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OMNIBUS a Go Go Vol.40『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS』

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“RELAXIN' WITH LOVERS”シリーズのJAPANESE編として2003年にリリースされた、日本のアーティストによるレゲエ(ラヴァーズ・ロック)やダブミックスをコンパイル。 岡崎友紀「ジャマイカン・アフェアー」、南佳孝「Midnight Love Call」は共に1980年リリースのオリジナルからセレクト。キャンディーズ「やさしい悪魔」、郷ひろみ「林檎殺人事件」の共に1978年リリースの楽曲を優れたダブミックスにした楽曲 (前者はJ.Saul Kane、後者は藤原ヒロシによるremix)もあり、懐かしくも新鮮に楽しめる内容だ。 オープニングトラックの中島美嘉によるオリジナル・ラブのカバー「接吻」は、屋敷豪太、松永孝義のMUTE BEATリズム隊と、ギター山本貴志、キーボード(サウンドプロデュースも)森俊也のROCKING TIME組による演奏に中島のしっとりボーカルをのせた好トラックで、The Pop GroupやThe Slits等数多くのプロデュースでも知られるDennis Bovellによるダブミックス“Dennis Bovell Lovers Mix” を収録。同時期にリリースされた中島美嘉のCDシングル(コピーコントロールだ.…)「接吻」にはボーカルトラックもザックリ刻んだ “Dennis Bovell Lovers Mix #2”が収録されていた。 MAD PROFESSORによるダブミックス“Lovers Rock Mix”のBIRD「桜」は、ダブ処理されたギターやリズムトラックに重なる流麗な二胡のフレーズが対照的で美しい。PIZZICATO FIVE「LOVER'S ROCK」は同じくMAD PROFESSORによるリミックス・バージョンを収録。 他、チャラの「Junior Sweet」は大沢伸一による“Sakuragarian Dub Mix”、椎名純平with篠原涼子「Time of Gold」は “Reggae Disco Rockers Golden Mix”、キリンジ「フェイバリット」“Skyscraper Disco Mix”、TICA「Small Town Girl」等を収録。 “RELAXIN' WITH LOVERS”JAPANESEシリーズはVol.4までリリースされているようだ。

OMNIBUS a Go Go Vol.39『TAKE ME AOSIS BRAZILIAN CAFÉ』

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ビクターのaosis recordsから2002年にリリースされたコンピレーション・アルバム。aosis recordsのカタログの中からテーマに沿ってコンパイルされたサンプラー『take me aosis』シリーズは 2001年から始まり10種がリリースされているようだ。今回紹介する『Brazilian Café』は、 “パリ、ニューヨーク、東京、サンパウロの街角で流れていく音楽をカフェで聴く”をコンセプトに作られている。 paris matchを初めて聴いたのは、このCDのラストに収録されている「deep inside-Ananda Project Rimix」 がカップリングとして収録されているシングル「deep inside」だった。何かの雑誌で読んだ、グループ名がスタイル・カウンシルの曲名に由来する事や、元SALLY(「バージンブルー」がヒットしたポップなバンドだった)の杉山洋介が新たに組んだ女性ボーカル・ユニットということで、スタカンのファースト収録トレーシーソーンが歌う「The Paris Match」な感じを期待したが、またそれとは別物で、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテン、ハウスなど(そしてポールウェラーと同じようにどこかにロックスピリットを隠しているのだろう)多種多様な音楽からの影響を搾り出したモダンなトラックと、透明感があって洗練されたミズノマリのボーカル(かつての石川セリを思わせる)はとても魅力的に感じられる。 収録されている「deep inside-Ananda Project Rimix」は「deep inside」のサビ部分シークエンスを使用しつつ 、4つ打ちのバスドラ・リズムトラックを加えたハウスチューンに生まれ変わって、クール&ミッドナイトなイメージ。そしてparis matchのもう一曲は日本語詞のスピーディでスムースなダンスチューン「COFFEE MACHINE」(アルバム『PM2』から)を収録。 杉山の別プロジェクトjazoulsterはスライの「Family Affair」のカバーを収録。ボーカルはメイザ・リークで素晴らしいカバーに出来上がった。jazoulsterのもう一曲はスリリングなブラジルテイスト「landscape from the higher lounge」(いずれもアルバム『play it cool V

OMNIBUS a Go Go Vol.38『ARE YOU JAP?!』

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アナーキー~THE ROCK BANDのギタリスト藤沼伸一がオーガナイズ、多彩なゲストを迎えたコラボレーション・アルバム。藤沼は全作曲(「国旗はためく下に」を除く)を担当、及び全曲でギターを弾いている。リリースは2002年5月。 前年2001年9月のアメリカ同時多発テロをきっかけとして同年10月にはアメリカがアフガニスタンでタリバンと戦争を始め、日本の海上自衛隊も米軍艦船などへ給油活動をするなかでのリリースとなった。その為か、もともとのコンセプトとしてあったのか、参加したアーティスト達の作詞には戦争・日本といったモチーフが根底にあるようで、それは藤沼がボーカルをとり、カバーしている泉谷しげるの「国旗はためく下に」から放射されたメッセージを拡大したものと言える。 NIRVANA「Smells Like Teen Spirit」を思わせるアレンジの泉谷しげる作詞・ボーカル「ワイルドピース」、レゲエ・ダブ~爆音チューンで、後半の “新宿に現身のマリアありて~” の語りが面白い町田康作詞・ボーカルの「花はどこに咲くの?」、柴山俊之作詞・ボーカルの「ありがたや節」といったところが興味深いが、なんといっても忌野清志郎が作詞・ボーカルを担当した「ジライヤ」だ。 曲名は忍者の“自来也”というより歌詞に出てくる“地雷やミサイル”からだろう。RC時代に清志郎がカバーした「明日なき世界」(高石ともや版)に匹敵するプロテストソングだと思う。正直でユニークなバンドマンとしての物言い。 リビングルームで独りテレビ画面を見ながら思う事、もしくはファミレス、居酒屋や職場で、友人や同僚と話しているような内容の歌詞で歌は始まる。 “この戦争はいつまで続くんだろう  多少の犠牲はやむをえないが  俺は犠牲者にはなりたくない” そしてこの現状に対して“音楽や歌は力を失くし、メッセージソングは誰にも歌えない”と嘆いたあと、 こう歌う。 “だから歌おう甘ったるいラブ・ソングを  世界の平和の夢と錯覚しながら  今夜歌おう甘ったるいラブ・ソングを  地雷やミサイルの音をかき消すほどに” 清志郎自身もそれこそ数多くのラブソングがあるが、ラブソング(=歌・音楽)の非力さと潜在的な対抗力の可能性についてあらためて世に問うた曲だ。さらにアフガニスタンの戦争ではピンポイント爆撃の誤爆による犠牲も多く報道されていた事にも思