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浅川マキ『SINGLE COLLECTION』

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2020年9月30日、ユニバーサルからリリースのコンピレーション・アルバム。 配信限定でリリースされていた『シングル・コレクション』が、浅川マキ没後10年となる2020年に初CD化された。 浅川マキというと下山淳と池畑潤二、奈良敏博 が参加した曲を含むライヴ・アルバム『夜のカーニバル』や 『Stranger's Touch』、『black』といったアルバム、ビクター・ニューロック・シングル集『からのベッドのブルース』に収録された浅川マキのデビュー・シングル「東京挽歌 c/w アーメン・ジロー」を聴いたことはあった(ビクター・ニューロック・シングル集には頭脳警察のシングル曲が収録されていたので購入)。 上記の他には通販用と思われるベスト『夜が明けたら』(The CD Club)をどこかの古本屋で安く買ったくらいだった。 再デビューといってもいい1969年7月リリースの「夜が明けたら」から1988年12月リリースの「見えないカメラ」まで、東芝からリリースされた全11枚のシングルAB面の楽曲が年代順に収録されており、そのなかには初CD化のシングル・ヴァージョンを含み、CD2枚組で2,500円(+税)という価格でリリースされるというのだから、浅川マキ入門編として良いのではないかと思い購入。このシングル集で再デビューから約20年の浅川マキの変遷を(わずかな楽曲ではあるが)辿ることができる。 オリジナル・アルバムを持っていないので聴き比べは出来ないが、ライナーノーツ(藤脇邦夫による・読み応えあり!) より引用すると、 シングル・ヴァージョンを収録しているのは、 「夜が明けたら」:蠍座でのライヴ・ヴァージョン 「ちっちゃな時から」:ヴォーカルの音量を上げたシングル用ミックス 「ふしあわせという名の猫」:ストリングス入りの別テイク 「港の彼岸花」:アルバムとは別テイク 「赤い橋」:シングル・ヴァージョンと記載があるが違いの記載はなし 「こんな風に過ぎて行くのなら」:アルバムとは別テイク 「さかみち」:シングル・ヴァージョンと記載があるが違いの記載はなし 「翔べないカラス」:明大前キッド・アイラック・アート・ホールでのライヴ・ヴァージョン 「マイ・マン」:アルバムとは別テイク 「こころ隠して」:シングル用のエディット・ヴァージョン 「アメリカの夜」:1986年のアルバム『アメ

水上はるこ「アインシュテュルツェンデ・ノイバウンテン、そして石井岳龍監督の『半分人間』」

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MUSIC LIFE CLUBに連載されている、水上はるこ「最低で最高のロックンロール・ライフ」 第4回 に「アインシュテュルツェンデ・ノイバウンテン、そして石井岳龍(当時は石井聰亙)監督の『半分人間』」が掲載されている。 ハンブルグ~西ベルリン~ロンドン~ローマ~東京。 水上はるこの足跡をたどり、東京で交差した若き才能の融合を書き下ろしで掲載している。なかでも石井聰亙が朝飯前と廃工場(鉄工所の廃墟)を探し出し、ゲリラ的に道路上の撮影を実行する記述には、ニヤリとしてしまう。 『半分人間』のヴィデオは日本では未DVD化だと思う。チェリーレッド・レコードでDVD化されていたけど(右上のジャケ写)これも廃盤になっているようだ。挿入されるスクラップヤードのカット、廃工場で炎をバックに演奏するノイバウンテン。舞踏集団・白虎社の起用もイマジネイティヴだし、電気ドリルやサンダーなど“楽器”が紹介されているのもユニーク。水上はるこはコーディネイターとしてクレジットされていた。 余談だけどレコーディング・ディレクターでクレジットされているのは柏木省三。たしかブリクサは『逆噴射家族』がドイツで上映された時に観てとても気に入り、石井聰亙にバンドのフィルムを撮ってほしいとアプローチしたとどこかで読んだ。

追悼・筒美京平

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作曲家・筒美京平逝く。 1970年代、1980年代の歌謡曲・アイドルのヒット曲は、歌唱が男でも女でも覚えようとしなくても覚えてる曲もあるし、今でも歌えるものもある。まぁ女性アイドルはシングル盤を持ってる曲もある。作曲リストを見ると「ブルーライトヨコハマ」かなぁ。最初にリアルタイムで聴いたのは。男性が歌った曲だと「また逢う日まで」だなぁ、子ども心に印象に残ったのは。思い出とともにある数えきれない曲たち。 やはり「強い気持ち・強い愛」かな。 50年以上におよぶ作曲家生活、お世話になりました。 

映画『BLADE RUNNER』FIVE-DISC ULTIMATE COLLECTOR'S EDITON DVD

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 『ブレードランナー』のブルーレイ(3ヴァージョン収録版)を買ったり、『ブレードランナー2049』をレンタルで見たり、町山智浩著『映画の見方がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』や『ブレードランナー究極読本』を買ったりして自分の中でブレードランナーがちょっとブームだったのは去年の2月頃だったが、ようやく“2つで充分ですよ”の謎の答えを目撃できた。 ワークプリントを収録している、2007年にリリースされた『25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション』を購入。まぁブルーレイ版もあるけど、中古で安かったのでDVDボックスにした。“2つで充分ですよ”の謎の答えとなる映像はワークプリント版とこのボックスに収録されている未公開シーン集にも登場する。その2つの物はワークプリントと未公開シーン集では違って見えるのだが、わたしは未公開シーン集に映っているのが好み。あーすっきりした。 ワークプリント目当てでこのボックスを購入したのだが、ディスク4に収録されている未公開シーン集も劣らずというかそれ以上に興味深い内容で、ホールデンの入院シーンやデッカードとレイチェルの濃厚なラヴシーン、ブライアンとガフのオフィスでのデッカードに関する謎めいた会話など、劇場公開版では見ることができない知られざる『ブレードランナー』の奥深さを見ることができる。 同じようにディスク2に収録されている『デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー』も非常に面白い。あの“2つで充分ですよ”の屋台は“ホワイト・ドラゴン”という名前の店だった。『ファイナル・カット』も初めて見た。鳩の飛び去るシーンはこれまでのものが私は好きだ。たとえ状況と矛盾していても、青空に飛び去る鳩はロイとデッカードの死闘の後には相応しい。

JAJOUKA『ASADACARIBU』

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2020年9月16日、LABORATORY RECORDSよりリリースのアルバム。 前作リリースから約3年半ぶりのJAJOUKAの新作。 ほぼ日本脳炎のメンバーが揃い2016年にバンド名がひらがな表記になり、前作『じゃじゅうか』を2017年にリリース、さらにバンド名は日本脳炎じゃじゅうかに変更。2018年初頭にはバンドHPのブログに日本脳炎のヴォーカルだったキイチをバンドに誘っていたという逸話が掲載されていた。数度バンドに誘うもキイチは ”このバンドで俺に何が出来るか自信がない” と固辞した、とある。日本脳炎再生は実現しなかった。2019年にはバンド名がじゃじゅうかに戻り、ベースの130が去り、ヒノ(=松)は弾き語りライヴを始め、2020年早々にはギターのパティ脱退の報告が。 Vo/G ヒノ& D マルは、2人でユニットとして活動していくことを確認、バンドスタイルの音源(つまり前作)は、じゃじゅうかのファーストアルバムにはしたくないってことで今回、全てを自身(Vo/G ヒノ& D マル)の力で製作しようとPCやソフトを一新し自らが納得のいく音源をDIY作成したのがこのアルバム。バンド結成10周年記念盤。 収録曲は、 1. DRY 2. WHY 3. FRUSTRATION ARMY 4. 真夜中のシークレット 5. 100%の退屈 6. 流線形 7. 紛れ込んでブルー 1はJajoukaの3rdシングル「ERECTROCK」収録曲の再録。 2は前作『じゃじゅうか』に「Why...!?」として収録されていた曲の再録。 3も前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 4はJajoukaの3rdシングルや前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 5は日本脳炎のアルバム『香港カフェ』やTHE BACILLUS BRAINSのアルバム『電撃都市通信』、前作『じゃじゅうか』収録曲の再録。 6は日本脳炎の代表曲で『狂い咲きサタデーナイト』収録曲の再録。 7はJajoukaの1stシングルやJajoukaの3rdシングル、前作『じゃじゅうか』収録されていた「僕と悪魔のブルーズ」を改題して再録。 こうしてみると前作『じゃじゅうか』収録曲をプラスして、エレクトリッック/テクノ路線を追求した3rdシングルを発展させたものといえるか。 現体制での最初の音源ということで、前作収録曲を再録音

佐野元春&ザ・コヨーテバンド「エンターテイメント!」

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  NHK「SONGS」佐野元春を見る。 インタビューした武田真一アナは熱心な元春ファンだそう。ライヴはコヨーテバンドと、 「約束の橋」 「ニューエイジ」 「エンタテイメント!」 の3曲を演奏した。 「約束の橋」 いつの間にか佐野元春の代表曲になったな。この曲を聴くと牧瀬里穂とゴローちゃんを思い出す。“くるおしくミツバチの群をすり抜けながら”って歌詞が好き。 「ニューエイジ」 革新的アルバム『VISITORS』収録曲。“昔のピンナップはみんな壁からはがして捨ててしまった”って繰り返すところが好き。アズテック・カメラ「Walk Out Winter」の一節を思い起こさせる。 「エンタテイメント!」 新曲。YouTubeにこの曲のヴィデオがアップされた時に聴いた。その時は、苦しい時をエンタテイメントが癒すっていうアップテンポでポップな曲だな、と思ったのだが、今回「SONGS」で初めて歌詞を読んで、これはエンタテイメント業界に向け痛烈に異議申し立てたシリアスな歌詞だな、と思った。佐野自身もRolling Stone Japanのインタビューで “エンタテイメントへの愛と皮肉の背中合わせって感じ ”と語っている。爽やかなアレンジの演奏にのせて、 It's just entertainment 束の間でいい イヤなことを忘れる夢のような世界 と歌い、あたかもエンタテイメント讃歌のように聴こえてしまうが、転調部分ではこう歌われている。 落ちてゆく星を見ていた夜 It's just Entertainment 誰もが落ちてゆくあの人を見ていた夜 It's just Entertainment この曲は去年(2019年)に書かれたというが、最近輝きを消してしまった幾つかの星を思うと、またせつなく響く。