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私の放浪音楽史 Vol.63 斉藤哲夫『いまのキミはピカピカに光って』

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1980年6月21日、キャニオンよりリリースのシングル。 確かにこのシングルが発売された1980年半ば頃、この曲を聴いてはいた。いや正しくはテレビのCMで見ていた、というべきか。ミノルタ・カメラのコマーシャル、登場するのは宮崎美子。海辺の木陰でシャツとジーンズを脱いで水着姿になる映像は日本中の注目を集めるものだった。このCMがお茶の間デビューとなった宮崎美子は、爽やかなセクシーさ…アグネス・ラム系列な感じか…。そしてCMで流れた歌を歌っていたのが斉藤哲夫。CMの映像とともに斉藤哲夫の歌もお茶の間に浸透し大ヒットしたが、私は1980年頃フォーク関係のアーティストは全くと言っていいほど聴いていなかったので、この曲のシングル盤を手に取ったのはもっと、ずーっと後だ。たぶん1990年以降だと思う。斉藤哲夫のCBSソニーからのアルバムがCD選書で再発され聴いていた頃だ。友人からこんな話が耳に入ってきた。 “ あの斉藤哲夫が歌っていたCMソング「いまのキミはピカピカに光って」の演奏は(PANTA&HALの)HALがやっているらしいぜ ” 作曲と編曲は鈴木慶一。鈴木慶一が1980年初頭までPANTA&HALのアルバムを手掛けていた関係からありえない話ではないな、と思って中古で入手した。何しろ売れたトップテン・ヒット・シングルだから、その辺のリサイクルショップでも安く買えた(いまでもありそう)。キャッチコピー的な糸井重里の作詞で、当初CM用の長さ“いまのキミはピカピカに光って~”と歌う箇所しか作られておらず、CMがオンエアされてすぐにシングル発売されることが決まり、他の部分を付け足して1曲分にしたという逸話がある。 シングル盤のジャケットは表が瑞々しくキュートなポーズの宮崎美子の写真、シングル盤は大体そうだけどジャケ裏には歌詞が載っているのみで演奏者の名前はない。HALがレコーディングしているのか、演奏から判断するにも確かにそう言われればなぁ、という感じ。ギターと共に印象に残るキーボードのフレーズ。『1980X』はキーボード抜きで録音されていたが、アルバムリリース後にキーボードの石田徹がHALに参加してるし。 今回ネット検索してみたけど、あまり有力な情報は無かった。私が持っているムーンライダーズやPANTA&HAL関連の雑誌・本・CDブックレットを読み返してみ...

私の放浪音楽史 Vol.61 MOONRIDERS『カメラ=万年筆』

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1980年8月25日、パナム/クラウンよりリリースのアルバム。 『モダーン・ミュージック』と共に聴いていたのが、この奥村靫正デザインのジャケットに包まれたアルバム『カメラ=万年筆』。全ての曲が映画(に関連した)タイトルであり架空のサウンドトラック・アルバムとして制作された。アルバム・タイトルからして難解な印象だが、フランスの映画監督アレクサンドル・アストリュックが1948年に発表した映像理論から引用されている。奥村靫正がゴダールへのオマージュとして映画『小さな兵隊(原題:Le Petit Soldat)』のシーンを独自に写真にしていったという裏ジャケも凝った作りで、イマジネーションを刺激する出来栄え。 ムーンライダーズのアルバムの中では情緒・感傷を排したパンキッシュと感じる事の出来るものだ。それはアルバム冒頭の「彼女について知っている二、三の事柄」のスピード感に顕著なのだが、音響的なカヴァー「第三の男」のテーマを挟んで、続く「無防備都市」の冷たく性急でソリッドな感触、暗号のような歌詞の「アルファビル」、 ヒロシマに材を取ったアラン・レネ監督の映画"Hiroshima Mon Amour ”の邦題だった「24時間の情事」。ここまでが特にスピーディな展開だ。「24時間の情事」では"町にニュートロン・シャワー/やきついた彼女のシャドウ”と原爆をイメージさせる歌詞が歌われている。ベースラインが際立つ「インテリア」はベーシスト鈴木博文作、リズムトラックが実験的な「沈黙」、佐藤奈々子が歌う短い「幕間」でアナログA面が終了というのも気が効いた作り。 カヴァーで乱調気味のツイスト「太陽の下の18才」、言葉/単語の響きが面白い効果を生んでいる「水の中のナイフ」、 実験的な「ロリータ・ヤ・ヤ」はキューブリックの映画「ロリータ」からのカヴァー、かしぶち哲郎作「狂ったバカンス」。いつもはしっとりとした印象を持つかしぶち作品もこのアルバムではリヴァーブが効いたドライな出来上がり。刺激的な単語が並ぶ「欲望」、洗練されたサウンドの「大人は判ってくれない」、ラストはインストの「大都会交響楽」。 全曲が2分台~3分台の曲で短いことも印象をコンパクトにしていて、トータルで完成されたアルバムだ。実験的な要素も強く、聴き易いが難解な印象も。その実験精神は次作へと強く引き継がれることになる。 このアルバムに...

私の放浪音楽史 Vol.60 MOONRIDERS『MODERN MUSIC』

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1979年10月25日、パナム/クラウンよりリリースのアルバム。 ムーンライダーズを知ったのはPANTA&HAL繋がり(鈴木慶一による『マラッカ』と『1980X』のプロデュース)だったか、それとも1979年頃、雑誌「ロッキンf」かなにかに載ってたメンバー全員がヘルメットをかぶって演奏している写真を見たのが最初だったか…。後の映画『爆裂都市』に登場するスーパーポリスみたいな近未来的なヘルメットを被ったムーンライダーズの写真はインパクトあったなぁ。今で言うとMAN WITH A MISSIONの写真を初めて見たのと同じ感じ? それで初めて聴いたムーンライダーズのアルバムが『モダーン・ミュージック』だった。1981年頃だったと思う。音の質感というか聴いた感じがPANTA&HALの『1980X』に似てるなぁという印象があって、調べてみると『モダーン・ミュージック』は1979年7月~8月にかけて、鈴木慶一が足繁く通っていた原宿カル・デ・サックというバーと同じ建物の上階にあったスタジオ、ディスコメイト・スタジオで録音された。鈴木慶一がプロデュースしたPANTA&HAL『1980X』は1979年10月~1980年1月にかけて録音、こちらもビクター・スタジオと共にディスコメイト・スタジオがクレジットされている。もちろんバンドが違うし内容は別物だけれど、 両アルバムともに鈴木慶一が当時感じた時代の空気感がパックされているんじゃないか。 アルバムの冒頭は「ヴィデオ・ボーイ」。当時一般に普及していなかったヴィデオ鑑賞というより、テレビ中毒人間を描いた内容(同時期にリリースされたバグルス"Video Killed The Radio Star”との同時代性を感じる)。いまなら“スマホ・ボーイ”か。ソリッドなギターフレーズ、行き交う電子音、ヴォコーダーのヴォイスが印象的でアルバム中一番ニューウェイヴ化を感じられる楽曲。テクノ・ポップな「グルーピーに気をつけろ」、ハードボイルドな「別れのナイフ」、ディスコ通いのBoys&Girlsを描いたムーンライダーズ版"スターダスト・キッズ”「ディスコ・ボーイ」、「ヴァージニティ」は鈴木慶一の描く純潔または恋の衝動についての曲で当時から好きな曲。ここまでアナログA面。 このアルバムを代表する曲「モダーン・ラヴァーズ」。物質・...