiers Terrace」を収録。7インチ「Seven Seas c/w All You Need Is Love」、12インチ収録曲を7インチ2枚に収録した限定盤もリリースされている。 「Seven Seas」はアコースティック・ギターの涼やかな響きで始まり、軽やかなベースラインとタイトなドラムにのせイアンのヴォーカルは高らかに艶やかに響く。チャイムが鳴り渡ると弦楽とともに盛り上がるサビ部分を持ったポップなナンバー。 この曲では各地を巡る、ユニークな寸劇仕立てのプロモ・ヴィデオがつくられ、リヴァプールのロイヤル・リヴァー・ビルディングから出発。そこにはリヴァプール・エコー紙を読むピート・デ・フレイタスが。レイキャビックではペンギンの絵をバックに歌うイアン。それにウッドベースを抱えたペンギン姿のレスが登場するが、アイスランドにペンギンはいない…のでは。赤旗たなびくレニングラードではウィルと思われる半魚人登場。これはソヴィエト映画「両棲人間」をモチーフにしたのか…な。ハンブルグではビートルズゆかりのスタークラブ前で歌い、アムルステルダムではイアンが女装姿でメンバーを誘う(!)Red Lightな雰囲気。ヴェネツィアのカナル・グランデに架かるリアルト橋を鑑賞し、カサブランカではハンフリー・ボガードの絵を前にハリボテ魚と共にメンバー退場、で終了。七つの海を渡る、というよりはヨーロッパ旅行的な感じ…か。 カップリング収録された4曲は、リヴァプール出身の元ボクサー、ブライアン・マキャフリイ(Brian McCaffrey)が営む食堂を取り上げた英チャンネル4のテレビ・ドキュメンタリー番組 「Play At Home, Life At Brian's -Lean And Hungry」のために録音されたヴァージョン。レコーディングはリヴァプール・カテドラルで録音されている。ボンゴやクラリネット、シタール、ハープシコードなど...

私の放浪音楽史 Vol.86 ECHO & THE BUNNYMEN『OCEAN RAIN』

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1984年5月4日、Korovaよりリリースのアルバム(日本では1984年6月5日、ワーナー/Korovaよりリリース)。 印象的なアルバム・ジャケットは、シングル「Silver」と同じイングランド南西部のカーングレーズ洞窟の地下湖で撮影されている。バニーメンはこのアルバムの主なレコーディングをフランス・パリでおこなったが、ジャケットを撮影したブライアン・グリフィンはパンドの写真をパリではなく、風景の中で撮影したいと考えたようだ。そのおかげで息を飲むような美しいジャケットを我々は手にすることができた。 BRIAN GRIFFIN ALMUM COVERS ECHO AND THE BUNNYMEN ブライアン・グリフィンのサイトには別カットが2枚掲載されている。 そのうちの1枚は2001年にライノからリリースされた4枚組コンピレーション『CRYSTAL DAYS 1979-1999』のジャケットに使用された(よく見ると裏焼きだな…)。 アルバムをパリでレコーディングしたのは、ヨーロッパ的な雰囲気を持ったシンプルで美しいものにしたいというバンドの希望からで、フランス・パリのスタジオ・Des Dames,(デ・ダム)とスタジオ・Davout(ダブー)でおこなわれている。また、ラヴのアルバム『フォーエヴァー・チェンジズ』のような管弦楽を使用したいと考えていたようだ。『オーシャン・レイン』のストリングス・アレンジは1980年代のバンド、ザ・フラワーポット・メンのアダム・ピータースが担当している。 先行シングルの「Silver」に続く、寂寥としたダークで重厚、ドラマティックなアレンジの「Nocturnal Me」は、イアンの高音〜低音を駆使したヴォーカルもスリリング。 “ 僕らに馴染まないやりかたを清らかにし、僕らの透き通る日々を広げていこう ”と歌われる明るい響きの「Crystal Days」だが、混沌としたウィル・サージェントのギターソロも耳に残る。 いつも上がったり下がったりのヨーヨー人間というユニークな「The Yo Yo Man」は、中間にファンタジックな転調部を持った曲。もともとは「Watch Out Below」というタイトルだった。 「Thorn of Crowns」は、ウィルによれば荒涼としたヨーロッパ海賊のイメージということだが、ボ・ビート・ライクなリズム...

私の放浪音楽史 Vol.85 ECHO & THE BUNNYMEN『SILVER (TIDAL WAVE) 』

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1984年4月13日、Korovaよりリリースの12インチ・シングル。 エコー&ザ・バニーメンの12インチ・シングルは『Never Stop (Discotheque)』のあと、1984年1月にUKリリースされた傑作12インチ『Killing Moon (All Night Version)』を購入、ジャケと内容の素晴らしさに私は更にバニーメンの音楽へと傾倒していった。続いて1984年4月にUKリリースされたのが12インチ『Silver (Tidal Wave)』で、カップリングには「Silver」の7インチ・ヴァージョンと「Angels And Devils」が収録されている。7インチ「Silver c/w Angels And Devils」も同時に発売された。 「Silver (Tidal Wave)」は、イントロに流麗でパワフルなストリングス・パートを追加し、1分50秒ほど長く、5分12秒に仕上げたヴァージョン。弦の響きがまるでTidal Wave=大波のように迫りくる音像をつくりあげた。それは真新しい冒険の日々にのりだす船乗りたちの気分のように高揚した音楽だった。個人的にはもう少し長くしても良かったのではないかと思ったけど。 初期バニーメンの切っ先鋭いソリッドなサウンドからは予想もつかない、クラシカルなストリングスを大胆に採用。ストリングス・アレンジは1980年代のバンド、ザ・フラワーポット・メンのアダム・ピータースが担当しており、当時流行していたシンセサイザーを多用した楽曲に対するイアン・マッカロクのアンチな気持ちをどこかで読んだ気がするが、徹底して生のストリングスに拘ったアレンジとなっている。バンドも骨太リズム隊を核に、ウィル・サージェントのアコースティック・ギターと繊細なエレクトリック・ギターの音色、イアンのコーラスも加わり、新鮮で豊潤な響きを持った楽曲になった。 前作「Killing Moon」は全英シングル・チャート9位となるヒットを記録したが、「Silver」は全英シングル・チャート30位止まりとなった。 この曲の録音はフランス・パリのスタジオ・ダヴー(DAVOUT)で行われ(余談だけどルースターズ が後にアルバム『パッセンジャー』の録音で使用した)、プロデュースはAll Concerned(全ての関係者)となっているがバニーメン自身と...

ECHO & THE BUNNYMEN『THE JOHN PEEL SESSION 1979-1983』

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2019年10月、WEAよりリリースのアルバム。 Echo & The Bunnymenが1979年から1983年にかけてBBCピール・セッションで録音・放送した楽曲を集めたアルバムがリリースされた。 当初9月にリリースのアナウンスがあったが、日本では10月になって販売が始まったようだ。 収録されている演奏が録音された日付は、 [1] 1979年8月15日 [2] 1980年5月13日 [3] 1980年11月4日 [4] 1982年1月27日 [5] 1983年6月6日 [6] 1983年9月19日 の6回で、[1]、[3]、[6]のセッションは4曲、他のセッションは3曲、計21曲が収録されている。 これまでにも[1]のセッションの4曲はStrange Fruitからアナログ盤やCDがリリースされていたし、 [1]のセッションからの「Villiers Terrace」はオムニバス・アルバム『To The Shores of Lake Placid』や4枚組ボックスセット『Crystal Days 1979-1999』に収録。 [4]のセッションの「No Hands」と[6]のセッションの「Watch Out Below」も4枚組ボックスセット『Crystal Days 1979-1999』に収録されていた。  1997年にリリースされたバニーメン復活作『Evergreen』の限定盤に、10曲入りの “ History of The Peel Sessions 1979-1997 ”と題されたボーナスディスクが付属していたことがあるが、バニーメンの最初期から成功を手に入れる1983年までにおこなわれたピール・セッションの演奏全6回がまとまってリリースされるのは初めてのことだ。 1回目のセッションは、Zoo Recordからファーストシングルをリリースしたばかりの初期のもので、イアン、ウィル、レスの3人に、ドラムマシンを使用して演奏されている。「I Bagsy Yours」は「Monkeys」の初期ヴァージョン。 2回目のセッションはドラムにピートが参加後の録音で、ファーストアルバム『クロコダイルズ』リリース直前、同アルバムから2曲、後にライヴEP『Shine So Hard』やセカンドアルバムに収録される「Over The Wall」も演奏している。...

私の放浪音楽史 Vol.82 ECHO & THE BUNNYMEN『NEVER STOP (DISCOTHEQUE)』

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1983年7月、KOROVAよりリリースの12インチ・シングル。 『Never Stop (Discotheque)』は私が最初に購入したエコー&ザ・バニーメンの12インチ・シングルだったと思う。 友人に見せてもらった今はなき雑誌“DOLL”に掲載されたエコー&ザ・バニーメンのディスコグラフィ。リリースされたばかりだった前回紹介のミニアルバム『Echo and The Bunnymen』までが掲載されていたから、おそらく1983年末か1984年初めころの号だったのだろう。1ページの半分をシングルとアルバムのジャケット写真、残りの半分を黒田義之による文章で、7インチや12インチ、オリジナル・アルバム、オムニバス・アルバムの内容やリリース時期を簡潔だがポイントを押さえて紹介していた。今とは違ってディスクの情報が乏しい時代、オリジナル・アルバムとミニ・アルバム以外は全部輸入盤のみのディスクということもあり、たった1ページのディスコグラフィだが非常に重宝したものだ。このディスコグラフィを読んでバニーズはアルバム未収録の12インチ(の特にB面)を聴かないとダメだなぁ、と思い、ジャケットも綺麗だし手に入れたいと思うようになった。 だけどこの時点で容易に新品で入手できる12インチ・シングルはこの『Never Stop (Discotheque)』だけだったんじゃないかな。たしか池袋のOn Stage Yamano/山野楽器で購入したと思う。まぁ取寄せ注文をしたり中古で高めの値段を出せばこれ以前のシングルも手に入ったと思うが。 「Never Stop (Discotheque)」は前回で紹介したし、アルバム未収録ヴァージョンのカップリング「Heads Will Roll(Summer Version)」と「The Original Cutter-A Drop In The Ocean」の2曲も、前々回のアルバム『ポーキュパイン』の回で紹介したんで省略するが、ロイヤル・アルバート・ホールの写真に着色された花と空の青が美しいジャケットも魅力。 英盤の7インチは「Never Stop c/w Heads Will Roll」のカップリングで、7インチ・ヴァージョンの「Never Stop」とアルバムからの「Heads Will Roll」が収録されていたが、日本盤7インチ(たぶん日本で初...

私の放浪音楽史 Vol.81 ECHO & THE BUNNYMEN『ECHO AND THE BUNNYMEN(ネヴァー・ストップ)』

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1983年12月21日、ワーナー/コロヴァよりリリースのアルバム。 エコー&ザ・バニーメンのミニ・アルバム。バニーズのレコードでは2枚目に購入したと思う。 1983年10月から行われた、日本を含むアジア、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカをまわるワールド・ツアーにあわせて、ツアー先の国々でリリースされた。バニーズは1984年1月に初来日しているが、日本では来日記念盤として1983年12月21日にリリースされている。 メインはA面の1曲目「Never Stop (Discotheque)」で、イギリスでは1983年7月にリリースされたシングル曲の12インチに収録されていた“ディスコティック”ヴァージョン。7インチ収録ヴァージョンより1分ほど長いロング・ヴァージョンになっていて、この12インチ・ヴァージョンのミックスはデイヴィッド・バルフとバニーメンによるもの。 1983年当時、エレクトロ一辺倒のディスコ・ミュージックに対抗する意識もあったのだろうか、チェロなどアコースティックな弦楽器を使用し、弦の響きやピアノ、パーカッションを上手く使ったダンス・ミュージックに仕上げられた、いわばウッド・テイストのディスコ・チューン。 プロデュースはヒュー・ジョーンズ。日本盤帯には英ダンス・フロア・チャートで1位を記録した、とある。「Never Stop」はイギリスのシングル・チャートでは15位を記録した。 「Never Stop (Discotheque)」に続いては、時代をさかのぼり1980年リリースのセカンド・シングル曲でファースト・アルバム『クロコダイルズ』収録曲「Rescue」、それにアルバム『ポーキュパイン』からのシングル曲「The Cutter」でアナログ盤はA面終了。 B面はアルバム『ポーキュパイン』収録のシングル曲「The Back of Love」で始まり、このミニアルバムのもうひとつのハイライト、「Do It Clean」のライヴ・ヴァージョンが2曲目に収録されている。 1983年7月18日、ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールにおけるライヴ・ヴァージョンで、 セカンド・ギタリストやストリングスも参加、後半イアンが即興的に歌うビートルズの「All You Need Is Love」、ジェイムス・ブラウン「Sex Machine」、ナット・キング・コール「...

私の放浪音楽史 Vol.80 ECHO & THE BUNNYMEN『PORCUPINE』

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1983年3月12日、ワーナー/コロヴァよりリリースのアルバム。 エコー&ザ・バニーメンの3枚目のアルバム。私にとっては初めて聴いたバニーズのアルバムだった。この頃のバニーズは音楽雑誌の評論家やミュージシャンの間でも評価が高く(花田裕之も気に入ってるバンドだってインタビューで答えてたし、ゼルダのさちほも1983年のベスト・アルバムに『ポーキュパイン』を選んでた)、中古で売っていたこのアルバムを見つけ購入。たぶん1984年の春頃だったと思う。 まずそのジャケットからしてアーティスティックで、凍り付いた広大な滝を見下ろす場所に佇むバニーメン。アナログのLPジャケットはちょっとした迫力だ。 イントロのヴァイオリンの響きがエキゾティックな印象の1曲目「The Cutter」。 ショットの強烈なピート・デ・フレイタスのドラム、ビートに絡みつくようにグルーヴを生み出すレス・パティンソンのベース、空気を切り裂き・震わせるウィル・サージェントのギター、甘くクールなイアン・マッカロクのヴォーカル。冒頭からバニーズの世界に引き込まれる。「The Cutter」はイギリスでは1983年1月にシングル・リリースされ、バニーズとしては最初のトップ10ヒット(全英8位)となったナンバー。 ヴァイオリンを弾いているのはインド人ヴァイオリニストのシャンカールで、ウィル・サージェントがシャンカールに“キャット・スティーヴンスの「Matthew & Son」のメロディみたいなイントロをつけてくれ”と言ったことから、このヴァイオリンのイントロが加えられたという。もともとのアレンジはイアン曰く“ウィルのスパイキーなギターがグレートなナンバー”で、少しテンポが遅い。(この元のヴァージョンは「The Original Cutter」として1983年7月にイギリスでリリースされた12inchシングル「Never Stop」のカップリングに収録された)。 2曲目「The Back of Love」はイギリスではアルバムに先駆けて1982年5月にシングルリリースされ彼等初のトップ20(全英19位)となったナンバー。もともとは少しスローな曲調で“Taking Advantage”という曲名だった。1982年2月にBBCラジオで放送されたピール・セッションにその曲名での演奏が残されている。 英国人作家ジョン・ウ...

ENGLAND UNITED「(HOW DOES IT FEEL TO BE) ON TOP OF THE WORLD」

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1998年リリースのシングル。 2014年サッカー・ワールドカップ・ブラジル大会はベスト4が出揃った。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、オランダ。ネイマールの残念な負傷もあった。どれもタフなゲームだった。 日本代表は6/27に帰国し1,000人が空港で出迎えたというが、イングランド代表の帰国にはたった1人なんて話題もあった。 さて私のCDラックから取り出したのは1998年フランス・ワールドカップのイングランドチーム公式ソングの 「(How Does It Feel To Be) On The Top of The World」。 アーティスト名は“イングランド・ユナイテッド”となっているが、Echo & The Bunnymen、Ocean Colour Scene、Spice Girls、Spaceのメンバーが参加したもので、なかなか(当時としては)豪華な布陣。英国のヒット・チャートでは健闘したものの、評判は良くなかったようだ。曲はイアン・マッカロクとジョニー・マーの共作。馴染み易いが平坦で装飾過多なポップ・ソング。前回取り上げたニュー・オーダーのような鋭さには欠けていると思う。ただヴィデオはモーフィングを使って面白く出来上がっているから、子供達に受けそうなイメージ。このヴィデオ込みでは楽しめる。ヴィデオを観ると、まだレス・パティンソンがいる!オーシャン・カラー・シーンからはサイモンのみ参加しているようだ。   “世界の頂点に立つってどんな感じ?”と繰り返す曲だったが、1998年のイングランド代表は決勝トーナメントの初戦アルゼンチンにPK戦の末敗れ姿を消した。

OMNIBUS a Go Go Vol.92『UNDER THE COVERS other people sing other people's songs』

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OMNIBUS a Go Goで紹介するものはカヴァー・アルバム、トリビュート・アルバムは除外していたのだけれど、1988年にリリースされた『アンダー・ザ・カヴァーズ』は思い入れのあるアルバムなので取り上げてみたい。 自分のお気に入りのニュー・ウェイヴ系アーティストのカヴァー・ソングを集めてカセット・テープを作るのに重宝した1枚でもある。このアルバムは発売されてすぐCDで買ったが、1988年当時、自分で曲を集めオムニバスを作るのはCD→CDRでもCD→iPodプレイリストでもなく、 もちろんカセットテープだった。 このアルバムからはバニーメンのドアーズの超名カヴァー「People Are Strange」(シングルで聴いていたけど)、イアン・マッカロクのソロでスタンダード・ナンバー(もとはウォルター・ヒューストン)の「September Song」、この曲からスモール・フェイセスにたどっていったプリテンダーズの「Whatcha Gonna Do About It」、バニーズ繋がりでもあったからディスクを集めたストロベリー・スウィッチブレイドのドリー・パートンのカヴァー「Jolene」、ジーザス&メリー・チェインのビーチ・ボーイズのカヴァー「Surfin' USA」(セカンド・アルバムのアウトテイク)、シャレがキツイなと思ったがヴァン・ヘイレンの曲をヴェルヴェッツ・フレイヴァー(「Sweet Jane」風かつ後半フリーキー)でカヴァーしたアズテック・カメラの「Jump」 あたりをセレクトしていたと思う。 それにオランダのシンガー、マチルダ・サンティングの繊細な「Love of The Common Man」を聴いてトッド・ラングレンのアルバム『フェイスフル』を手に入れたし、スタン・キャンベル(スペシャルA.K.A)の有名曲カヴァー「Don't Let Me Misunderstood(悲しき願い)」もソウルフルな歌声が素晴らしい。キリング・ジョークのメンバーだったマーティン“YOUTH”グローバーがいたブリリアントはジェイムス・ブラウンのレゲエ・カヴァー「It's A Man's Man's Man's World」で、シンセ主体のサウンドとジューン・モンタナのヴォーカルがクールだ。 他にはアソシエイツのダイアナ・ロスの...

ECHO & THE BUNNYMEN「NOCTURAL ME」

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2009年5月リリースのアルバム『Ocean Rain Live 2008』より。 イアンのソロ再発と一緒に気付いたのがこれ。 エコー&ザ・バニーメンのオフィシャル・サイトで販売されていたライブ・アルバムCDで、 2008年12月27日、地元リヴァプール・エコー・アリーナでおこなわれた、アルバム『オーシャン・レイン』(1984年リリース)再現ライブを収録。CDの販売は既に終了しているが、iTunesで配信されているので聴く事が出来た(Amazonでもダウンロード販売がある)。 異論もあろうがアルバム『オーシャン・レイン』がバニーズのひとつの到達点である事は間違いないだろう。個人的にはこのアルバムが最高傑作と思っている。 「Silver」、「Killing Moon」、「Seven Seas」という必殺のシングル3枚を含み、他にも「Crystal Days」、「My Kingdom」、タイトルトラック「Ocean Rain」というアコースティックな雰囲気の柔らかな名曲があり、変則ボ・ビートでドアーズに通じる迫力ある演奏の「Thorn of Crowns」、映画音楽のような不思議な「The Yo-Yo Man」、この2曲はネオ・サイケデリックと呼ばれたバニーズの面目躍如といったところ。 オーケストラによる弦の響きが緊張感を生む「Nocturnal Me」はアルバムでは2曲目に配され、オープニングの「Silver」と3曲目「Crystal Days」というポップな曲を繋ぐダークでメランコリックで重層な佳曲。 そう、全9曲が素晴らしく、曲の並びも含め、ジャケットから演奏の内容までパッケージされた全てに必然性が感じられる稀有なアルバムだ。イアン・マッカロクにとってもこのアルバムは特別の思い入れがあるに違いない。 再現ライブ・アルバムから選んだのは「Nocturnal Me」。これまでこの曲のライブ・バージョンは聴いた事がなかったし、緊張感のあるアレンジはそのままだ。イアン・マッカロクのボーカルは年相応の衰えを感じさせるが、それさえも枯れたものとしての魅力を感じさせてくれるライブ・バージョンだ。 他のトラックでは大合唱が起こる「Killing Moon」、「Ocean Rain」。前者は “うーん皆歌うか…”と感じ、後者は “皆に愛されている曲だ ”と思った。ただ、このライブ盤...

OMNIBUS a Go Go Vol.74『TO THE SHORES OF LAKE PLACID』

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イギリスのインディ、ZOOレコードから1982年3月にリリースされたコンピレーション。ZOOはビル・ドラモンド、デビッド・バルフによって1978年に創立され、 2人が関わっていたビッグ・イン・ジャパンを皮切りに、ティアドロップ・エクスプローズ、エコー&ザ・バニーメン、ロリ&ザ・カメレオンズ、ゾーズ・ノーティ・ランプス等リバプール周辺のバンドのレコードをリリースしていた。 このコンピレーションはZOOがリリースした楽曲やビル・ドラモンド&デビッド・バルフ達が制作に関わっていた楽曲(当時の未発表曲を含む)を集めたもので、個人的には1980年代に入れ込んでいたエコー&ザ・バニーメンの曲を目当てに、確か雑誌DOLLかなにかに載っていたバニーズのディスコグラフィ(それも1ページにまとめたもの)にこのコンピがあると知って、探して中古で購入。このままでのCD化はされていないと思う。アナログのフロント・ジャケットの“ZOO”の文字はエンボス加工されていた。 バニーズはまだイアンとウィル、レスの3人とドラムマシーン“エコー”を使用している最初期の録音で、ZOOレコードからリリースしたバニーズの1stシングル「The Pictures On My Wall c/w Read It In Books」の両面を収録している。このシングル・バージョンは今では再発もされてるし、4枚組『Crystal Days 1979-1999』でも聴けるけど、当時なかなか目にしたことは無く、あっても結構な値段していたので、ドラムレスでイアン達の青白い炎が揺らめくような演奏の「The Pictures~」と素朴なドラムマシーンの音色の「Read It~」が聴けた時はうれしかった。バニーズは他に「Villiers Terrace」のBBC“John Peel Session”のためのライブバージョンが収録されている。このBBCライブも3人と“エコー”のバージョンでデビッド・バルフがピアノで参加している。 ここに収録されているバニーズの「Read It In Books」はティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープとの共作曲だが(エクスプローズも録音している)、そのエクスプローズはシングルB面曲「Camera, Camera」と当時未発表だった「Take A Chance」、おそらく準備されながらZOOか...

ECHO & THE BUNNYMEN「THE KILLING MOON "ALL NIGHT VERSION"」

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壁に飾りたいジャケ~Pictures On My Wall~Vol.7 1980年代のニューウェイブの12インチ・シングルやアルバム・ジャケットには綺麗なもの、センスのいいものが多かった。アズティック・カメラ、ジョイ・ディビジョン、ザ・スミス、ドルッティ・コラム、ペイル・ファウンテインズ、ストロベリー・スイッチブレイド...。 絵画、風景、動物もの、ポートレイト等々。このエコー&ザ・バニーメンは、自然派とも言うべき美しい写真を使い、素晴らしいジャケットを多く残した。 凍てついた瀑布に立つメンバーを写したアルバム『ポーキュパイン』や地下(洞窟?)の湖に舟を浮かべた『オーシャン・レイン』、 海辺の鳥たちを写した「A Promise」の7インチやアルバム『ヘブン・アップ・ヒア』、ロイヤル・アルバート・ホールの写真に彩色したシングル「ネヴァーストップ」、 これは絵画だがHenry Scott Tukeによる、木々の下に佇む少年と少女を描いた油絵を使用したシングル「The Back of Love」などなど。 その中で1984年1月にUKリリースされたシングルの12インチ・ヴァージョン「The Killing Moon“All Night Version”」を選んだ。 雲の間に浮かぶ満月に照らされた岸辺。右側には木々が黒く、手前には一艘の帆船の影。画面中央より上に浮かぶ月、やや下を横切る水平線、 夜風に流れゆく雲や、月光が照らすさざめく波の陰影は奥行きをあたえ、写真の中に物語を感じさせる。 “All Night Version”の通り、9分余りの長尺に仕上げたこのヴァージョンは、 妖しく美しい弦の響き、アクセントをつけながら物語を進めていくリズム、イアン・マッカロクの艶のある声が月光と闇を紡ぐ、 ジャケット、内容共に極上の12インチ・シングル。