投稿

2月, 2015の投稿を表示しています

My Wandering MUSIC History Vol.42 THE MODS『NEWS BEAT』

イメージ
1981年10月21日、エピック・ソニーよりリリースのアルバム。 デビュー・アルバムから4か月後というスピードで制作/リリースされたザ・モッズのセカンド・アルバム。バンドにしてみたら『FIGHT OR FLIGHT』の音質はきれい過ぎたらしい。もっとラウドな音質で、ということと『FIGHT OR FLIGHT』をロンドン・サイド、『NEWS BEAT』を東京サイドという2枚でひとつというイメージで短期間で制作された。曲のストックは沢山あったのだろう。「ゴキゲンRADIO」や「夜が呼んでいる」、「熱いのを一発」なんかは博多時代から演奏している曲だ。 当時聴いた印象では、ファーストの緊張感を持った音作りとはやや違い、ラフな録音で歌の内容も“Leave Me Alone!”な印象を受けた。アルバムの1曲目はシングルとしてもリリースされた「ゴキゲンRADIO」で、そんな“ほっといてくれ!”といった内容が歌われるタイトなティーンエイジ・ロックンロール。この曲がアルバム『NEWS BEAT』のムードを象徴していると言ってもいいんじゃないかな。ジャケットはコラージュとメンバーのイラスト。これはあまり好きじゃなかった。コラージュ・ジャケっていいジャケ無いんじゃないの。切り貼りってところでは、ピストルズの脅迫状を模したレタリングの影響は大きいだろうけど。 個人的には、高速ロックンロール「記憶喪失」と「ご・め・ん・だ・ぜ」、クラッシュ・ライクな「夜が呼んでいる」、ワウワウ・ギターで始まり、アコースティック・ギターも効果的に使われた「ハートに火をつけて」は、 “死人のような冷たい体さ でも俺の心はカラッポじゃない”というフレーズがカッコ良かった。ピストルズみたいにボトムの効いた「All By Myself」、 これぞ森山節のマイナー・ビート・チューン「Crazy Beat」。このあたりが好みだった。 他には、やや軽いノリの「熱いのを一発(HOT STUFF)」や、元サンハウスのドラマー浦田賢一が作詞したニヒルな歌詞のスカ・ビート・ナンバー「イヤな事さ(EYANACOOTA)」、ニュース・ビートと言うからには時事性を持ったものも目指したのかな、そんな一面が感じ取れる「Do The Monkey」。 “ポリスとコソ泥”、“テストチューブ・ベイビー”といった単語が並んでいる。「Do The M

My Wandering MUSIC History Vol.41 THE CLASH『SANDINISTA!』

イメージ
1980年12月12日、CBSよりリリースのアルバム。 クラッシュの4枚目のアルバムは3枚組の大作となった。おそらくリリースされてすぐ聴いたと思うけど、全てを聴くのに約2時間25分、アナログ・レコード3枚をかけては裏返し、かけては裏返し、通して聴くのはそれなりの覚悟と忍耐(大げさだな…)が必要だった。当時の私のパンクロックあがりの耳に、このアルバムのヴァラエティに富んだ内容はやたらとっちらかって聴こえたものだ。パンク・ロック・スタイルの曲は「Somebody Got Murdered」、「Up In Heaven(Not Only Here)」、イコールズのカヴァー「Police On My Back」の3曲でいずれもミック・ジョーンズがヴォーカルをとっている。この3曲は当時も好きだった曲。それ以外はラップ、ロカビリー、レゲエ、ダブ、カリプソ、ソウル、ディスコ、ゴスペル…と多岐にわたるジャンルの楽曲が収録されている。 アルバム冒頭、シングルとしても発売された「The Magnificent Seven」はラップを取り入れた曲で、ノーマン・ワット・ロイのベースフレーズが気持ちよく(ポールは映画の仕事が入っていた)、歯切れのいいジョーのラップも魅力たっぷり。ここまでクラッシュが変貌を遂げたことに驚いたが、この新しいスタイルがまたカッコよかった。この曲がシュガーヒル・ギャングの「Rapper's Delight」(1979年)からの影響下にあると知ったのはずーっと後の事だ。 UKインディ賛歌でモータウン調の「Hitsville UK」、ディスコ・サウンドのトッパーが歌う「Ivan Meets G.I.Joe」、ジョーが101'ersでも取り上げていた古いR&Bでレゲエアレンジのカヴァー「Junco Partner」、ロカビリー「The Leader」、移民・戦争・核・高齢化など今日的な内容が歌われている「Something About England」は、ヴォーカルがミックからジョーに引き継がれていくメランコリックな曲で今回聴きなおしていいなと思った曲だ。ここまでアナログA面。 「Rebel Waltz」は反逆者たちに捧げる幻想的なワルツの調べ。モーズ・アリソンのカヴァー「Look Here」はトッパーのドラミングがクールで、ミッキー・ギャラガーの

SHEENA & THE ROKKETS「ロックの好きなベイビー抱いて」

イメージ
全曲阿久悠作詞による1994年リリースのアルバム『ROCK ON BABY』からシングルカット曲。 この曲制作のエピソードが阿久悠のHP「あんでぱんだん」 “ あまり売れなかったがなぜか愛しい歌 ” で読むことができる。  “ロックの好きなベイビー抱いて  可愛いママが行く  この子が二十歳になる頃には  この世はきっとよくなっている  だからしばらく ママとおまえで  がんばろうね がんばろうね  ロックで笑う おまえを見ていると  勇気がいつもわいて来るから” ほんと愛しくせつない歌だ。リリースから20年たっているけど…。

追悼・シーナ SHEENA & THE ROKKETS「トレイントレイン」

イメージ
2015年2月14日シーナ逝く。 鮎川誠と同じくロックンロールを愛し、ルーツ・ロックにも愛情を持った人だった。 シーナ&ザ・ロケッツのレコードを初めて聴いたのは2枚目のアルバム『真空パック』だった。シュリンクパックされたメンバーのジャケットのLPを購入した。確か1981年頃だと思う。ルースターズやARB、モッズを聴きだした頃で、それらのバンドの先達となるサンハウスからの流れという事で、ソリッドなロックンロールを期待した耳には細野晴臣がプロデュースしたサウンドにはやや違和感があった(今聴くと全然違和感なく最高なんだけど)。とはいえ1987年リリースのライブ『Captain Guitar And Baby Rock』まではアルバム出る度に聴いていたな。でもシナロケのファーストは聴いたことがなく、エルボンからリリースされたオリジナルは1980年代半ばまでは伝説のアルバムだったんじゃないだろうか。 シナロケのファースト・アルバム『Sheena & The Rokkets #1』が聴けるようなったのは1986年にVIVID SOUNDからリイシューされた時で、そこで聴けるのは、ストレートでシンプルなサウンドのロックンロール、派手な装飾の一切ないバンドの姿だった。それに飾り気のないシーナの魅力もたっぷり詰まったアルバムだなと感じた。 後々までシナロケの代表曲となるサンハウスの「レモンティー」が収録されているが、この曲を柴山俊之と同じ感覚で表現できるのはシーナしかいないだろう。思い出したが、もしかしたらシナロケの曲を初めて聴いたのはスネークマンショーのアルバム『急いで口で吸え!』に収録されていた「レモンティー」だったかも。ギターのストロークが強烈な“スネークマン・ヴァージョン”と違い『Sheena & The Rokkets #1』収録の「レモンティー」はフェイドインからすぐに歌が始まる。徐々に盛り上がっていき、ギターソロで最高潮になるが、この曲だけ突出することはなくアルバムにうまくはまり込んでいる。「レモンティー」の他にもサンハウスの「ビールス・カプセル」、「夢みるラグドール」、「アイラブユー」、「ブーンブーン」 を取り上げている。 ファースト・アルバムでのシーナは“シーナロケット”名義でクレジットされている。そのシーナロケット作詞の「トレイントレイン」はカウン

BRUCE SPRINGSTEEN & THE E STREET BAND「WAITIN' ON A SUNNY DAY」

イメージ
2010年6月22日、ColumbiaからリリースのBlu-ray『London Calling Live In Hyde Park』より。 2009年6月28日、ロンドン・ハイド・パークでおこなわれたコンサートをほぼ3時間にわたり収録した映像作品。クラッシュのパワフルなカヴァー「London Calling」で始まる、5万人を前にした圧巻のライヴ・パフォーマンス。明るい時間に行われたため、ずーっと見渡す限り人、人、人が埋め尽くしているのがわかる。すげー。 時間が経って暮れゆくトワイライト・タイムに演奏される「Jungleland」も最高の見どころだが、 コンサートのほぼ中盤に演奏された「Waitin' On A Sunny Day」も見せ場の一つだ。ギターを放り投げ(受け取る人は大変!)、観衆の目前へ飛び出しシンガロング。幼い子供にマイクを向け “Waitin' on a sunny day~”と歌を引き出すところが何とも微笑ましい。 9.11のあとリリースされたアルバム『ライジング』収録の楽曲で、内容は悲しい歌といっていいと思うが、こうしてオーディエンスとの距離を詰めていくパフォーマンスを見ると、歌の、ロックンロールのパワーを感じ取ることが出来る。  “待っている、太陽が輝く日を  雲を追い払い  待っている。太陽が輝く日を”   2001年から10年余り過ぎた。が、世界はまだ雲に覆われている。むしろ更に厚く覆われているような気がする。その世界でスプリングスティーンの歌は今も多くの人を勇気づけ、束の間、心の雲を追い払ってくれる。