投稿

ラベル(灰野敬二)が付いた投稿を表示しています

頭脳警察「詩の朗読という詩」

イメージ
2013年12月リリースのアルバム『暗転』より。 副題に“~ZK結成45周年記念アルバム・寺山修司没30年によせて~”とあるように、収録曲のうち6曲が寺山修司作詩の作品となっている。 「詩の朗読という詩」は寺山修司の詩を朗読するパンタと灰野敬二のギターによるセッションというかバトルというかインプロビゼーション。比較的聴き易く3分程の曲が並ぶ中で、8分を超える詩の朗読とフリーキーなギター演奏のみのこのトラックはアルバムのハイライトとなった。 ブックレットにはスタジオで向かい合っているパンタと灰野の写真があるが、お互いの演奏、声、呼吸を感じながら録音されたものだろう。何もない空間に言葉と音を存在させようとする、何物かを生み出そうとする、二人の緊張感を持った創造性が感じられるテイクである。 “詩”というものが持つパワーと無力さを朗読するパンタの、頭脳警察結成から45年という時の流れに裏打ちされたヴォイスと、掛け合う灰野のインスピレーションに満ちたエレクトリック・ギターは圧倒的だ。ここでの寺山の言葉は聴く者との銃撃戦の様相となった。トシのコンガと三つ巴でもよかったかも。 他にはカヴァー・ヴァージョンが2曲あり、「あしたのジョー」(寺山作詩、八木正生作曲)は、リズムを強調したヴァージョンとフォーク・ロック調にした2つのヴァージョンが収められているが、どちらも味はあるものの、もうひと捻り欲しかったところ。むしろ原曲に近いアレンジでよりヘヴィにしたら良かったんじゃないかと個人的には思う。「戦争は知らない」(寺山作詩、加藤ヒロシ作曲)はカルメン・マキのヴァージョンで親しんでいるが、ここはストレートにフォーキーなアレンジ。この曲を頭脳警察名義で聴けるのはうれしい。コーラスには制服向上委員会が参加。 「いじわる猫」は1973年にリリースされたアルバム『寺山修司・イソップ物語』(歌・田中星児)にパンタが曲提供した作品のセルフ・カヴァー。田中星児のヴァージョンは聴いたことがないのだけれど、1973年は頭脳警察がアルバム『誕生』、『仮面劇のヒーローを告訴しろ』を発表していたころ。『誕生』や1972年末リリースのシングル「孤独という言葉の中に c/w 今日は別に変わらない」に似た雰囲気を感じさせるメロディを聴くことができる。田中星児ヴァージョンも聴きたくなってきた。 「時代はサーカスの象にのっ...

OMNIBUS a Go Go Vol.30『THE LAND OF THE RISING NOISE』

イメージ
サンフランシスコのCharnel House Productionsから1993年(か1994年)にリリースされた、日本のガレージ・パンクと並んで海外で評価されている“ジャパノイズ”をコンパイルしたオムニバス。 シリーズとして3枚出ているようだが、これは1作目。ジャケットの人形と写真は吉田良一(現・吉田良)によるもので、訳題『雑なる音出づる処の国』を上手くイメージしていると思う。 想い出波止場の「IN」はサイケデリックでプログレッシブ、エクスペリメンタル。最初のギターカッティングとドラムで“IN”だ。カルトムービー『ピノキオ√964』にも音楽で参加していた長嶌寛幸のTokyo Dowser「Suimin Party Edit」はクールで刺激的なトラック。 エンジェリン・ヘヴィ・シロップ「My Dream」は想いを深く、そして高めようとする意識が感じられる曲だ。静謐でありながら熱を持った演奏が素晴らしい。このコンピのみに収録されていたが、2002年になり『Very Best of Angel'in Heavy Syrup』 に収録された。非常階段の「Sound of Bay Area」は強烈な瓦礫の音塊が迫る、圧倒的に暴力的で破壊的なトラック。 他には、幻想的でスペイシーな空間の広がりを感じさせるDMV「Outer Mind」、マシナリーでインダストリアルな演奏に咆哮が重なるDissecting Table「Dead Gods」、モダンチョキチョキズのメンバーも参加しているChildren Coup d'Etat「Saigo no Hoknoh」、ミュージックというより物音といったほうがいいかもAgencement「Tegmen」や、C.C.C.C.「Monde Bizarre」、Aube「Amniotic Fluid」、メルツバウ「Moon Over The Bwana A」、灰野敬二「The Man Who Wring Under The Name of Gratification」を収録。

OMNIBUS a Go Go Vol.22『TOKYO FLASHBACK 2』

イメージ
HIGH RISEの曲名「Psychedelic Speed Freaks」から命名されたP.S.Fレコードのサイケデリック・サンプラーCD第2弾で1992年リリース。 灰野敬二と共演HIGH RISE、インディーの頃のゆらゆら帝国、ジャックス「マリアンヌ」のアヴァンギャルド・カバーの不失者、HIGH RISEや不失者のメンバーも参加していた狼の時間、等11バンドを収録。なかでもWHITE HEAVEN「Silver Current」は繰り返し聴いた曲だ。 WHITE HEAVENを聴いたのは、このサンプラーが初めてだった。低音が響き、フレーズが美しいベース(志村浩二)と、シンプルでいてメリハリのあるドラミング(石原謙)のリズム隊に、切れ味あるカッティング、パッキングフレーズ、時にパワフル、時にメランコリックなギターソロを聴かせてくれるギター(中村宗一郎)で、サイケデリックなグルーヴを生み出す。野性と妖艶な響き(ジム・モリソンの様だ)を兼ね備えたボーカル(石原洋)が歌うメロディも素晴らしい。この曲はWHITE HEAVENの2ndアルバム『Strange Bedfellow』にもアレンジを変えて収録されている。こちらもベースのフレーズを前面に、ジャジー&ムードのある仕上がり。 この時期は初期~1stアルバム『OUT』録音時のギタリスト栗原ミチオが不在で、 ベースに志村が加入、中村はベースからギターに変わった時期だが、その変化がバンドの魅力を引き出すことに成功していると思う。WHITE HEAVENのアルバムは1st『OUT』を除き入手困難で再発が待たれる。