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12月, 2019の投稿を表示しています

サンハウス『1974ワンステップ・フェスティバル』

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2019年12月18日、Super Fuji Discsよりリリースのライヴ・アルバム。 待ってました。サンハウスのワンステップ・フェスティバルに於ける演奏を収録したライヴ・アルバムがリリースされた。 帯には、2010年2月17日にテイチクよりリリースされたサンハウスの8枚組ボックスセット『THE CLASSICS 〜35th ANNIVERSARY〜』に使用した同ソースの音源マスターを元に新たにマスタリングを施した、と記載がある。サンハウスの『THE CLASSICS 〜』も『1974郡山ワンステップフェスティバル永久保存盤21枚組ボックス』も、どちらも持っていないのでありがたいリリースだ。 1曲目「キング・スネーク」のイントロがフェイドインで始まるのが残念なのと、ドラムのハイハットの音が潰れ気味な音質が気になるが、ドラムが鬼平(坂田紳一)に代わって約4ヶ月後、デビュー・アルバム『有頂天』のリリースは翌1975年6月という時期のライヴで、レコードはまだ何もリリースされておらず、九州ではその名前が知られていたものの、博多からはるばる福島県郡山までやってきてのサンハウスの演奏は集まった観客の度肝を抜いたのではないかな、と想像してしまう内容だ。 鮎川、篠山、奈良、鬼平のエキサイティングな演奏、柴山はなんだかリラックスしているような余裕のあるヴォーカル(いつもかな?)のライヴ。ライヴ終盤では観客とのやりとりも聞け、盛り上がっているのがわかる。 鮎川は雑誌「ユリシーズ No.3」(シンコーミュージック刊)のインタビューで “ちょうどワンステップの頃が、ある意味スタートライン ” だったと語っていたが、全10曲で収録時間およそ36分と短いものの、博多を拠点としながらもレコードデビューに向け動き出した頃の演奏が聴けるのはうれしい限り。 10曲中6曲が後にファーストアルバム『有頂天』に収録される楽曲で、その他は「おいら今まで」がセカンド・アルバム『仁輪加』に収録される曲、「ぬすっと」と「すけこまし」はどちらもサンハウスがオリジナルを作り出して早期に出来ておりライヴでは演奏されていながら、1980年にリリースされた『ストリート・ノイズ』で初めて音盤化された曲。 「ねずみ小僧の唄」は作詞作曲・鮎川誠の痛快なロックン・ロール・ナンバーで、1998年にリリースされたCD3枚+VHSのボッ

NHK大河ドラマ『いだてん』

 NHK大河ドラマ『いだてん』が終わった。 いろいろ言われたドラマだったが、私には毎回楽しくもあり、シリアスなところはきちんと押さえてあって考えさせられることも多々あった。まぁ来年開催の東京オリンピックのプロパガンダになるんじゃないの、という一抹の不安はあったが、そこは宮藤官九郎自身否定してるし音楽を担当した大友良英も危惧していた。 時間を行ったり来たりする演出や、落語を織り込んだ内容もクドカンらしくて面白かったし、 見ていて時間を忘れるほどスピード感もありタイトル通り突っ走った感のある、見応えのあるドラマだった。役所広司の嘉納治五郎、はまり役だったなぁ。クセのある役者が勢揃い、でも嫌味にならないというところも流石だった。 またこんなドラマ見たいですよ。

井上富雄『AFTER THE DAWN』

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2019年10月25日、MIMOZA MUSICよりリリースのアルバム。 井上富雄のソロアルバムがリリースされた。ソロ名義のアルバムとしては2003年3月にリリースされた『up! up and away』からなんと16年振りとなる。前作は全編アコースティックかつライヴ録音も含んだアルバムだったが、Vo・B・G井上とG尾上サトシ、Key五十嵐慎一、Dr田中徹のバンドサウンドで録音された今回のアルバムは井上自身もブログに記しているように “ 初のソロアルバムと言っても過言ではない ”。 オープニングの「Across The City 2019」は、前作『up! up and away』にも収録されていた「Across The City」をバンドサウンドで、歌詞も一部変更、 “ 2019 ”ヴァージョンとなっている。ラテンなグルーヴが心地よい「Bridge Over Dawn」、「Morning Dew」は伸びやかなアレンジで朝露のようなピアノが素敵に輝く。ファンキーなインストの「スーパーボール」、フォーキーなテイストの「Corkscrew」、オリエンタルなメロディが耳に残る「虹のかけら」、一際ソウルフルでアーバンな「土曜の夜と日曜の朝」、落ち着いた雰囲気ながら転調する中盤が綺麗なタイトルトラックのインスト「After The Dawn」。 アルバムタイトル、いくつかの曲の歌詞の中にも登場する“ 夜明け ”がこのアルバムを貫いている。それは夜明けの情景というだけではなく、確かに訪れると信じる、ここでは歌われていない言葉の象徴なのかもしれない。 円熟したミュージシャンによってテクニカルに作られ演奏された楽曲ながらポップで聴き易く、ヴォーカルも丁寧にメロディを歌っていて心地よい。 全8曲とコンパクトにまとまっていて、真ん中の4曲目と最後の8曲目にインスト曲を置いているのもアクセントになっており、アナログ盤のA面B面に分けているようで聴いた印象もいい。真っ直ぐこちらをみるジャケットのポートレイトは、出来上がりの自信を写し出しているようだ。 井上富雄のホームページ Tomiowebのブログ内に、 佐野元春から『After The Dawn』によせて。ハートランドからの手紙#2019.11 を読むことができる。

小出亜佐子著『ミニコミ「英国音楽」とあのころの話 1986-1991』

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2019年12月DU BOOKSより出版。 青山学院大学の音楽サークル“ 英国音楽愛好会 ”が発行していたミニコミ「英国音楽」に4号〜12号まで関わった小出亜佐子による当時の回顧録が出版された。 自らが発行人となった1986年春の「英国音楽」5号発行から1991年12月31日に小出が企画(バンドの選定)したオールナイト・イベント“ Hello 1992 ”(at クロコダイル)開催までをひとつの括りとしているようだ。小山田圭吾やペニー・アーケードの佐鳥葉子らが参加した座談会や仲真史(Big Love Records)のコラムなども楽しく読める。内容を簡単に紹介すると…。 著者は1965年生まれ。音楽の嗜好はサザンオールスターズから、ジャム、スタイル・カウンシル、その流れから東京モッズ系のバンドのライヴに通い、キュアー、アズテック・カメラ、バニーメン、ニューオーダー、ジュリアン・コープなどの来日公演に足を運び、スミスやオレンジ・ジュースなどUKポスト・パンク、ニューウェイヴへ移り、大学2年でサークル“ 英国音楽愛好会 ”に勧誘され入会。 ほぼ出来上がっていた「英国音楽」4号(1985年)から小出はミニコミ制作に参加、発行が危ぶまれた5号(1986年春)からは自らが発行人となり、6号(1986年夏)から小出の“ 完全私物化 ”となり、7号(1986年冬)からは、英国音楽だけではなく、東京モッズシーンやネオGSのバンドも取り上げ、ロンドン・タイムスやファントムギフトのインタビューも掲載、それらのバンドのライヴでミニコミを手売りしていたようだ。 8号(1987年春)は小出が英国へ留学のため後輩に託し、9号(1987年夏)ではブルーハーツのインタビューを掲載している。10号(1987年冬)をはさんで、11号(1988年夏)ではロリポップ・ソニック等を収録した初のフレキシ・ディスク付きとなった。続いて12号(1989年5月)もフレキシ付きだったがこれが最終号となる。 オレンジ・ジュースやジャズ・ブッチャー、パステルズ、TVパーソナリティーズ、ヴィック・ゴダードなどのイギリスの音楽を紹介しながら、日本のビート系、東京モッズ、ネオGSという当時の日本の旬なシーンも紹介し、ペニー・アーケイド(ポートレート・レコードから1988年にリリースされたオムニバス『NEO?』に参加)、ロリポッ