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FILMS BY ボブ・グルーエン アンド ナディア・ベック『NEW YORK DOLLS・ALL DOLLED UP』

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2006年5月24日、コロムビア・ミュージック・エンタテイメントよりリリースのDVD。 昨年シンコーから出版された「コンプリート・ジョニー・サンダース」を読んで続いているジョニー・サンダース関連の音源探訪。 ニューヨーク・ドールズはオリジナル・アルバム2枚と編集盤『ロックン・ロール』を聴いているものの、その実像は私にとって掴みにくかった。動くドールズも見てみたい!と思っていたところ(まぁYouTubeでも見られるんだけど)、たまたま中古で見つけたこのDVD。たしか『コンプリート・ジョニー〜』にも掲載されていたなーと思い出し購入。 『ALL DOLLED UP』はフォトグラファーのボブ・グルーエンと妻のナディア・ベックがソニー・ポータパックという初期の家庭用ビデオ機材を購入、 3年間に渡りビデオ撮影された40時間以上の映像から厳選した映像で制作されたDVD作品。本編は約1時間30分ほどの全編モノクロ映像、良好とは言えない音質だが、マックス・カンサス・シティやマトリックス、ウィスキー・ア・ゴー・ゴー、ヒッポドロームなどのステージ・シーン、オフ、ツアー同行、テレビ出演時、リラックスしたインタビューなどの映像を見ることができる。 オープニングのスリリングな「Courageous Cat Theme」からエンドロールのシルヴェイン作「Teenage News」までラウドでナスティ、ポップなドールズの魅力を堪能した。『コンプリート・ジョニー・サンダース』のなかのジョニー・サンダース映像作品を紹介するページ(文・谷川信太朗)には、このDVDのことを“ 情報が0から100になった感はある ”と記載しているが、まったくそのとおりの作品。本編ではドールズの演奏シーンは細切れになっているが、ボーナス・フッテージにはその中から下記の12曲がフル演奏で収録されている。 at Kenny's Castaways 1. Human Being 2. Bad Girl at Max's Kansas City 3. Subway Train 4. Trash at Whisky A Go Go 5. Vietnamese Baby 6. Looking For A Kiss 7. Jet Boy at The Matrix 8. Mystery Girls 9. Personali

追悼・南正人

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南正人逝く。 南正人の曲を聴いたのは『第4回全日本フォーク・ジャンボリー1989』のCDに収録されていた、「スタート・アゲイン」が初めだったろうか。その後どこかの中古レコード屋でアナログ盤『南正人』(オリジナルリリース1973年)のジャケットを見て、これは買わなきゃいかんな、というある意味ジャケ買いであった(右上のジャケ写)。私が買ったのは1980年の再発盤だが、キャラメルママの演奏に、迫力と繊細さを兼ね備えた南正人の歌声、スワンプな味わいのある名盤だった。 それから『回帰線』(オリジナルリリース1971年)のCDを入手。こちらの演奏もリズム隊は細野+林立夫で1曲目の「Train Blue」のかっこよさに痺れた。リリカルな「夜をくぐり抜けるまで」、熱い想いが溢れる「愛の絆」や「青い面影」等、このアルバムもブルース/アコースティックなテイストも感じられる名盤だ。裸のラリーズの水谷孝がギターで演奏に参加した「果てしない流れに咲く胸いっぱいの愛」でアルバムの最後をキメている。「夜をくぐり抜けるまで」と「愛の絆」はオムニバス『OZ Days』に弾き語りで収録されていたな。文字通り命尽きるまで歌い続けた。 耳の奥底に残る南正人の歌声は、いつまでも我々の胸をきしませるだろう。

My Wandering MUSIC History Vol.88 JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS『L.A.M.F. Revisited』

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1984年、Jungle Recordsよりリリースのアルバム(日本では1984年、SMSよりリリース)。 1984年にリリースされたジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの『L.A.M.F. Revisited(邦題:L.A.M.F.〜復活)』。 このアルバムを聴くきっかけはもう覚えていないのだけれど、たぶんジョニーのソロ『ソー・アローン』を借りて聴いて気に入ったことから、ジョニーがソロ以前に発表していたグループの作品ということで日本盤アナログをやはりH君から借りたんだと思う。黒地にスプレーペイント風にL.A.M.F.とピンクで印刷されたジャケット・デザインはヴィヴィッドな印象を受けたし、当時は “ REVISITED ” といっても私はオリジナル盤『L.A.M.F.』を聴いていないから比べようもなく、私にとっては初めて聴いた『L.A.M.F. Revisited』が長年オリジナルといってもよかった。 1984年当時既にパンク・ロックからニュー・ウェイヴへと興味が移っていたものの、パンクというカテゴライズよりも、プリミティヴな魅力にあふれた、もっと根源的な魅力にあふれたロックンロールの作品として聴けた。アナログ盤からカセットテープに録音して愛聴したなぁ。 “ L.A.M.F.” ジョニー達が少年時代暮らしていたニューヨークで跳梁跋扈していたストリート・ギャングが壁に残すスプレー文字で“ Like A Mother Fucker ” の略。アルバム・タイトルにしたのはジェリー・ノーランのアイディアだという。オリジナル盤のジャケットではHEARTBREAKERS名義だったが、このリミックス盤ではJohnny Thunders & The Heartbreakers名義に変更されている。 “ REVISITED ” 調べてみると、再訪、再考、見直し、という意味があるようだけど、1977年秋にロンドンで録音・英トラック・レコードからリリースされたオリジナル盤のミックスに不満があったバンドや、ミックス/音質に批判的なメディア、リリース後1978年春頃にはトラック・レコードが倒産したため長く廃盤状態が続いた『L.A.M.F.』という曰く付きのアルバムにとって、6年余り後の1984年2月にジョニー・サンダース(アシスタントはジェネレーションXのトニー・ジェイムス)