PANTA参加ディスク4. 『365:A TRIBUTE TO THE STALIN』

ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。

2001年1月24日にポリドールよりリリースされたザ・スターリンのトリビュート盤。まず丸尾末廣によるイラストの“STOP JAP!”なジャケットが最高。ライナーノーツはミチロウ自身によるもので“名だたる名コック、板前さんが、ボクの肉を使って、腕によりをかけて作ってくれた、鉄人(スターリン)料理”と書いている。ザ・スターリン・トリビュートだけど、ザなしのスターリン(「包丁とマンジュウ」)や遠藤ミチロウ・ソロ(「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」)の曲も取り上げられている。

パンタはPANTA & MUSCLE POLICE名義でそのミチロウ・ソロの代表作「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」をカヴァー。1984年リリースのカセットブック『ベトナム伝説』収録曲。マッスル・ポリス(筋肉警察)とはパンタの他に筋肉少女帯からベーシスト内田雄一郎、ギタリスト本城聡章が参加したユニット。パンタによるヴォイスと内田がベースとギター、ブログラミング、本城がギターとノイズとクレジットされている。ほぼ原曲通りのアレンジだが演奏はよりヘヴィ&ハードになっており、呟くようなパンタの声が重なる。曲の終盤にはパンタのヴォイスがダブルトラックになり厚みを増している。

愛と諧謔に溢れた暴力性、幻想と欲望のエロス、フリーキーな言葉の連続性と発展性を表現する遠藤ミチロウの歌詞…普段パンタが使用しないような言葉、表現を多く含んだこの曲に挑戦する新鮮さはあったと思うが…最後の決めゼリフとも言える“赤い色は大嫌いです!”をどうしても言えなくて“赤いトマトは大嫌いです!”と言い変えてしまってはミチロウに対するトリビュート度は増してしまっている…。まぁ『R☆E☆D』というタイトルのアルバムを作ってるくらいだかなぁパンタは…しょうがあんめぇ。

他の楽曲を紹介すると、セクシーでメランコリックな三軒茶屋'Sの「Stop Girl」、ザなしスターリン「包丁とマンジュウ」をファンキーにカヴァーした大槻ケンヂと電車、ダブな赤犬の「虫」、ストレートなカヴァーの犬神サーカス団「Stop Jap」など全15曲を収録。

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