井上富雄『AFTER THE DAWN』

2019年10月25日、MIMOZA MUSICよりリリースのアルバム。

井上富雄のソロアルバムがリリースされた。ソロ名義のアルバムとしては2003年3月にリリースされた『up! up and away』からなんと16年振りとなる。前作は全編アコースティックかつライヴ録音も含んだアルバムだったが、Vo・B・G井上とG尾上サトシ、Key五十嵐慎一、Dr田中徹のバンドサウンドで録音された今回のアルバムは井上自身もブログに記しているように “ 初のソロアルバムと言っても過言ではない ”。

オープニングの「Across The City 2019」は、前作『up! up and away』にも収録されていた「Across The City」をバンドサウンドで、歌詞も一部変更、 “ 2019 ”ヴァージョンとなっている。ラテンなグルーヴが心地よい「Bridge Over Dawn」、「Morning Dew」は伸びやかなアレンジで朝露のようなピアノが素敵に輝く。ファンキーなインストの「スーパーボール」、フォーキーなテイストの「Corkscrew」、オリエンタルなメロディが耳に残る「虹のかけら」、一際ソウルフルでアーバンな「土曜の夜と日曜の朝」、落ち着いた雰囲気ながら転調する中盤が綺麗なタイトルトラックのインスト「After The Dawn」。

アルバムタイトル、いくつかの曲の歌詞の中にも登場する“ 夜明け ”がこのアルバムを貫いている。それは夜明けの情景というだけではなく、確かに訪れると信じる、ここでは歌われていない言葉の象徴なのかもしれない。

円熟したミュージシャンによってテクニカルに作られ演奏された楽曲ながらポップで聴き易く、ヴォーカルも丁寧にメロディを歌っていて心地よい。

全8曲とコンパクトにまとまっていて、真ん中の4曲目と最後の8曲目にインスト曲を置いているのもアクセントになっており、アナログ盤のA面B面に分けているようで聴いた印象もいい。真っ直ぐこちらをみるジャケットのポートレイトは、出来上がりの自信を写し出しているようだ。

井上富雄のホームページ Tomiowebのブログ内に、
佐野元春から『After The Dawn』によせて。ハートランドからの手紙#2019.11
を読むことができる。

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