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浅川マキ『black』

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1991年、東芝EMI・EASTWORLDよりリリースのアルバム。  浅川マキの『LIVE・夜のカーニバル』と『STRANGER'S TOUCH』に参加し数曲が収録されていた下山淳、池畑潤二、奈良敏博。この『black』は彼らが本格的に参加したスタジオ・アルバム。2枚組CDアルバムの1枚目で全面的に参加している。 下記はDisc 1の演奏者クレジット。 下山淳:Guitar、Piano(4) 奈良敏博:Bass、Rhythm Guitar(3) 池畑潤二:Drums、Percussion 他にBarbara Bayer:Vocal(4)、須田ヒカル:Keyboard(3) 作曲では6曲を担当。 1. 「憂愁 (II)」詩:浅川マキ 曲:下山淳 2. 「憂鬱なひとり歩き」詩:清水俊彦 曲:池畑潤二、奈良敏博、下山淳 3. 「少年 (II)」詩:浅川マキ 曲:奈良敏博、浅川マキ 4. 「FLASHDARK」詩:JOHN SOLT 日本語詩:浅川マキ 曲:下山淳 5. 「今夜は自由に眠らせてくれ」詩:清水俊彦、浅川マキ 曲:下山淳、奈良敏博、池畑潤二 6. 「blackにgood luck」詩:清水俊彦、浅川マキ 曲:奈良敏博、池畑潤二、下山淳 7. 「また、ね」詩・曲:浅川マキ 「憂愁 (II)」は、深海を漂うような浮遊感がある導入部から徐々にスピードアップ、バキッとしたリズム、淡々とだがリズミカルに詩を朗読する浅川マキに対して演奏は熱を帯びてゆく。ネオ・サイケデリック・ミーツ・ドアーズといったシャープな演奏を聴かせる12分の長尺曲で、アルバム『こぼれる黄金の砂』(1987年)に収録されていた「憂愁」とは別物。セカンドラインのリズムを強調・変容したファンキーな「憂鬱なひとり歩き」、セカンドアルバム『II』(1971年)に収録されシングルリリースもされた「少年」の再演ともいえる「少年 (II)」は重厚でブルージーな演奏で、ここではマキの歌はほぼ語りとなって、“少年はわたし わたしは少年〜”以降の歌詩が追加されている。作曲には奈良の名前がクレジットされていてリズムギターも奈良が弾いている。 John Soltの詩を取り上げた「FLASHDARK」は下山淳らしい、空間を作り出すギターフレーズが連続する演奏に、バーバラ・ベイヤーと浅川マキが詩を朗読するミステリアスなムー...

浅川マキ『STRANGER'S TOUCH』

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1989年、東芝EMI・EASTWORLDよりリリースのアルバム。  前作『LIVE・夜のカーニバル』に引き続き、浅川マキ25枚目のこのアルバムにも下山淳、池畑潤二、奈良敏博、野島健太郎が参加、アルバム『アメリカの夜』(1986年)に収録されていたロックンロールナンバー「あいつが一番」と「CHROME STAR」をメドレーで演奏している。 『STRANGER'S TOUCH』について浅川マキ自身は、“このアルバムを聞き終えたとき、ちょうど1本のシネマを観たような印象を受けるのなら、私は嬉しい”と記している通り、原田芳雄が出演した短編映画『男からの声』の音声が挿入されたり、マキの語りあり、モダン・ジャズ、前衛的な演奏、ヘヴィなロック、ポップなアレンジ、と多様な感触の曲が収められ、各曲はトラック分けされているがクロスフェードやコラージュ的にミックスされて繋げられているものもありトータルな印象も感じさせる。 「あいつが一番〜CHROME STAR」は、曲の冒頭に短編映画『男からの声』に使用されていたTristan Honsingerのチェロ演奏や原田芳雄と浅川マキが地下のバーの階段を降りてゆく場面のサウンドが1分ほど挿入され(地下のライヴハウスへ降りてゆくイメージか)、歓声のあと「CHROME STAR」の池畑潤二のダイナマイト・リズムに下山の激しくフィードバックするギターからリフにのせ浅川マキは「あいつが一番」をさわりのみ歌って、すぐにT-REXのカヴァー「CHROME STAR」がメドレーで演奏される。原曲で歌われていた歌詞“Life is just a joke”を“明日の事など いつだって いつだって吹く風まかせね”と、うまく意訳した日本語詩が素晴らしい。ヘヴィーなアレンジで、下山淳の爆音ギターがここでも堪能できる。このアルバムにはレコーディング場所のデータ記載がないのだけれど、このテイクはライヴ録音のようだ(1988年12月の文芸坐のライヴか…?)。

浅川マキ『LIVE・夜のカーニバル』

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1989年、東芝EMI・EASTWORLDよりリリースのライヴ・アルバム。 池袋文芸坐(1988年12月24日) 新宿紀伊國屋ホール(1987年3月7日) 京大西部講堂(日付記載なし) の3会場でおこなわれたライヴからセレクトされている。 1988年12月の文芸坐はオールナイト公演で、 下山淳:Guitar 池畑潤二:Drums 奈良敏博:Bass 野島健太郎:Keyboards の四人が参加した。ルースターズやシナロケ好きにとってはたまらん人選だよね。1988年は、下山にとっては7月にルースターズが解散、泉谷しげる with LOSERのメンバーとして活発に活動、池畑にとっては5月にゼロスペクターから脱退という時期だった。 このライヴ・アルバムはブックレットに収録会場、収録会場の演奏ミュージシャンのクレジットはあるが、曲毎に会場のクレジットは無いので各曲がどこで収録されたのかがはっきりと分からない。浅川マキ自身によるライナーノーツにはこう書かれている。 ”文芸坐から、京大西部講堂、紀伊國屋ホール、そしてまた、文芸坐へと交錯する。  コラージュと云ったら僭越だけれども、そんな感じも取り入れた。  だが実際には欲ばらず、1980年代のライブからスライスした断面とでも云おうか、  大きく二つの場面だけを取り上げ、じっくりと聞いてもらおうと、  そんなアルバムになった” 1曲目に収録されている「KALEIDOSCOPE」は13分に及ぶ長尺のサイケデリック・ナンバーで、下山たちメンバーが浅川マキにより紹介されている。エキゾチックなフレーズを奏でる野島のキーボード、爆音で極彩色に彩られた下山のギターは自由に奔放に空間を飛び跳ね、奈良のベースはスリリングに絡まり、ダイナマイト・ドラムが炸裂する。浅川マキは“気儘に、思いつくことばを遠くへ翔ばした”とブックレットに記している。続く「あんな女ははじめてのブルース」は、歌詞にも登場する“ミシシッピ”デルタ・ブルース・スタイルで、アタックの強いドラムとジョニー・ウィンターばりに弾きまくるギターを聴かせる、やはりこの四人と思われる演奏。 3曲目の「暗い眼をした女優」からは浅川マキが山内テツを呼び入れていることから、 坂田明:A.Sax 向井滋春:Trombone 渋谷毅:Keyboards セシル・モ...

浅川マキ『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -Bootlegg-』

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2010年にリリースされた浅川マキのDVD作品『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -Bootlegg-』が2025年5月に再発された。以前から見たかったんだけど、廉価盤となったこともありようやく視聴。 浅川マキが生前より企画・監修・編集をしていたというドキュメンタリー。 黒髪、黒服、黒いサングラス…黒の上を途切れることなく流れる煙草の煙…形を変えて広がってゆく。男達が演奏する音の断片…泉谷しげる、山内テツ、山下洋輔、向井滋春、日野皓正、セシルモンロー、渋谷毅、植松孝夫、川端民生、下山淳…代わる代わる…スタイルを変えジャンルを飛び越えて。 浅川マキは唄から間奏になるとしゃがみ込み煙草に火をつける。長いインプロになりソロはサックスからトロンボーン、そしてピアノへ。浅川マキは演者へ拍手を送り、深々と吸い込み煙を燻らせる…音の感触を確かめるように、音の行方を見定めるように。 複数の会場で撮影されたライヴ/リハーサルの映像は、ほとんど手持ちのビデオカメラで撮影、付属のマイクで音声収録していると思われ、ノイジーな映像と音は副題のとおり公式ブートレグといった趣だ。浅川マキも当然登場するが、むしろ主となる登場人物は共演者の男達だろう。細切れの演奏者たちの映像をコラージュのように繋ぎ合わせ、アンダーグラウンドに身を潜める浅川マキの姿と音へのこだわりを浮かび上がらせていく。 下山淳、池畑潤二、奈良敏博、野島健太郎のルースターズ+シナロケ組によるサイケデリック爆音ライヴ映像は約7分。ダイナマイト・キックス池畑とストラトやファイヤーバードを爆音で掻き鳴らす下山。手持ちカメラを下山の前で撮影しているため異常にギターの音がウルサイ。「Kaleidoscope」、「Zero Hour」2曲の断片で映像も荒く処理されているが個人的にはこれを見るためだけでも価値あり。ベースはダンディな奈良、キーボードにニューウェイヴな佇まいの野島健太郎。 下山は文芸坐ル・ピリエのリハーサル映像にもアコギをスライドで弾く姿が映っている。 モノクロの映像は8mmカメラだろうか。浅川マキが監督した、原田芳雄がプロデューサー役、浅川マキが歌うことに懐疑的な気持ちを持つ歌手役で登場する短編映画『男からの声』を含む。

THE ROOSTERS『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14』タワーレコード限定再発

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2003年にハガクレ・レコードからリリースされた、ザ・ルースターズの1981年7月14日渋谷エッグマンでのライヴ盤がアナログ・レコードとCDでタワーレコード限定再発。詳しくは タワーレコードの詳細ページ へ。 2003年のオリジナル・リリース(右の画像)ではCD1枚目にリハーサル7曲+第一部12曲、CD2枚目に第二部17曲を収録したCD2枚組だった。2007年にも廉価で再発されている。 今回のタワーレコード限定再発では第一部12曲を『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14. 1st show』としてCD1枚(アナログLPも1枚)でリリース。第二部17曲+リハーサル7曲を『The Basement Tapes~Live at Shibuya eggman 1981.7.14. 2nd show+Rehearsal』としてCD1枚(アナログLPは2枚組)でリリース。まぁ要するにバラ売りですな。 発売日はいずれも2024年11月25日。ジャケットは新装されていて初期のストーンズ&ビートルズな感じ?2024年リマスターで解説は新たに書き下ろされている。

ザ・ルースターズ、貴重なシングルを、5/15一斉配信開始!その2

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ザ・ルースターズのシングルが5月15日に配信開始されたのにあわせ、日本コロムビアの ルースターズ・オフィシャル・サイト にはファースト・シングル「ロージー c/w 恋をしようよ」についてルースターズのオリジナル・メンバー大江、花田、井上・池畑のインタビュー(というかコメント)が掲載されている。それにザ・ロッカーズとして観ていた穴井も。これは保存版だろう。 右のジャケ写は2017年に再発された7インチ(COKA-55)。なにしろオリジナルは幻だからね…。

ROCK'N' ROLL GYPSIES『V』

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2023年4月30日、RRG.RECORDSよりリリースのアルバム。 前作『IV』から7年振り、ロックンロール・ジプシーズ、5枚目のスタジオ・アルバム。リリースは前作と同じRRG.RECORDSから。 収録曲は、  1. JUMPIN JUNK HIPPY SHAKE  2.くりかえして  3. 蝙蝠の唄  4. Mr. Lover Man  5. 素晴らしい世界  6. So Long  7. 渦  8. Fly -with only one wing-  9. Imaginary Territory 10. PLEASE の10曲。 楽曲はメンバーそれぞれが作詞作曲しており、1、8が市川勝也、2、7が花田裕之、3、6、9が下山淳、4、10が池畑潤二による。5は作詞山口洋・作曲下山淳の共作。3と5で武田康男がコーラスで参加、9で下山がベースを弾いている。 ライヴで盛り上がりそうなポップなメロディの市川勝也作からアルバムは始まる。市川作はもう1曲サイケな下山のギターが活躍する8(2曲ともヴォーカルは花田)。花田作は2曲。どちらも“老い”という単語が入ったビターな曲、もはや詩人、諦念を感じる。 下山作は3曲、3はユーモラスな吸血鬼の歌、6と9はメロディアスな曲。5の山口洋と下山の共作曲を含め下山が4曲ヴォーカルを担当。池畑作は同年代向けと思われる歌詞の内容ながらポップでキュートなアレンジの4、スカなパーティーチューンの10がラスト。トータル約50分、各自持ち寄った曲とアレンジに工夫があり多彩な印象も感じるアルバムだ。

MY PLAYLIST Vol.4『THE VERY BEST OF ROCK'N'ROLL GYPSIES』

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ロックンロール・ジプシーズは当初1995年〜1997年にかけて、花田裕之のソロ活動に際し名付けられたプロジェクト的なバンド名称だったが、2001年10月14日「北九州博覧会 Rock'in Expo 2001」にロックンロール・ジプシーズのバンド名義で出演。続いて2002年3月1日には渋谷ON AIR EASTでライヴ、その後もライヴを重ね、 2003年6月18日には スタジオ・アルバム 『I FIRST』をリリースしロックンロール・ジプシーズが継続的なバンドであることを印象付けた。 メンバーは、 花田裕之 Vocal & Guitar 下山淳 Guitar & Vocal 井上富雄 Bass &Vocal 池畑潤二 Drums で始まったロックンロール・ジプシーズだが、ベースの井上 が2003年末に脱退、奈良敏博をゲスト・プレイヤーとして活動を続け、後任ベーシストには市川勝也(元POTSHOT)が加入している。アルバム『II』では井上が8曲、市川が4曲でベースを担当した。 2003年〜2016年でスタジオ・アルバムは4枚。他に映画『ロッカーズ』サントラ盤に参加、ボ・ガンボスのトリビュート盤(2005年)に甲本ヒロト&ROCK'N'ROLL GYPSIESで1曲参加している。なかなか寡作なロックンロール・ジプシーズであるが、主にオリジナル・アルバム4枚から自分の好きな曲を選びベスト盤を作ったのは、2019年頃と思う。まぁライヴ・アルバムもあるのだがスタジオ録音のみで選曲。発表順ではなく全体のバランスとCD-Rに焼いて聴くことを考えた曲順にした。 以下、私の選んだ、THE VERY BEST OF ROCK'N'ROLL GYPSIES。  1. Frame Up Boogie(作曲:ROCK'N'ROLL GYPSIES)  2. 渇く夜(作詞・作曲:花田裕之)  3. 只の夢(作詞:柴山俊之 作曲:下山淳)  4. そろそろ(作詞・作曲:花田裕之)  5. 風の跡(作詞・作曲:花田裕之)  6. You won't be my friend(作詞・作曲:下山淳)  7. Hō Train Boogie(作詞:柴山俊之 作曲:花田裕之)  8. Hey DJ(作詞・...

ROCK'N' ROLL GYPSIES『JUST FOR LIVE AT KYOTO TAKUTAKU』

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2019年8月30日、RRGP.Recordsよりリリースのライヴ・アルバム。 池畑潤二、60歳の誕生日(10月20日)にあわせ、2018年10月19日〜21日の3日間にわたって京都磔磔で開催された「BIG BEAT CARNIVAL IN 磔磔SPECIAL 3days」。 出演はロックンロール・ジプシーズの他、日替わりでゲスト(19日浅井健一・山下久美子、20日イマイアキノブ・SION、21日百々和宏・山口洋・陣内孝則と飛び入りでTOSHI-LOW)が登場し、ゲストの演奏を担当するのはホストバンドのThe Big Beaters(D池畑潤二、G花田裕之、B井上富雄、Gヤマジカズヒデ、Key細海魚)というイベントだった。 このスペシャルなイベントからロックンロール・ジプシーズの3日間の演奏をパッケージしたライヴ盤がリリースされた。ロックンロール・ジプシーズの演奏はゲスト登場の前に各日7〜8曲演奏され、3日間で全22曲だったが、このCDにはそのなかから16曲が収録された。 収録曲は、 1.風の跡 2.Crazy Romance 3.You won't be my Friend 4.危険な日常 5.光 6.Bumble Bee Twist 7.只の夢 8.渇く夜 9.Ho Train Boogie 10.黒の女 11.Honey Bee 12.Lucky Love 13.Natural Powered 1 14.TRUCKIN' 15.空っぽの街から 16.Living On The Borderland 1〜5が19日、6〜12が20日、13〜16が21日に演奏されたもの。 冒頭「風の跡」の花田の渋みと深みを増した迫力あるヴォーカル、後押しする池畑のドラム、彩りを加える下山のギター、支える市川のベース。実際のライヴではこの前に2曲演奏されているのだが、 CDのオープニングに相応しいスピーディでエネルギッシュなナンバーだ。 続いて、ルースターズのアルバム『KAMINARI』収録曲でロックロール・ジプシーズとしてもアルバム『ROCK'N'ROLL GYPSIES III』に再録した「Crazy Romance」は、法律破りの危険で淫らな演奏が堪能できる。下山のギターが自在に駆け巡る「光」やスライドギターが炸裂する「Honey Bee」など...

ROCK'N' ROLL GYPSIES「YOU WON'T BE MY FRIEND」

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2016年3月12日、RRGP RECORDSからリリースのアルバム『ROCK'N' ROLL GYPSIES Ⅳ』より。 ロックンロール・ジプシーズ、4枚目のスタジオ・アルバムがリリースされた。 2003年『Ⅰ』→2005年『Ⅱ』→2010年『Ⅲ』→2016年『Ⅳ』と13年で4枚のスタジオ・アルバムの発表と作品数は多くは無いが(他に2007年にライヴ盤がある)、振り返ってみるとジプシーズというバンドは長く続いているなぁ。 内容はというと「あきれるくらい」、「空っぽの街から」や「Miles Away」(“Hoo Hoo Woo”っていうコーラスがジプシーズの楽曲では珍しい味付け)といった曲では、いつも通りのロックンロール・スピリットがスピーカーから迸り感じられるジプシーズ・ナンバーだし、ピンク・フロイド「See Emily Play」の歌詞の一節からタイトルを付けたんだろうか「You'll Lose Your Mind And Play It」は、4人が夢中で6分以上プレイしてるお得意インスト・ブルーズナンバー。 今回の注目はというと、なんといっても下山の歌うラヴ・ソング「You Won't Be My Friend」(作詞作曲も下山)。綺麗なアコギの弦とリムショットの響き、下山のヴォーカルはこれまでよりも丁寧に歌っていて、くっきりと歌詞が伝わってくる。すれ違う気持ちを描いたストレートなラヴ・ソング。 他には、もう一曲下山の歌う「Till Dawn」、池畑作の「危険な日常」、スタジオ録音のラスト8曲目は下山作で花田がヴォーカルをとる「dis agreed」。“仲違い”か…。 9曲目からは2015年12月23日高円寺HIGHでのライヴから「汽車はただ駅を過ぎる」、「渇く夜」、「Ho Train Boogie」の3曲を収録。

大江慎也「GO FOR THE PARTY」

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2006年3月発表のアルバム『The Greatest Music』より。 1990年末以降の長いブランクのあと大江慎也は、2003年6月下北沢Club251でのRock'n' Roll Gypsiesライブへのサプライズ・ゲスト出演、 UNとしてのライブ活動と2004年7月ルースターズ・オリジナルメンバーでのフジロック出演、2004年10月UNのアルバムリリースを経て ついにソロアルバムをリリースした。 大江慎也名義としてはOnesを従え1990年5月にリリースされた『Will Power』から実に16年ぶりとなる。 録音メンバーは池畑潤二、花田裕之、井上富雄。 タメの効いた花田のギター、井上のランニングベース、池畑の木屑の飛び散るのが目に浮かぶハイハットの音、 ざらっとした音の感触は、やはりこの4人だからこそ作り出せるものだ。 UNのアルバムのような唸り、叫ぶような大江のボーカルは抑えられていて聴きやすい。 雑誌のインタビューなどで大江は“初めてのソロアルバム”と言ってこれまでのソロアルバムを否定していたが、楽曲によってはこれまでのソロアルバム を思い起こさせる曲もある。 が、やはり演奏メンバーが違うだけあり、大江が歌っているという以外にも聴き所は作られている。 “明日また会えたら会えるくらいの それくらいがいい” という歌詩がでてくる「Go For The Party」がいい。 走り抜けたルースターズの日々、自分達の作り出す音楽への絶対的な自信、 そして伝説を背負い、“Living Legend”と呼ばれた大江に“世界と宇宙が俺の足元にひざまずく”という思いを抱いた日もあっただろうか。 そんな苦しい夢から覚め、ロックンロールの気軽さ、ギター持ったら出来ちまった、バンドで音出して録音しちまった。という感じの曲が実に爽快だ。 練りに練られて作られた、というアルバムではないが、「Go For The Party」の先の歌詩や“笑って過ごせよ今日くらい”、 「何処へ行こうか」の“気がついたらそこにいた位の そんな所があったら行くけれど”、 「Stay With You」の“今日を楽しく過ごそう 笑って過ごすなんて なんて楽しいだろう” といった歌詩に現れている‘気楽さ’がこのアルバムのムードを作り、製作の原点になっているように思う。

花田裕之『風が吹いてきた』

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1996年5月29日、東芝EMI よりリリースのアルバム。 花田裕之のソロ1作目『Riff Rough』はかなり気合いの入った売り方だったと思う。 ジャケット&ポスターは美顔で、雑誌によるインタビューや宣伝もかなりあった。 でも個人的にはあまり内容は良くなくて、ルースターズ時代の下山のようなタイプ/役割の布袋という ギタリストをパートナーに選んだというのも今一つ理解できなかった。 発売時のライブも観たが、池畑のドラミングを真近に見られたのは良かったが、 布袋のあの”布袋”としか言い様がないギタープレイがかなり印象に残った。 で、そのまま2~4作目までは購入せず、いよいよ池畑、井上、下山とバンドスタイルでアルバムを リリースすると聞いて期待して買った『Rock'n' Roll Gypsies』は”うーむ”という印象だった。 続く『Rent A Song』は買わず、『風が吹いてきた』は手に入れたが、 やはり個人的にはいま一つ、という印象をその時は受けた。 ここで花田のソロ作を全部売りに出すというルースターズ・ファンとしては許しがたい暴挙に出てしまった。 数年後のある日『Rent A Song』を購入、花田にはこんなルーツがあるんだと思い、 これなら『Rock'n' Roll Gypsies』や『風が吹いてきた』の世界もあるなとそれまでのCDを全部買い直した。 そのころになると私もアメリカの70年代ロックを聴くようになっていたので、 サウンド的に少しは馴染み易くなっていたのかも知れない。 (買い直したとは言え、やはり1作目~4作目まではCDラックから取り出す事はめったにない)。 これまでの花田のソロ・アルバムでは7枚目にあたる『風が吹いてきた』が好きだ。 このアルバムを製作していた1995年は花田にとって「かなり落ち込んでいた」年だったようで、 ルーティン・ワークとなっていた年に1枚のアルバム作りや、 それなりに出来上がっていく曲作りに嫌気がさしていたという。このアルバムの製作では、 そういった「面白くない」気持ち、気合いの入らない「虚脱感」、 どうにでもなれという「虚無感」を歌詩の中へ吐き出していたのではないかと花田は語る。 その歌詩がとてもいい。 ”素敵な出会いは眠りの中だけ、疲れ忘れさせてくれる”(Ooh La La)、 ”便利な生活...

石井聰亙&バチラス・アーミー・プロジェクト『アジアの逆襲』

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1983年9月21日、日本コロムビアよりリリースのアルバム。 映画監督、石井聰亙。 『狂い咲きサンダーロード』では、泉谷しげる、THE MODS、PANTA & HALの楽曲を、 『シャッフル』ではヒカシューを音楽に起用。そして『爆裂都市』は言うまでも無く、 大江慎也、池畑潤二をフューチャーしたロック・ムービーだった。 その石井聰亙が1982年9月、ギターには後にルースターズに参加する下山淳、 ベースにはヤンジ、ドラムには郷森信宏というメンバーでバチラス・アーミー・プロジェクトを結成。 新宿ロフト等でライブを重ね、1983年9月21日にルースターズのメンバー花田、井上、池畑が参加したLP『アジアの逆襲』 をリリースした。 このころ石井は、ルースターズはもちろん、スターリンやINU、スロッピング・グリッスル等にも影響を受けていたようだ。 このアルバムもパンキッシュ、アバンギャルドな面も合わせ持った音づくりとなっている。 石井のボーカルはこの演奏に合っていて、意外と言っては失礼だがいい感じだ。 歌詞は全て石井の作詞。泉谷しげるの世界を思わせる「Backstreet Gangstars」の他は、呪文のように繰り返しの多い 歌詞だが、右傾化を揶揄するような「機能障害」、念仏(?)を唱える「アジアの逆襲」、 「人間以上」などには印象的な言葉が使われている。 インストルメンタルの曲もあり、安藤広一がキーボードを担当した。 以下、作曲者とレコーディング・メンバーを紹介。 なお全てのボーカル、特記以外の全作詞は石井聰亙、全編曲はバチラス・アーミー・プロジェクト。 SIDE A : ASIA-SIDE 1. アジアの壊滅 作曲/バチラス・アーミー・プロジェクト ナレーション:小林克也 Synth:安藤広一 2. 機能障害 作詞/石井聰亙・福屋芝美、作曲/ヤンジ Guitar:下山淳 Bass:ヤンジ Drums:郷森信宏 Vocal:小林克也 3. Be Blood My Beat 作曲/バチラス・アーミー・プロジェクト Guitar:下山淳 Bass:ヤンジ Drums:郷森信宏 4. Go Street, Do Fight 作曲/バチラス・アーミー・プロジェクト Guitar:下山淳 Guitar:花田裕之 Bass:井上富雄 Drums, Percussion:池畑潤二...