My Wandering MUSIC History Vol.63 斉藤哲夫『いまのキミはピカピカに光って』
確かにこのシングルが発売された1980年半ば頃、この曲を聴いてはいた。いや正しくはテレビのCMで見ていた、というべきか。ミノルタ・カメラのコマーシャル、登場するのは宮崎美子。海辺の木陰でシャツとジーンズを脱いで水着姿になる映像は日本中の注目を集めるものだった。このCMがお茶の間デビューとなった宮崎美子は、爽やかなセクシーさ…アグネス・ラム系列な感じか…。そしてCMで流れた歌を歌っていたのが斉藤哲夫。CMの映像とともに斉藤哲夫の歌もお茶の間に浸透し大ヒットしたが、私は1980年頃フォーク関係のアーティストは全くと言っていいほど聴いていなかったので、この曲のシングル盤を手に取ったのはもっと、ずーっと後だ。たぶん1990年以降だと思う。斉藤哲夫のCBSソニーからのアルバムがCD選書で再発され聴いていた頃だ。友人からこんな話が耳に入ってきた。
“ あの斉藤哲夫が歌っていたCMソング「いまのキミはピカピカに光って」の演奏は(PANTA&HALの)HALがやっているらしいぜ ”
作曲と編曲は鈴木慶一。鈴木慶一が1980年初頭までPANTA&HALのアルバムを手掛けていた関係からありえない話ではないな、と思って中古で入手した。何しろ売れたトップテン・ヒット・シングルだから、その辺のリサイクルショップでも安く買えた(いまでもありそう)。キャッチコピー的な糸井重里の作詞で、当初CM用の長さ“いまのキミはピカピカに光って~”と歌う箇所しか作られておらず、CMがオンエアされてすぐにシングル発売されることが決まり、他の部分を付け足して1曲分にしたという逸話がある。
シングル盤のジャケットは表が瑞々しくキュートなポーズの宮崎美子の写真、シングル盤は大体そうだけどジャケ裏には歌詞が載っているのみで演奏者の名前はない。HALがレコーディングしているのか、演奏から判断するにも確かにそう言われればなぁ、という感じ。ギターと共に印象に残るキーボードのフレーズ。『1980X』はキーボード抜きで録音されていたが、アルバムリリース後にキーボードの石田徹がHALに参加してるし。
今回ネット検索してみたけど、あまり有力な情報は無かった。私が持っているムーンライダーズやPANTA&HAL関連の雑誌・本・CDブックレットを読み返してみたけど 「ロック画報06・ムーンライダーズ1976→∞」の小暮秀夫の記事(バッキング&プロデュースの航跡=功績②・パンク/ニューウェイヴ期1978~1983年)に、“HALをバッキングに迎えてレコーディングした斉藤哲夫の「いまのキミはピカピカに光って」”の記載があるのみだった。
ただ、この「ロック画報06」には当の斉藤哲夫の談話が載っていて “「いまのキミは~」でライダーズをバックにヴォーカルやってくれという話が来て、 最初はCM用の短いのを録った”と記載があるので、CM用のバッキングはムーンライダーズでシングル盤のバッキングはHALなのか…真相は分からず…。