OMNIBUS a Go Go Vol.74『TO THE SHORES OF LAKE PLACID』
イギリスのインディ、ZOOレコードから1982年3月にリリースされたコンピレーション。ZOOはビル・ドラモンド、デビッド・バルフによって1978年に創立され、 2人が関わっていたビッグ・イン・ジャパンを皮切りに、ティアドロップ・エクスプローズ、エコー&ザ・バニーメン、ロリ&ザ・カメレオンズ、ゾーズ・ノーティ・ランプス等リバプール周辺のバンドのレコードをリリースしていた。
このコンピレーションはZOOがリリースした楽曲やビル・ドラモンド&デビッド・バルフ達が制作に関わっていた楽曲(当時の未発表曲を含む)を集めたもので、個人的には1980年代に入れ込んでいたエコー&ザ・バニーメンの曲を目当てに、確か雑誌DOLLかなにかに載っていたバニーズのディスコグラフィ(それも1ページにまとめたもの)にこのコンピがあると知って、探して中古で購入。このままでのCD化はされていないと思う。アナログのフロント・ジャケットの“ZOO”の文字はエンボス加工されていた。
バニーズはまだイアンとウィル、レスの3人とドラムマシーン“エコー”を使用している最初期の録音で、ZOOレコードからリリースしたバニーズの1stシングル「The Pictures On My Wall c/w Read It In Books」の両面を収録している。このシングル・バージョンは今では再発もされてるし、4枚組『Crystal Days 1979-1999』でも聴けるけど、当時なかなか目にしたことは無く、あっても結構な値段していたので、ドラムレスでイアン達の青白い炎が揺らめくような演奏の「The Pictures~」と素朴なドラムマシーンの音色の「Read It~」が聴けた時はうれしかった。バニーズは他に「Villiers Terrace」のBBC“John Peel Session”のためのライブバージョンが収録されている。このBBCライブも3人と“エコー”のバージョンでデビッド・バルフがピアノで参加している。
ここに収録されているバニーズの「Read It In Books」はティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープとの共作曲だが(エクスプローズも録音している)、そのエクスプローズはシングルB面曲「Camera, Camera」と当時未発表だった「Take A Chance」、おそらく準備されながらZOOからはリリースされなかったエクスプローズのアルバム『Everybody Wants To Shag The Teardrop Explodes』(ZOO-1)用に録音したという「When I Dream」のオリジナル・バージョン。「When I Dream」は素朴でキュートな魅力があるバージョンだ。他にワッパー(Whopper)というバンド名義で収録されているダブ/音響的な「Kwalo Klobinsky's Lullaby」を含め、ティアドロップ・エクスプローズの3曲はZOO時代のトラックを集めた彼らの編集盤『Piano』にも収録されている。
ビッグ・イン・ジャパンはビル・ドラモンド、イアン・ブロウディ(後のライトニング・シーズ)、ホリー・ジョンソン(後のフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド)、デビッド・バルフ等がメンバーにいたバンドでボーカルはケヴィン・ワードと女性のジェーン・ケイシーのツインボーカル。パンキーな「Society For Cutting Up Men」、ZOOレコードが1978年最初にリリースしたEPからキッチュかつシュールな「Suicide A Go Go」の2曲。
ZOOの2枚目のリリースとなるシングルからゾーズ・ノーティ・ランプス「Iggy Pop's Jacket」は1分半ほどのショート・チューン。ビルとデビッドもレコーディングに参加している。ロリ&ザ・カメレオンズはコロヴァ・レコードからのリリースとなった「Lonely Spy」。やはりビルとデビッドに加え、エクスプローズからゲイリー・ドワイアが参加。
デビッド・バルフやトロイ・テイト(エクスプローズのメンバー、後にザ・スミスの幻のファースト・アルバム・セッション・プロデューサー) が参加していたターコイズ・スイミング・プールスは「The Winds」と「Burst Balloons」。どちらも未発表曲で寂寥としたナンバー。ダレク・アイ・ラブ・ユーはエクスプローズに参加するアラン・ジル、デビッド・バルフ、後にOMDに参加するデビッド・ヒューズが在籍していたシンセ・バンドでメランコリックな「A Suicide」を収録。