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VARIOUS ARTISTS『LOFT SESSIONS VOL.1 featuring female vocalists』

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先日紹介した平野悠著『 1976年の新宿ロフト 』の中でも触れていた、ロフトが立ち上げた“LIVE HOUSE LOFT SERIES”(通称ロフト・レーベル)としてビクターから1978年3月にリリースされた『ロフト・セッションズ Vol.1 フィーチャーリング・フィメール・ヴォーカリスツ』。素晴らしい夜景のジャケ、そのタイトルからロフトで行われたライヴ・セッションの模様を収めたアルバムと勘違いしそうだが、ライブ作品ではなくロフトに所縁あるミュージシャン達、6人の女性ヴォーカリストによりビクターのスタジオで録音された楽曲を収録している。プロデュースは『1976年の新宿ロフト』で平野悠と対談していた牧村憲一、エクゼクティヴ・ブロデューサーは平野悠。 1970年代の後半、“ライヴハウスから新人を発掘しよう”をテーマにロフトの平野悠が、牧村憲一をプロデューサーとして迎えレコード事業に参入、ロフト・レーベルとしては2枚目のアルバム・リリースが『ロフト・セッションズ Vol.1』だった。 ピピ&コットでデビューしソロでも作品を発表していた吉田佳子はシンガーとして数年間のキャリアがあるものの、他の5人のシンガーはこのオムニバス作品が音源デビューとなった。 ロフトで行われていた新人オーディションで選ばれた大高静子(おおたか静流)、 紀ノ国屋バンドのリード・ヴォーカル高崎昌子(1979年にアルバム『ストリート・センセイション』をリリース)、 1979年にソロ・デビュー・アルバムをリリースする上村かをる、 当時大学生だったという堤遙子、 1978年11月に牧村憲一のプロデュースによりRCAからデビュー・アルバム『ビギニング』をリリースする竹内まりや(『ロフト・セッションズ Vol.1』の表記は竹内マリヤ)。 演奏陣はセンチメンタル・シティ・ロマンス、美乃家セントラル・ステイション、ムーンライダーズ、紀ノ国屋バンド、(金子マリ&)バックスバニー、ラストショウ、ソー・バッド・レビュー等から参加、豪華なメンツとなっている。 内容は「 Light Mellow on the Web 」に詳しく。 右上のジャケ写は2016年に再発された紙ジャケCD。 “LIVE HOUSE LOFT SERIES”で1枚のシングルと4枚のLPをリリースし平野悠はレコード事業から撤退、“ロフトの金欠とレ

ましまろ「天国の扉」

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真城めぐみ、真島昌利、中森泰弘の3人組ユニット、ましまろが2016年にリリースした2枚目のシングル「遠雷」にボブ・ディランの日本語訳詞カヴァー「天国の扉」が収録されている。 原題「Knockin' On Heaven's Door」、直訳だと“天国の扉を叩く”だが、ディラン・オリジナルの邦題は「天国への扉」だった。 歌われている訳詞は真島昌利によるもので、ほぼ原詞通りだが、ディランの歌詞が2番までなのに対し真島の訳詞は3番まであり、2番の“今までやってきた事が/今夜俺を打ちのめす”と3番の“ママ いい子になれなかった/どうしてもなれなかった”という部分を追加しているようだ。ほぼ日本語に訳し切ったのが潔い。 YouTubeにはシングル「遠雷」に収録されたヴァージョンとは歌詞が違うライヴ音源がアップされている。こちらもすっきりした仕上がりでなかなか良い。 CDシングルの他収録曲は真城めぐみのヴォーカルでボサノヴァなタイトルトラック「遠雷」と、真島がブルースを唸る「海と肉まん」どちらも真島昌利の作詞作曲。

MY PLAYLIST Vol.9『THE VERY BEST OF BRAIN POLICE 1972-2024』

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これまで頭脳警察のベスト盤というと第1期頭脳警察の楽曲から選んだ『頭脳警察BEST』(1987年)や90年代再結成までのベスト『頭脳警察BEST 1972-1991』(1993年)がリリースされているけど、自分の好きな曲で2024年『東京オオカミ』までのスタジオ録音から集めてみたいと思い、CD1枚に収まる収録時間で選曲。入れたい曲がありすぎて「銃をとれ」、「ふざけるんじゃねえよ」、「悪たれ小僧」、「万物流転」といったオフィシャル・ベストに入っている代表曲や、好きなシングル「孤独という言葉の中に c/w 今日は別に変わらない」の2曲、ライヴは除外したので「赤軍兵士の詩」も入れたかったけど外れることに。 以下、私の選んだベスト・オブ・頭脳警察 1972-2024。  1. 最終指令"自爆せよ"   from『歓喜の歌』(1991年)  2. まるでランボー  from『仮面劇のヒーローを告訴しろ』(1973年)  3. 嵐が待っている  from『頭脳警察 3』(1972年)  4. コミック雑誌なんか要らない  from『乱波』(2019年)  5. ダダリオを探せ  f rom『 乱波 』(2019年)  6. 扇動  from『頭脳警察 7』(1990年)  7. 間際に放て  from シングル「時代はサーカスの象にのって」(2008年)  8. サラブレッド  from『悪たれ小僧』(1974年)  9. 指名手配された犯人は殺人許可証を持っていた  from『頭脳警察 3』(1972年) 10. あなた方の心の中に黒く色どられていない処があったらすぐに電話をして下さい  from『誕生』(1973年) 11 さようなら世界夫人よ  from『頭脳警察セカンド』(1972年) 12. 時代はサーカスの象にのって  from シングル「時代はサーカスの象にのって」(2008年) 13. いじわる猫  from『暗転』(2013年) 14. 麗しのジェット・ダンサー/メカニカル・ドールの悲劇/プリマドンナ/やけっぱちのルンバ  from『乱波』(2019年) 15. タンゴ・グラチア  from『東京オオカミ』(2024年) 16. 黒の図表  from『俺たちに明日はない』(2009年) 17. オリオン頌歌  from『歓喜の歌 』(199

THE GROOVERS「SIMPLE TWIST OF FATE」

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ザ・グルーヴァーズの「 Like A Rolling Stone 」は友部正人の日本語詞だったが、1996年リリースのマキシCDシングル「欠けた月が出ていた」のカップリング曲「Simple Twist of Fate」(邦題:運命のひとひねり)では藤井一彦による日本語詞によるボブ・ディランのカヴァーが聴ける。 ボブ・ディランの名作アルバム『血の轍』収録のアコースティックな原曲のテイストを残しながら、エレクトリックなバンドサウンドにオルガン(エマーソン北村)と女性コーラス(マリー・コクラン)を加えたアレンジ。藤井一彦が自身の訳詞で海外アーティストのカヴァーを録音、音盤化した最初の曲じゃないかな。ほぼ原詞のストーリーを踏襲したなかなか味のある日本語詞になっている。 ネットを見てたらロフトのサイトの Rooftop にグルーヴァーズ20周年時(2011年)のインタビューがあり、グルーヴァーズがトリオになって下北沢シェルターでおこなった1991年の初ワンマン・ライヴのことを藤井一彦が「ボブ・ディランの『LIKE A ROLLING STONE』やリトル・リチャードの『SLIPPIN' AND SLIDIN'』を日本語にして唄ったりしたね。英語を覚えて唄うよりも伝わるかなと思って。考えてみれば日本語吹き替え版カヴァーも長いよね、トリオでの初ライヴからずっとやってるわけだから」と語っている。 このインタビューで「フロントマンであるヴォーカリストが脱退してギタリストが唄うことになったという経緯は、先人で言えばルースターズの軌跡と重なりますよね」と聞かれて、藤井一彦は「実は、ルースターズにあやかって“GROOVERS”の最後の“S”を“Z”にするかどうか迷ったんだよ(笑)。それじゃあまりにパクリだからやめたけど」と答えているのが微笑ましい。

ユーミンストーリーズ NHKドラマ化

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以前ユーミンのトリビュート短編集『 YUMING TRIBUTE STORIES 』を紹介したが、その中から3つの短編「青春のリグレット」、「冬の終り」、「春よ、来い」がドラマ化された。1つの短編を1週月〜木曜4回で放送するようだ。個人的には小池真理子と桐野夏生の作品もドラマ化して欲しかったなぁ。 以下、ドラマの紹介・解説は NHKの「ユーミンストーリーズ」ホームページ より引用。 幅広い層に愛される松任谷由実の名曲からインスピレーションを得て、3人の小説家が生み出した3つの物語。ドラマ化をするために、映画、ドラマ、ミュージックビデオなどで活躍する3人の監督、3人の気鋭脚本家、豪華出演者たち、トップクリエイターが集結。それぞれの創造力が掛け合わされたストーリーは、郷愁の念を抱かせ、切ない気持ちへと誘い、一歩前に踏み出す勇気を与えます。一日の終わりの15分、ユーミンの名曲に思いはせながらホッと一息つけるオムニバスドラマを3週に渡ってお届けします。 第1週「青春のリグレット」(15分×4話) 3月4日(月)~7日(木) 夜10時45分 【原作】綿矢りさ 【脚本】岨手由貴子 【出演】夏帆、金子大地、片桐はいり、中島歩 ほか 【語り】ジェーン・スー 【演出】菊地健雄 <あらすじ> 結婚して4年で夫に浮気され、夫婦関係が破綻しかけている菓子(かこ) [夏帆]。まだやり直せる。そう考えた菓子は夫の浩介[中島歩]を旅行に誘うが、その旅先で、昔ある人に言われた言葉が実は重要な意味を持っていたことに気づき・・・。青春時代の記憶が後悔となって呼び起こされる、ほろ苦い恋の物語。 「青春のリグレット」収録アルバム『DA・DI・DA』(1985年) 第2週「冬の終り」(15分×4話) 3月11日(月)~14日(木) 夜10時45分 【原作】柚木麻子 【脚本】ねじめ彩木 【出演】麻生久美子、篠原ゆき子、伊東蒼、クリスタル ケイ、浅田美代子 ほか 【演出】箱田優子 <あらすじ> スーパーでパートとして働く藤田朋己[麻生久美子]は、新しく入ったパートの仙川真帆[篠原ゆき子]と全く会話が続かず気まずい思いを募らせる。しかし有線である曲が流れた時、初めて変化が訪れた。もう一度、少しだけ日常に変化を。一人の思いをくみ取ったパート仲間によって、ちょっとした大ごとに発展してしまう友情の物語。 「冬の終り」収