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THE STALIN『LAST LIVE 絶賛解散中!!』

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2025年3月12日、いぬん堂よりリリースのDVD。 ザ・スターリンの解散ライヴから40年、石井聰亙が監督した本編60分の他に、徳間に保存されていた4カメラ分の映像素材から新たに編集した約36分のボーナス映像を追加収録したDVD。初回限定特典で「ワルシャワの幻想」のアナザーミックスCDが付属した。しかし…税込5,000円とやや高めの価格。 2002年リリースの解散ライヴDVDは持ってるし、2012年の解散ライヴ完全版CD『I was THE STALIN 絶賛解散中〜完全版』もあるので購入するのを躊躇っていたのだが、ちょっとディスクユニオン近くに行く用事があって、用事の後にディスクユニオンに行ってDVDの現物を見たらそのまま購入してしまった。うーむ。 本編は暗闇と部分的なライティングを効果的に使用したステージ演出の「虫」で始まる。サイケデリックでダークなサウンド。「おまえの犬になる」ではザ・スターリンを葬り去る日に菊の花を抱え、喰いちぎるミチロウ。大量の紙屑が撒き散らされ舞いあがる美しさ、激しいナンバーで客の後方からステージを捉えた圧倒的な熱量の映像は石井聰亙ならではのものだ。 で、ボーナス映像は、 1. 廃魚  2. 猟奇ハンター  3. 渚の天婦羅ロック 4. 下水道のペテン師 5. STOP GIRL 6. 仰げば尊し 7. 解剖室 8. Fish Inn 9. エンディング:カノン を収録している。以前ビデオ『YOUR ORDER!』に1.と5.の未完奏の映像が収録されていたが、今回は完奏ヴァージョンで収録。その『YOUR ORDER!』にやはり未完奏で収録されていた「爆裂ヘッド」は今回は未収録で、DVDの解説(ジャケ裏だけど)によると今回確認した映像素材にも完奏ヴァージョンがなかったためと記載がある。6.も以前のDVDではコラージュ的な映像だったのを今回はライヴ映像のみで収録。エンディングの「カノン」は終演後に会場で流されたもので、ライヴ終了後の客の表情を追った映像。 石井聰亙監督のプロモヴィデオ3曲はこれまでもDVD化されていたものの、オープニングとエンディングの映像付きで今回初の完全収録というが、その違いはまぁマニア向けのものと言っていいと思う。 10. ロマンチスト 11.アレルギー  12.STOP JAP 初回特典付属CDはライヴ当日にP...

ロック・アーティストの詩集 国内編

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ロック・アーティストの詩集、国内アーティスト編。 『パンタ詩集 ナイフ』(JICC出版局刊・1989年初版) 私にとっては待望のと言ってもよかったかな。パンタが紡ぎ出すポリティカルでロマンチック、アヴァンギャルドでシュールでユニークでラディカル、時に暴走、時に不可解、さらに優しくて聡明な歌詞。えぇ新品で買いましたよ…この詩集は。頭脳警察「銃をとれ!」からソロ・アルバム『クリスタル・ナハト』迄、1970〜1987年の楽曲から、当時未発表の20編を含むパンタ自身が選んだ85編を収録した詩集。ヒロ伊藤と鋤田正義による写真ページ、吉原聖洋による詩の解説と年譜あり。充実した内容だ。帯の裏に書かれた紹介文は橋本治によるもの。 『遠藤ミチロウ全歌詞集 お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』(ソフトマジック刊・2001年初版) ザ・スターリン初の音盤、1980年のソノシート「電動こけし」から2000年の「21世紀のニューじじい」(間寛平への提供曲・ミチロウのヴァージョンはアルバム『AIPA』に収録)まで195編の歌詞を収録している。セルフ・カヴァー9曲入りCD付属。阪本順治(映画監督)と宮藤官九郎による解説あり。 『供花』(思潮社刊・1992年初版) 町田町蔵初の詩集。5章に分かれており134編の詩を収録、5章はINUのアルバム『メシ喰うな!』全曲とオムニバス『レベル・ストリート』収録の「ボリス・ヴィアンの憤り」、カセットブック『どてらい男又(やつ)ら』からタイトル曲を除く町蔵作詞の全曲、アルバム『ほな、どないせぇゆぅね』全曲の歌詞を収録している。1〜4章に収録されている詩の書かれ方として“時に書き下ろしを、時に今までのアルバムやライブの歌詞に手を加えたものを、年代順ではなく意識の流れに沿って書いていった”と記載がある。カセットブックのタイトル曲「どてらい男又(やつ)ら」は手を加えられ書き下ろしの詩となり1章に収められている。いくつかの詩の部分は後にリリースされた楽曲の歌詞になっている(「頭腐」、「出戻り春子」、「パワー トゥ ザ ピープル」)。大座談会と年譜、バンドメンバーの一覧あり。 『それから 江戸アケミ詩集』(思潮社刊・1999年新装第一刷) 初版は1993年に刊行。「試作」と題された6編の詩を含む49編が収められている。アケミの発言を文字起こしして掲載している...

PANTA参加ディスク4. 『365:A TRIBUTE TO THE STALIN』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 2001年1月24日にポリドールよりリリースされたザ・スターリンのトリビュート盤。まず丸尾末廣によるイラストの“STOP JAP!”なジャケットが最高。ライナーノーツはミチロウ自身によるもので“名だたる名コック、板前さんが、ボクの肉を使って、腕によりをかけて作ってくれた、鉄人(スターリン)料理”と書いている。ザ・スターリン・トリビュートだけど、ザなしのスターリン(「包丁とマンジュウ」)や遠藤ミチロウ・ソロ(「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」)の曲も取り上げられている。 パンタはPANTA & MUSCLE POLICE名義でそのミチロウ・ソロの代表作「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」をカヴァー。1984年リリースのカセットブック『ベトナム伝説』収録曲。マッスル・ポリス(筋肉警察)とはパンタの他に筋肉少女帯からベーシスト内田雄一郎、ギタリスト本城聡章が参加したユニット。パンタによるヴォイスと内田がベースとギター、ブログラミング、本城がギターとノイズとクレジットされている。ほぼ原曲通りのアレンジだが演奏はよりヘヴィ&ハードになっており、呟くようなパンタの声が重なる。曲の終盤にはパンタのヴォイスがダブルトラックになり厚みを増している。 愛と諧謔に溢れた暴力性、幻想と欲望のエロス、フリーキーな言葉の連続性と発展性を表現する遠藤ミチロウの歌詞…普段パンタが使用しないような言葉、表現を多く含んだこの曲に挑戦する新鮮さはあったと思うが…最後の決めゼリフとも言える“赤い色は大嫌いです!”をどうしても言えなくて“赤いトマトは大嫌いです!”と言い変えてしまってはミチロウに対するトリビュート度は増してしまっている…。まぁ『R☆E☆D』というタイトルのアルバムを作ってるくらいだかなぁパンタは…しょうがあんめぇ。 他の楽曲を紹介すると、セクシーでメランコリックな三軒茶屋'Sの「Stop Girl」、ザなしスターリン「包丁とマンジュウ」をファンキーにカヴァーした大槻ケンヂと電車、ダブな赤犬の「虫」、ストレートなカヴァーの犬神サーカス団「Stop Jap...

イヌイジュン著『中央線は今日もまっすぐか? オレと遠藤ミチロウのザ・スターリン生活40年』

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2020年6月26日 シンコーミュージック・エンタテイメントより出版。 ザ・スターリンのアルバム『trash』再発とほぼ同じタイミングで刊行されたイヌイジュンによるザ・スターリンと遠藤ミチロウ回顧録。 この本は、東京・国立市にあったぶどう園のアパートのシーンから始まる。 国立にあったぶどう園アパートについては、これまでに読んだことがあった。たとえば、元ミュートビートでDUBトランペッターのこだま和文は、 “ 国立市の西、当時「ぶどう園」と呼ばれていた一画があった。ぶどう畑を囲むように百軒ほどのバラック風のアパートがあった。売れないミュージシャンや画学生、ヒッピー風の若者たちが住んでいた、ぼくも、その中の一人だった。忌野さん縁の地でもある。” (こだま和文著『空にあおいで』K&Bパブリッシャーズ刊より) また、ガセネタのベーシストだった大里俊晴は、 “ 一橋大学の裏手にある、ブドー畑とか、ミュージシャン長屋、というと、知る人は知っているが、何十何百と知れぬミュージシャン、ミュージシャンの卵、自称ミュージシャン、その他モロモロの巣窟だ。 この、年間家賃滞納額が数百万とも噂される大集合住宅地に(中略)くだんのドラマー、乾の部屋を探し続けていた。”(大里俊晴著「ガセネタの荒野」月曜社刊より) ここでガセネタのメンバー(大里、浜野純、山崎春美)3人が訪ねて行ったのがイヌイジュン(乾純)だった。 イヌイはガセネタのドラマーになり、1度だけガセネタとしてライヴをおこなう。イヌイが遠藤ミチロウと出会う以前1978年のことだ。そして1979年春、イヌイは同じくぶどう園に住む遠藤ミチロウに声をかけた 。「パンク、好きなん?」 イヌイジュンはドラマーとして、ザ・スターリン以前のコケシドール〜バラシ〜自閉体から遠藤ミチロウと音楽活動を共にしていた。 コケシドール(1979年4月〜6月)〜バラシ(1979年7月〜10月):Vo&G・遠藤ミチロウ、D・イヌイジュン、B・辻村信也 自閉体(1979年10月〜1980年2月):Vo・遠藤ミチロウ、D・イヌイジュン、G・尾形テルヤ、B・立山ヒロキ 尾形と立山が脱退した1980年初頭、ミラーズ のヒゴ・ヒロシがミチロウとイヌイの写真を撮りたいと連絡があり、吉祥寺マイナーがあったビルの屋上で撮影。この本の巻頭にこの時撮影された7枚の写真が...

遠藤ミチロウ「オレの周りは」

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情況はいつも危機一髪で ウソをつくにはもってこいの話題ばかりなのさ

遠藤ミチロウ著『嫌ダッと言っても愛してやるさ!』

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2019年10月筑摩書房(ちくま文庫)より出版 遠藤ミチロウのファースト・エッセイ『嫌ダッと言っても愛してやるさ!』が文庫となって再刊された。今回が3回目の再刊となる。 これまでの出版経歴は、 1982年にダイナミックセラーズから出版されたオリジナル版 2003年にマガジン・ファイブから出版されたDVD付きの2003リミックス版 2007年に2003リミックス版からDVDを無くして出版された2007リミックス新装版 となっているが、私はダイナミックセラーズ版と2003リミックス版を持っているので、どうしようかなぁーと思っていたが本屋で見かけそのままレジへ…。 今回のちくま文庫版は下記の章から構成されている。 第1章【1980年代初期】「玉ネギ病のあやしい幻覚」 第2章【1980 - 1985】「嫌ダッと言っても愛してやるさ!」 第3章【1983.7.20】「カルチャーの瓦礫の中で」 第4章【2000 - 2003】「TALK ABOUT THE COMICS」 第5章【歌詞と詩と未収録エッセイ】 第1章は、 1982年〜1983年にかけて雑誌に発表したエッセイを集めたもので、2003リミックス版で追加された。なかでも雑誌宝島1982年11月号に掲載されていたエッセイ「死にたくない!」は、“ 北へ帰る「演歌」の時代は終わった。しかしそろそろ、北からやって来る「スターリン」の時代は「北方領土」より夢がないのだよ”という名フレーズを含む、東北・福島という出自を自虐的、差別的、肯定的に扱ったもので、ミチロウの東北への愛憎が感じられる必読のエッセイ。 第2章は、オリジナル・ダイナミックスセラーズ版に収録されていたエッセイ集。ZOO、DOLL、ロッキンオンといった音楽雑誌に掲載されたエッセイのためか、ピストルズーPIL、ストーンズ、ジャックス、宮沢正一、自主レーベル、ROCK SONGについて等の音楽的な主題を扱ったものが多い。雑誌ZOO1980年2月号に掲載されていたエッセイ「DISCOMMUNICATION FOR FUTURE!」には “ マスコミの発達・情報の過剰によって何かを表現しようとしたとたん、いやがうえでもたくさんの人々と強制的にコミュニケートさせられてしまう” となにやら表現ということについて、2019年の現代にもぴったり当てはまるような記述があるし、さらに ...

追悼・遠藤ミチロウ COMMENT ALLEZ-VOUS?「天国の扉」

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1996年3月15日、CITTA RECORDINGSからリリースのアルバム『愛と死を見つめて』より。 遠藤ミチロウが2019年4月25日に永眠したとミチロウ公式Twitterで明らかにされた。 日本のオルタナティヴ・ミュージックのリスナー、プレイヤーにとどまらず、アート、文芸など広く影響をあたえた…いや、遠藤ミチロウの作り出す音楽を聴き、パフォーマンスを体験して、ある者は遠藤ミチロウを溺愛し、ある者は嫌悪した、と言った方がいいのかもしれない。 エロもグロもサルも豚もアナーキストもロマンチストもインテリゲンチャーも天プラもニワトリも金メダリストもお母さんも父も、あらゆるコトバという生ゴミと臓物をバラ撒いてきたミチロウが亡くなったと発表されたのは2019年4月30日、翌日の改元祝賀に湧き返る日本への強烈なカウンターパンチだった。 それは偶然だったのだろうか…。共同幻想をブチ壊す事を至上命題としていたミチロウにとって改元一色のこの日に己の死を世に差し出すことは何よりミチロウらしかった、というのはあまりに礼を失するだろうか。 初期のTHE STALINについては以前書いたけどアルバム『STOP JAP』の後、私にとってエポックだったのは、1984年4月にリリースされ当時フォーマットも話題を集めたカセットブックの『ベトナム伝説』だった。「仰げば尊し」のパンクカヴァーや邦楽/洋楽カヴァー(ミチロウが日本語詞をつけた曲もあり)に加え3曲のオリジナル・ソングが収録されていたが、強烈な印象を残したのがオリジナル・ソングでミチロウ曰く “ボブ・ディランに捧げた” という「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました」だった。 “日本語ラップを実験してみたんだけど、ディスコ・ビートにどうも合わない。だから演奏も全然ファンクしないようにして、思い切って、ぶっきらぼうな福島弁を使った” とミチロウは語っている。歌詞に出てくる “パンツのはけない留置場は〜” の部分はミチロウが逮捕され留置場にいた時のエピソードを元にしているという。パンク/ヘヴィな演奏にディランの「Subterranean Homesick Blues」並みにコトバを詰め込んだミチロウの語りをのせたハードな曲。 演奏と語りというのはTHE STALINの「アーチスト」や「先天性労働者」からの流れとも言えるが、政治...

THE STALIN『STALINISM NAKED』

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2019年4月20日、いぬん堂からリリースのアルバム。 1987年1月にIndependent Recordsよりアナログ盤でリリースされた編集盤『STALINISM』。 THE STALINが初期〜解散する直前までにインディからリリースしたソノシート、シングル、オムニバス参加の音源を集めたものだった。 アナログ盤『STALINISM』の内容は、 SIDE A 1. 電動こけし 2. 肉 3. バキューム 4. 解剖室 5. Chicken Farm Chicken SIDE B 1. 豚に真珠 2. サル 3. コルホーズの玉ネギ畑  4. 猟奇ハンター 5. アーチスト A-1.2は、THE STALIN最初の音源で1980年5月ポリティカル・レコードからリリースのソノシート「電動こけし/肉」収録曲、 A-3.4は、1984年11月BQレコードからリリースのアルバム『Fish Inn』の通販特典ソノシート「バキューム/解剖室」収録の2曲、 A-5は、アメリカの雑誌『MAXIMUM ROCK N ROLL』が1984年5月にリリースしたオムニバス『Welcome To 1984』参加曲、 B-1〜5は、1981年4月ポリティカル・レコードからリリースのEP『スターリニズム』収録5曲全曲。 しかし音源は加工されており、「電動こけし/肉」とEP『スターリニズム』収録曲はエフェクト/イコライジングされた音像のものが収録されていた。個人的な想像でしかないが、オリジナルの簡素な録音を多少1987年当時の現代的な音に加工/補正した、ということだったのではないか(ミチロウやバンドがどこまで関与したのか定かではないが…)。 「コルホーズの玉ネギ畑」に顕著だが、オリジナルはよく言えばシンプルでタイト、悪く言えばやや貧弱な音質だったのだが、編集盤『STALINISM』ではエコー感の非常に強い音像になっている。残響が強調され、高音が耳につく。 『STALINISM』は1990年3月にMajor RecordからCD化。2005年にはSS Recordings/スカイステーションから「電動こけし/肉」とEP『スターリニズム』がアナログ盤とCDで再発、24bitデジタル・リマスタリングされたということだが、ソースとしては編集盤『STALINISM』と同じと思われる。2007年にリリ...

私の放浪音楽史 Vol.75 THE STALIN『STOP JAP』

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1982年7月1日 クライマックス/徳間音工よりリリースのアルバム。 ザ・スターリンのメジャーデビュー・アルバム。 インディでのEP『スターリニズム』やアルバム『トラッシュ』は借りて聴いた気がするが、当時スターリンは放尿、臓物投げなどの過激パフォーマンスの話題が先行しており、それほど身を入れて聴いてなかったなぁ…。この時期じゃがたらも流血などの過激パフォーマンスが話題になっていて、私が両バンドともこのあたりの音源に興味を持つのはずっと後になってからだ。 イギリスやアメリカの初期パンク、東京ロッカーズ、九州勢のルースターズ等と聴いてきて、 この頃にはイギリス・ニューウェイヴへ興味が急速に傾きだした頃。ピストルズ・スタイルのパンク・サウンドのザ・スターリンは逆戻り感があったことは確かなのだが(なにしろピストルズ実質解散から4年以上たってるからね)、黒地に日の丸、黄色い矢印付Sのジャケットも鮮烈な印象を残す『ストップ・ジャップ』はよく聴いた。 オープニングナンバーはアルバムと同日にシングルとしてもリリースされた「ロマンチスト」。インディの『トラッシュ』に収録されていた「主義者(イスト)」の再録で歌詞が追加されている。「STOP JAP」、「極楽トンボ」、「下水道のペテン師」は次作へ通じるハードなパンク・ナンバー。EP『スターリニズム』から「コルホーズの玉ネギ畑」の再録「玉ネギ畑」、別ミックスがシングル「アレルギー」として翌月リリースされた「アレルギーα」、性急な演奏と激しい言葉を叫ぶミチロウのラヴ・ソング「欲情」、もろピストルズな「MONEY」までアナログではA面に9曲が収録されている。 個人的にはB面のマイナーコードを使ったややウェットな印象の「STOP GIRL」~一転してドライな「爆裂(バースト)ヘッド」~ ギター・カッティングがカッコいい「MISER」の流れが好きだった、というか今も好き。ハード・コアな「負け犬」、抑えたヴォーカルの「アレルギーβ」、インディの『トラッシュ』ではライヴ・ヴァージョンが収録されていた「メシ喰わせろ!」はタイトルを「ワルシャワの幻想」として再録してアルバムは終了。 メジャーデビュー後、ミチロウは “サウンドのオリジナリティはどうでもいい”というような事を言っていたが、ドアーズ、イギー・ポップ、パティスミス・グループ、コントーションズ、ピ...

『日本パンク・ロッカー列伝』

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シンコーミュージック・エンタテイメント発行、2015年3月10日発売。 雑誌『Bollocks』の連載インタビュー「The Story of Legends」をまとめた本が発売された。 雑誌掲載分(No.007~017)から仲野茂、大江慎也、遠藤ミチロウ、パンタ、難波章浩、ヒカゲ、柴山俊之、NAOKI、BAKI、KATSUTA、中川 敬のインタビューを再録、取り下ろし取材でチャーミー、平野悠、南部裕一を追加して14人のインタビューが掲載されている。新旧の写真ページ、簡単な年表とアーティストの場合はディスコグラフィを含め各人12ページから20ページのボリューム。 最年長はロフトプロジェクトの平野悠・71歳、一番若くてハイスタの難波章浩・44歳。60代が3人、あとは40代後半~50代ってとこか。生い立ちから各グループでの活動内容、現在の活動までを手短にまとめてある。あの時はどうだったとか、あの頃バンドメンバーの関係はどうだったとか、伝説の裏付けをとる、みたいな感じもあるなぁ。 他の雑誌とかで読んだ内容もあるけど、まぁ人に歴史あり、でそれぞれ読めば面白い。 パンタのインタビューで言ってた氷川丸の証言をまとめて本にしたいっていうのは実現してほしいな。映画『狂い咲きサンダーロード』を見て真面目に音楽を聴くようになったという元・鉄アレイのKATSUTAは年表になぜか逮捕歴も記載。 いちばん興味深かったのは、柴山俊之のインタビュー。 1982年末新宿ロフトでのゲスト出演時のエピソード、1983年野音でのサンハウス再結成。その頃からサンハウスのパブリックイメージを演じ続けていた苦悩、などが語られている。最後の方で“この時代に生きていると、音楽なんて誰も欲してないんだ”って言葉、何年前かに他で聞いたフレーズだが、自分のやりたいことでそこを乗り越える、と音楽に対する意欲も語っていた。 中川敬の自分のやりたいことをやってきたインタビューも突っ走っていて痛快。現役感も強烈だ。関西イベンターで現・スマッシュウェストの南部裕一のインタビューも色んなエピソードがあり面白いものだった。

遠藤ミチロウ「原発ブルース」

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 “菅首相は自身と、原発の再稼働を図る海江田万里経済産業相との立場は異なるのではないかとの質問に、 「安全性が確認された原発を順次再稼働させてほしいというのは、全く同じ思いだ」と応じた” …安全神話ふたたび。

THE STALIN「玉ネギ畑」

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2007年10月発表の『Stop Jap Naked』より。 1982年7月にリリースされたスターリンのメジャーデビューアルバム『Stop Jap』がレコ倫によってかなり歌詞修正を余儀なくされた、という事はミチロウのエッセイ集『2003年版 嫌ダッと言っても愛してやるさ!』にも書いてあった。 それもスターリン・シフトで、他のアーティストが良くてもスターリンだとダメな言葉があった(“偏執狂”がルースターズはOKでスターリンはダメだった等)。このレコ倫によるチェックは、ミックスダウンした後におこなわれた。“ピー音で消す事も検討されたが、結局修正箇所の歌を入れ直し、 再度ミックスダウンしたものが1982年に発売された『Stop Jap』だ。 今回の『Naked』は残されていた修正前の歌詞の歌に戻し、テープスピードを早めていた「ロマンチスト」、「Miser」は元のスピードに戻している。ミックスダウンも新たにおこなわれ、全体的に太い音に生まれ変わっている。修正された箇所はかなりの数で、なぜダメなのか理解に苦しむような言葉もあるし、これではミチロウも怒るはずだ。 「玉ネギ畑」はスターリン初期から「コルホーズの玉ネギ畑」として演奏されている曲だが、 1982年版『Stop Jap』の呟くようなボーカルから、この『Naked』ではボーカルトラックがまるごと差し替えられ、ミチロウの激しいボーカル(ヒステリー・バージョン)になっている。 “玉ネギ病”については先の『2003年版 嫌ダッと言っても愛してやるさ!』に詳しいが、訳も無く泣けて、ほおっておくと死ぬほど健康的になるというのがこの病気の特徴らしい…。 それにしてもこの曲の“雨、風、陽照り”と歌われる箇所は最高にイマジネイティブ。この曲に限らずアルバム全て素晴らしい出来上がり。

スターリン「WALK BOY」

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1989年10月発表のアルバム『スターリン』より。 THE STALIN解散から4年後の1989年にSTALIN結成(途中VIDEO STALINというのがあるが)。 1989年は、2月にシングル「包丁とマンジュウ」、アルバム『JOY』、7月ビデオ『P』、9月シングル「勉強ができない」、10月アルバム『スターリン』 発売とリリースラッシュだった。それだけアーティスト、レコード会社側も新しいバンドに力を入れていたのだろう。 ギターにTHE LIPSの山盛愛彦、ベースにはパラノイア・スター時代にもベースを弾いていた西村雄介、ドラムはローザ・ルクセンブルグ、ルースターズの三原重夫。 ホームページ「三原重夫のページ」の中の「人のケツ見て24年」にこの頃のレコーディングや合宿についての記述があるが、 三原の“キーとリズムを中心に緩い構成がある他は自由にし、ソロパートなど長さも決めない演奏にミチロウの詞を融合する”という提案に “ミチロウも喜んだ”と書かれている。この三原の提案した即興性を重視したアプローチでこのアルバム製作は進められ、 3人が完成させたサウンドにミチロウの歌を後録りするという形がとられた。前作『JOY』では作詞・作曲遠藤ミチロウだったが、 『スターリン』収録曲の作曲は全てバンド名義でクレジットされている。 「Walk Boy」はディレイのかかったギターのフレーズと三原の弾くキーボードで始まり、シンプルなベース(音符の置き方が変わってるけど)、 ドラムが入り、ミチロウが羊の数を数え始める…。 歌詞は、“行かなけりゃ/Walk Walk Boy/こんなに遠くまで来たはずなのに/ ここがどこだかちっとも気にならない”という短いもの。 “こんなに遠くまで来たはずなのに”という表現がなんとも気持ち悪い。 淡々とした曲調だが、羊の数が100に近づく頃、曲の盛り上がりがピークを迎える。 羊は眠る為に数えているのではなく、歩き続け彷徨える羊(少年)たちを数えているのか。