MY PLAYLIST Vol.9『THE VERY BEST OF BRAIN POLICE 1972-2024』
これまで頭脳警察のベスト盤というと第1期頭脳警察の楽曲から選んだ『頭脳警察BEST』(1987年)や90年代再結成までのベスト『頭脳警察BEST 1972-1991』(1993年)がリリースされているけど、自分の好きな曲で2024年『東京オオカミ』までのスタジオ録音から集めてみたいと思い、CD1枚に収まる収録時間で選曲。入れたい曲がありすぎて「銃をとれ」、「ふざけるんじゃねえよ」、「悪たれ小僧」、「万物流転」といったオフィシャル・ベストに入っている代表曲や、好きなシングル「孤独という言葉の中に c/w 今日は別に変わらない」の2曲、ライヴは除外したので「赤軍兵士の詩」も入れたかったけど外れることに。
以下、私の選んだベスト・オブ・頭脳警察 1972-2024。
1. 最終指令"自爆せよ" from『歓喜の歌』(1991年)
2. まるでランボー from『仮面劇のヒーローを告訴しろ』(1973年)
3. 嵐が待っている from『頭脳警察 3』(1972年)
4. コミック雑誌なんか要らない from『乱波』(2019年)
5. ダダリオを探せ from『乱波』(2019年)
6. 扇動 from『頭脳警察 7』(1990年)
7. 間際に放て from シングル「時代はサーカスの象にのって」(2008年)
8. サラブレッド from『悪たれ小僧』(1974年)
9. 指名手配された犯人は殺人許可証を持っていた from『頭脳警察 3』(1972年)
10. あなた方の心の中に黒く色どられていない処があったらすぐに電話をして下さい from『誕生』(1973年)
11 さようなら世界夫人よ from『頭脳警察セカンド』(1972年)
12. 時代はサーカスの象にのって from シングル「時代はサーカスの象にのって」(2008年)
13. いじわる猫 from『暗転』(2013年)
14. 麗しのジェット・ダンサー/メカニカル・ドールの悲劇/プリマドンナ/やけっぱちのルンバ from『乱波』(2019年)
15. タンゴ・グラチア from『東京オオカミ』(2024年)
16. 黒の図表 from『俺たちに明日はない』(2009年)
17. オリオン頌歌 from『歓喜の歌』(1991年)
18. 絶景かな from『東京オオカミ』(2024年)
第1期の頭脳警察は後追いだったけど、リアルタイムで聴いた再結成の『頭脳警察 7』と『歓喜の歌』はかなり聴き込んだし全曲フェイバリットと言えるかも。1は第1期頭脳警察時代に三原元作詞、パンタ作曲で三原元主宰の劇団・滅び得たものの伝説上演委員会の公演『ヤマトタケル』(1971年)に使用され、1973年には劇団・不連続線『にっぽん水滸伝 第三部』(1973年)にも使われた。ミディアム・テンポでじわじわと迫ってくるような演奏、生きる為に“自爆せよ”という歌詞が衝撃的な歌で再結成2作目『歓喜の歌』から。2はブリジット・フォンテーヌ「ランボーのように(原題:Comme Rimbaud)」(1968年)の訳詞カヴァーでこの内容でほぼ原曲通りというのもすごい。3は動乱の予感に満ちた不穏かつパーカッシヴな楽曲。4は『頭脳警察セカンド』収録曲だがここでは『乱波』のパンキーなセルフ・カヴァーを。続けて5も『乱波』からのフィールグッズ&ラモーンズな印象のスピーディーなナンバー。不穏といえば“奴らの目の前で花火を打ち上げる”という歌詞を含む6、モロトフカクテルなイメージの7、ライヴではアラブレッドと歌われている8も外せない。わずか16秒、頭脳警察の楽曲では最も短い曲の9、個人的には最初に聴いた頭脳警察のアルバムで非常に思い入れのある『誕生』からユニークで演劇的な要素もある10は頭脳警察の楽曲では最もタイトルの長い曲だろう。
11は『頭脳警察セカンド』からの代表曲でヘルマン・ヘッセの詩(訳・植村敏夫)に曲をつけた永遠のマスターピース、再々結成時に生まれた曲で寺山修司・高取英の詩に曲をつけた12、1973年にリリースされた田中星児のアルバム『寺山修司イソップ物語』に提供した曲(作詞は寺山修司、歌・田中星児、演奏・頭脳警察)のセルフ・カヴァー13はアルバム『暗転』からでサイケデリックなアレンジ。カッコ良さ、生きの良さ、音抜けの良さで特筆に値する頭脳警察ロックンロール・メドレーの14。イントロのサックスの響きが印象的な15、『俺たちに明日はない』から時(chrono:クロノ)をテーマにしたと思われる16、1と一緒の時期に書かれたという17、ラストはパンタの遺作となった『東京オオカミ』から、コロナ禍に発表された時とは全く異なる印象を抱かせる楽曲となった感がある「絶景かな」。
右上の写真は選曲したディスク。
こうしてみると頭脳警察のスタジオ・アルバムは11枚なんだな。第1期で5枚、1990年再結成で2枚、結成40周年、45周年、50周年に1枚ずつリリース、55周年にラストアルバム。