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THE ORDINARY BOYS「RUDI'S IN LOVE」

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2005年6月発表のアルバム『Brassbound』より。 2004年にデビューした四人の“フツーの男の子達”(モリッシーの曲から付けられたという)のセカンド・アルバム。ブリティッシュの伝統を受け継ぐと紹介されているが、確かにいつの世代にもメロディ、コーラス、アレンジの面でイギリスらしさを 感じさせるバンドは出てくるものだ。 このグループ、メンバーの生まれた年が1982年とか1985年とかだから、20代前半。確かにボーイズだよなぁ。 歌詞には消費することに大半の時間を費やしている人々や、退屈な現状を過ごしている人々へ“それでいいのか?” といったメッセージが多く見受けられるが、それもボーイズならでは (セカンドアルバム収録曲の「A Few Home Truths」の“家にいてテレビを見ていたい、自分じゃとても怖くて出来ないようなことを誰かがするのを見ていたい” というフレーズは鋭い)。 オリジナル曲でも推薦したい曲はあるが、どうもLocomotiveのカバー「Rudi's In Love」が気に入ってしまった。 ドラムロールの後、ワーグナーの「結婚行進曲」の一節が流れ、スカのリズムでルーディの恋を歌う。 恋に落ちた一人のならず者。幸せそうな彼を見たら誰もが争いをやめるだろう...。という内容の歌を素敵なコーラスとブラスのアレンジで仕上げた。 “I can see by the stars above”の部分が最高にドリーミー。

細野晴臣「STELLA」

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2006年9月発表のDVD『東京シャイネス』初回限定盤特典ディスクより。 2005年9月4日狭山稲荷山公園「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル」。  午後3時過ぎから降り出した雨は激しく降り続き、観客は雨に打たれ、ぬかるんだ土の上か、 坂になっているコンクリートの上を流れてゆく雨水に足を浸けて立ってステージを見るしかなかった。もちろん出演者達も、豪雨と対峙していたことはいうまでも無い。雨粒に向かって叫び、雨音と競演し、雨風を通じて観客と一体化していた。 観客達のためにセットリストを変えた佐野元春のステージが終わるころ、4時間近く降り続いた雨がようやく止もうとしていた。 佐野の最終曲「インディビジュアリスト」が熱狂的に終り、アンコールを求める歓声が主催者の“アンコールはありません”のアナウンスに よって収まると、観客を静寂と虫の声が包んでいた。 あの豪雨の中で誰もが“最後まで続けられるのか”と思ったことだろう。 観客は“見続けられるのか”、スタッフや出演者達は“予定通りに全出演者のライブを終了させられるか” と考えたに違いない。過ぎ行く夏の日にレジャーシートの上で横になり、のんびりとライブを見ようと思ってやって来た人達、 またそんなライブを創りあげようとしてきたスタッフ、出演者にとってこの長時間の豪雨はまったく予想外だった。 そして予想外の緊張を生んだ。 この『東京シャイネス』の本編(特典ディスクではなく、福岡と京都でのライブ)に付属しているブックレットの「ろっかばいまいべいびい」 の細野自身による解説で、その日の細野の気持ちというか考えが語られていて興味深い。 “普通であれば中止になるような危険なほどの雨が降って、僕自身試されていた”が、雨が上がりライブが出来て“奇跡的なライブだった”。しかし状況的にも心情的にも“危ない橋を渡ったという感じです”と言う発言をしている。 福岡、京都のライブでは落ち着いて、リラックスした表情を見せているが、この特典ディスクで見られる狭山での細野の表情はどこか緊張している。 もちろん昔の曲を、自身の新しいバンドにより大勢の前で演奏するという緊張感はあるだろうが、 やはり先に引用したような気持ちがあったのだろう。 当日私はステージとミキサー卓の中間あたりで見ていて、細野の表情は見えなかったが、今回の特典ディスクの内容は、 こんな表情