FILMS BY ボブ・グルーエン アンド ナディア・ベック『NEW YORK DOLLS・ALL DOLLED UP』
昨年シンコーから出版された「コンプリート・ジョニー・サンダース」を読んで続いているジョニー・サンダース関連の音源探訪。
ニューヨーク・ドールズはオリジナル・アルバム2枚と編集盤『ロックン・ロール』を聴いているものの、その実像は私にとって掴みにくかった。動くドールズも見てみたい!と思っていたところ(まぁYouTubeでも見られるんだけど)、たまたま中古で見つけたこのDVD。たしか『コンプリート・ジョニー〜』にも掲載されていたなーと思い出し購入。
『ALL DOLLED UP』はフォトグラファーのボブ・グルーエンと妻のナディア・ベックがソニー・ポータパックという初期の家庭用ビデオ機材を購入、 3年間に渡りビデオ撮影された40時間以上の映像から厳選した映像で制作されたDVD作品。本編は約1時間30分ほどの全編モノクロ映像、良好とは言えない音質だが、マックス・カンサス・シティやマトリックス、ウィスキー・ア・ゴー・ゴー、ヒッポドロームなどのステージ・シーン、オフ、ツアー同行、テレビ出演時、リラックスしたインタビューなどの映像を見ることができる。
オープニングのスリリングな「Courageous Cat Theme」からエンドロールのシルヴェイン作「Teenage News」までラウドでナスティ、ポップなドールズの魅力を堪能した。『コンプリート・ジョニー・サンダース』のなかのジョニー・サンダース映像作品を紹介するページ(文・谷川信太朗)には、このDVDのことを“ 情報が0から100になった感はある ”と記載しているが、まったくそのとおりの作品。本編ではドールズの演奏シーンは細切れになっているが、ボーナス・フッテージにはその中から下記の12曲がフル演奏で収録されている。
at Kenny's Castaways
1. Human Being
2. Bad Girl
at Max's Kansas City
3. Subway Train
4. Trash
at Whisky A Go Go
5. Vietnamese Baby
6. Looking For A Kiss
7. Jet Boy
1. Human Being
2. Bad Girl
at Max's Kansas City
3. Subway Train
4. Trash
at Whisky A Go Go
5. Vietnamese Baby
6. Looking For A Kiss
7. Jet Boy
at The Matrix
8. Mystery Girls
9. Personality Crisis
10. Private World
at Club 82
11. Chatterbox
12. Pills
「Chatterbox」を歌うジョニーがかっこいい!ボ・ディドリーのカヴァー「Pills」は大好きな曲。その他のボーナス・フッテージも必見だ。
「フォトギャラリー」ではステージ写真、オフショット、様々なフォトセッションの写真が映し出され、撮影したボブ・グルーエン自身が解説をしている。ブラック・アンド・ホワイトだけでなく、ヴィヴィッドなカラー写真に写るドールズ、日本のレコード会社へ送るのためのフォトセッション、セカンド・アルバムのジャケット撮影の逸話もあり、約50分ほどだが貴重な証言を得ることができる。
また、「インタビュー」ではザ・ディクテイターズのハンサム・ディック・マニトバがボブ・グルーエンへのインタビュー(というか対談)をしており、当事者2人のこれまた非常に貴重な証言が聞ける。ドールズ、そしてジョニーへの愛情が感じられる内容だ。
ボーナス・フッテージには本編のヨハンセン、シルヴェイン、ボフ・グルーエンのコメンタリーがあるが、日本語字幕が無いのが残念。
先ごろ亡くなってしまったシル・シルヴェインのいつもファッショナブル、ポップでキッチュな服を身に纏ってギターを掻き鳴らす姿も印象的だったな…。