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Shiggy Jr.「SATURDAY NIGHT TO SUNDAY MORNING」

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2013年11月13日、モナレコードからリリースのミニ・アルバム『Shiggy Jr. is not a child』より。 Shiggy Jr.のファースト・ミニ・アルバム。アルバムのタイトルはShiggy Jr.のポップさが“ただ無邪気なだけじゃないぞ”という思いを込めたものなのだろう。 1曲めに収録されている「Saturday night to Sunday morning」はポップ全開、誰が聴いても解り易く楽しめる曲。 2枚めのミニ・アルバムと異なり、メンバーはキーボードを含む5人組体制でサウンドもバンド感のあるもの。軽快なリズム隊とキレのあるワウを使ったギター・カッティング、一度聴いたら歌いだしたくなるサビのメロディを持ち、熱いギター・ソロ、キーボードのソロもフューチャー、練られたアレンジで繰り返し何度も聴きたくなる、これまたキラーチューン。 ポップであることを至上命題にしているバンド(というかギターの原田)だからこそ作り出せたサウンド。繰り返す日常、少しの怠惰、楽しい時の輝き、その輝きが失われていく時の喪失感をうまく表現している歌詞も、感情が表出し過ぎずちょうどいい(これは他の曲にも言える)。このあたりが“not a child”なバランスといえると思う。「Saturday night to Sunday morning」はもともと原田がヴォーカルも担当していた以前のバンドで演奏していた曲だそう。 他の曲は、原田のヴォーカルも少し聴けるセンチメンタルな「サンキュー」、ヴォーカルの池田が好きだというチャットモンチーのテイストが感じられるサウンドのかっ飛びチューン「oh! yeah」、オルタナ系ノイジーなギターが聴ける「(awa)」、アルバムの中で唯一他のメンバー(ドラムの藤井良太)が作詞作曲した「今夜はパジャマ☆パーティー」は、多くの人に覚えがあるだろう深夜のまくら投げ戦争の歌。このミニ・アルバム・リリース時のバンドメンバーは全員同じ大学出身で、そんな学生生活の一端がストレートに伝わる曲、という感じ。ラストはアコースティックなラヴ・ソング「バイバイ」。全6曲入り。

Shiggy Jr.「LISTEN TO THE MUSIC」

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2014年7月16日、モナレコードからリリースのミニ・アルバム『LISTEN TO THE MUSIC』より。 たまたま見たJ-COMのテレビ番組「MUSIC GOLD RUSH」(お笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄が司会をしている)で取り上げられていたShiggy Jr.。インディーズ・バンドは山ほどあるなぁと思って見ていたのだが、このバンドのセカンド・ミニ・アルバム『LISTEN TO THE MUSIC』のジャケット・イラストを江口寿史が描いていると紹介があり、なんとバンドメンバーが江口寿史に直接ジャケットのイラストを依頼して実現したそうで、ギャラの交渉も直接したらしい。凄いね。思い切ってるね。番組では江口寿史のインタビューもあり “こういう直接交渉めったにないけど、ギャラの話もちゃんとして、音も気に入ったし”みたいな内容で、出来たジャケットは“ヘッドフォンに流れる音楽に身を委ねたい”という「Listen To The Music」の世界観をイラスト化したジャケットで、80年代ひばりくん等の漫画で慣れ親しんだオヤジの購買意欲を刺激する仕上がり。番組で流れたライヴの模様や、チェックしたYouTubeの動画の音も、いいじゃないか、という内容で購入。 Shiggy Jr.の初ライヴは2013年1月というから、まだ2年足らずのバンド。2013年に1枚目のミニ・アルバムをリリースしているが、その後ドラム、ベース、キーボードが脱退しており、ヴォーカルの池田智子とギターの原田茂幸の二人の他はメンバーが変わっている(ベース、ドラムが加入)。作詞作曲を手掛け、サウンド・プロデュースもしている原田がデモの段階から最終的なサウンドの作り込み・仕上げまでを行っているようだ。このミニアルバムも基本的に演奏トラックは原田の打ち込みによるもので、新メンバーの演奏はほとんど入っていないらしい。 タイトル・トラックの「Listen To The Music」もバンド・サウンドではなく、4つ打ちのディスコ・ビートにカラフルなシンセが加わり、ギターはほとんど聴こえない打ち込みのトラックに “どキュート”な池田のヴォーカルがのったダンサブルでPop&Funtimeなナンバー、キラー・チューン。まちがいなく多くの人に訴求する際立った魅力を持つメロディとサウンドだ。 それでほかの曲がどうかというと

My Wandering MUSIC History Vol.39 STRAY CATS『STRAY CATS』

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1981年、英アリスタよりリリースのアルバム。 ストレイ・キャツが登場するまで“ロカビリー”に縁がなかった私だが、彼らのファースト・アルバム『ストレイ・キャッツ』はかなり衝撃的だった。ブライアン・セッツァーのテクニック抜群でスリリングなギタープレイ、リー・ロッカーのスラップ・ベース、スタンディングで演奏するスリム・ジム・ファントムのドラムが一体となったスピード感がありながらも腰の据わった音像は、パンク・ロック好きの私の気分にもフィットし、それまで感じた事の無かった高揚感をもたらしてくれた。それにブライアン・セッツァーの金髪リーゼントのルックスももちろん気に入った。なるほどこれがパンク世代のロカビリー=ネオ・ロカっていうのか。ジャケットのコンクリートの地下室のような場所に立つ3人の佇まいもかっこいい。 アルバムの冒頭を飾るのは、イギリスでのファーストシングル曲「Runaway Boys」。渋いノリで始まり、ブライアンのヴォーカルに魅せられ、ギターソロが炸裂する頃にはストレイ・キャッツの虜になっているだろう。挨拶がわりの1曲だ。ストレイ・キャッツはアメリカのバンドだがこのデビューアルバム発表前、なかなか盛り上がらないアメリカでの活動に業を煮やしイギリス行きを決意、イギリスでのライブ活動はすぐに評判を呼び、様々なイギリスのミュージシャンが絶賛し、またレコード会社の争奪戦になった。結局、英アリスタと契約しデイヴ・エドモンズをプロデューサーに起用しアメリカ本国に先駆けレコード・デビューとなったのであった。 古いロカビリー曲(「Bop Bop Ba Doo Bop」)を参考にした「Fishnet Stockings」、ウォーレン・スミスの曲をパンキーにカヴァーした「Ubangi Stomp」は裏打ちのギターカッティングが熱狂を誘う。エディ・コクランのスピード感溢れるカヴァー「Jeanie Jeanie Jeanie」、1979年に発生したイランのアメリカ大使館人質事件に材を取った「Storm The Embassy」はマイナー調でストレートなロック。この曲に影響された日本のバンドも多いのじゃないか。ストレイ・キャッツの代名詞ともいえる「Rock This Town」は英セカンド・シングルで本国アメリカでのファーストシングル。どちらの国でもヒットした。「Rumble In Bri

THE HEARTBREAKS「SAVE OUR SOULS」

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2012年5月Nusic Soundsよりリリースのアルバム『FUNTIMES』より。 だいぶ前のアルバムなのだけれど最近入手して暫く車の中で聴いている。クロスビートのムック「80's Guitar Pop Disc Guide」に80年代じゃないけど紹介されていた見覚えのあるジャケを中古で発見、購入。 ハートブレイクスという、まんまなバンド名はどうかなーと思ったが、琴線に触れるメロディとギターワーク。タイトなリズム隊。良いね。ザ・スミスが引き合いに出されているが確かに『クイーン・イズ・デッド』の頃のスミスかなぁとも思う。それにヴォーカルは少しエドウィン・コリンズを思わせるスタイル。実際エドウィンが関わったトラックもある。全10曲のアルバムで長さもちょうど聴き易い。 どの曲も良いのだけれど選んだのは9曲目「Save Our Souls」。 ハネたリズムにキラキラしたギターサウンドのアルバムの中でも特にポップでキャッチーな曲。それに “We can walk in the settings of our favourite Smiths songs” なんていう歌詞も出てくる。なかなか無いよね、こういうリスペクトの表し方は。ハートブレイクスみたいなギターバンドが必ずイギリスには存在するんだよなぁ。ブリット・ポップ健在。 ジャケットに写るタイトルの写真は、閉鎖された古い遊戯施設のアーケードを撮影したものだという。そんな失われた“楽しい時”を今に甦らせるサウンドを飾るにふさわしい。

佐野元春「CONFUSION」

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2014年10月29日ソニー・ミュージック・ダイレクトからリリースのアルバム『VISITORS DELUXE EDITION』より。 オリジナル発表から30年、完全生産限定の4枚組(CD×3、DVD×1)と写真集の超豪華記念盤で、大きなトピックはアルバム『VISITORS』制作時に録音されながら未発表だった「Confusion」が収録されていることだが、2004年に『VISITORS 20th Anniversary Edition』を購入済みの私としては、iTunesから「Confusion」のみ購入した。 決して安くはない価格のリパック再発に関してはいろいろと言われているし、私みたいに購入を見合わせた人もいると思うが、佐野元春のリスナー/ファンへの配慮はデジタル配信でこういうレア・トラックをアルバム購入のみにしないで、レア・トラック1曲のみでも購入できるようにしていることだ。まぁ256kbpsの音質で我慢しなければいけないけど。歌詞が読めないのも寂しいけどね…。 「Confusion」はクールな質感をもったエレクトリックなタンゴ/ラテン・テイストの曲で、オリジナル『VISITORS』に収録されていても良かったんじゃないか、と個人的には思う。前作までのテイストを強くもった「Tonight」と当時ニューヨークのカルチャーから影響を受け、ファンクやヒップホップの手法を大胆に取り入れた楽曲のちょうどあいだに位置するようなポップなメロディをもった曲だ。歌詞もなかなか刺激的。 「Complication Shakedown」のラストのギターサウンドと「Confusion」の冒頭のエフェクトのつなぎが良いかなと思って、私のiPodではオリジナル『VISITORS』の「Complication Shakedown」と「Tonight」の間(つまり2曲目)に入れて聴いている。

My Wandering MUSIC History Vol.38 Dr. FEELGOOD『MALPRACTICE』

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1975年、United Artistsよりリリースのアルバム。 しかしこのフィールグッズのセカンド・アルバムは因果なタイトルとも思えるなぁ、先日のウィルコの病気が誤診だったニュースを見ると。このタイトル、フィールグッド医師はヤミ医者って感じかな。 1980年頃にARBを聴くようになって、そのサウンドのルーツだっていうので私の友人たちはDr.Feelgoodを聴き始めていた。その頃初期ウィルコ在籍時のフィールグッズで入手しやすかったのはこのセカンド・アルバム『マルプラクティス(邦題:不正療法)』で、私が初めてフィールグッズを聴いたのはこのアルバム。英UAからのリリースだが私が聴いたのはアメリカのコロムビア盤だった。なので名盤ファーストはもう少し後で聴いた。だけどこのセカンドもファーストと同じくらい良くできたアルバムで聴き易く大好きなアルバム。 ボ・ディドリーの曲でジョニー・キッド&ザ・パイレーツ版を参考にしたと思われる「I Can Tell」で始まるがイントロ一発でノックアウト。ウィルコは16~17歳ころ、ジョニー・キッド&パイレーツのシングル「I Can Tell」が物凄く好きなレコードで、友達の家に行くときはいつも持っていって聴いていたそうだ。カヴァー曲では、ヒューイ“ピアノ”スミス&ザ・クラウンズのR&B「Don't You Just Know It」の緩いノリが最高だし、第9監獄の暴動をテーマにしたザ・ロビンズ「Riot In Cell Block No.9」でマシンガンサウンド炸裂!。これも古いブルースでキャンド・ヒート等がカヴァーしていた「Rolling And Tumbling」、イントロのリフとリズムが印象的なボビー・パーカー「Watch Your Step」を取り上げている。 ウィルコのペンによる曲では、代表曲のひとつとなる「Back In The Night」、カキコキ・ギターが特にカッコいい「Another Man」、ブルージィな「Don't Let Your Daddy Know」、ドクターネタの「You Shouldn't Call The Doctor (If You Can't Afford The Bills)」ではリー・ブリローとウィルコのダブル・ヴォーカルも聴きもの。 このほか、ウィルコ・ジ