TH eROCKERS「可愛いあの娘」
「可愛いあの娘」。ザ・ロッカーズの代表曲でありながら一般リリースはVo陣内、G谷、G澄、B橋本、D船越というメンバーで行われた1991年の再結成ライヴの模様を収録したライヴ盤『LIP SERVICE』で聴けるのみ(曲の表記は「可愛いアノ娘」)。
Vo陣内・G谷、G鶴川、B穴井、D船越というロッカーズがレコードをリリース(『WHO TH eROCKERS』~『Hanky Panky』)していた時のメンバーで演奏された「可愛いあの娘」は、1980年7月6日に日比谷野音で行われたライヴを収録したプロモ・オンリーの『REAL ROCK SEE SAW SCNENE VOL.1』というライヴ・アルバムでしか聴くことが出来なかった(というか私は聴いたことが無かったんだけど)。
私がこのプロモ盤の存在を知った時には既に高額で売られていて、とても手に入るようなもんじゃなかった。このライヴはSEE SAWレーベルのショーケース・ライヴだったようで、プロモ盤にはロッカーズの他に子供ばんど、TENSAW、ジョニー・ルイス&チャーのライヴが収められている。ロッカーズは「1999」、「気をつけろ」、「可愛いあの娘」、「キャデラック」の4曲が収録されていたが、今回ロッカーズ結成40周年を記念して再リリースとなったファースト・アルバム『WHO TH eROCKERS』のボーナス・トラックとしてこの4曲が収録された。待望のリリースだ。
「可愛いあの娘」は作詞が山部善次郎&陣内孝則、作曲は坂東嘉秀(田舎者~ドリル~ソロまで山善の相棒ギタリスト)。エディ・コクランというよりはTHE WHO版の「Summertime Blues」を下敷きにしたと思われる曲/アレンジで作られていて、歌詞はとてもシンプル。 “可愛いあの娘を自分のものにしたくてバラの花を一輪持ってくけれど、あの娘はつれない態度”っていう内容。念願の初期ライヴが聴けたわけだが、どーしてスタジオ録音が無いのだろうか。
ファースト・アルバム『WHO TH eROCKERS』のレコーディングは千葉県の成田空港近くにある観福寺本堂での1発録音。なんでも洋楽のアーティストが古城で録音するなら俺達日本人は寺だろ、という発想らしい…。1980年6月7日午後4時~午後7時まで3時間で録音されたとブックレットのクレジットにある。陣内の自伝的小説『アメージング・グレース』によれば、朝からセッティングするはずが本堂の拭き掃除やら住職の講話やらでセッティングして音出しを始めたのが夕方、アンプのトラブルや建物のビビり音が入るからと修正したりしているうちに残り時間40分足らず。そこからハイ・スピードでレコーディングされた収録時間34分(CDの表示だと36分)の本編15曲、と書かれている。
短くて1分30秒、長くても2分59秒で全曲3分未満。1980年9月21日にリリースされた、駆け抜けるスピード、ヒートアップする演奏と歌はハンパじゃないロックンロール・アルバム。