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8月, 2014の投稿を表示しています

BLUE RONDO A LA TURK「CHANGE」

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2014年6月チェリーレッドよりリイシューのアルバム『Chewing The Fat -Deluxe Edition-』より。 このアルバム『チューイング・ザ・ファット』のオリジナルがリリースされた1982年(邦題は“踊れば天国アイアイアイ”だった)、 ブルー・ロンド・ア・ラ・タークというバンドには全然興味なく聴くこともなかったのだが、後々どこかの雑誌でルースターズのメンバー(井上富雄だったかな…)が好きだとか良く聴いてるとかいう記事を読んで、聴いてみたいなと思いつつ中古レコードに巡りあうわけでもなく(まぁ熱心に探していた訳でもないのだが)未聴になっていた。どうやらオリジナル・リリースから長らくCD化もされていなかったようで、今年2014年チェリーレッドより2枚組デラックス・エディションとしてリリースされた。 1980年代の初頭に短期間だがファンカラティーナというムーヴメントがあったが、当時ニュー・ウェイヴに興味はあったものの、ややダークな方向、もしくはギター・ポップ的な方向へ向いていたので、 “ファンクとラテンのニュー・ウェイヴ”を積極的に聴くということはなかった。 「Change」はアルバムの1曲目に収録されている曲で、ベースラインが強力なファンク・ラテン・ナンバー。 “チャ・チャ・チャ・チェンジ!”という掛け声も印象的。ギターの繊細なというか小技的なバッキング/カッティング・プレイやホーン、ピアノ、パーカッションやコーラスの効果的な使い方はクールで、今の耳で聴くとなるほど英国産だと思わせる格好良い仕上がりだ。ピアノソロのスリリングなプレイ、サックスソロの高揚感は素晴らしい。この曲のブロデュースはマイク・チャップマン。ボーナストラックではリミックス・ヴァージョンの「Changeling」も聴ける。 ファンキーなベースラインと陽気なラテン・フレイヴァーにイギリス特有の洒落たクールネスは、この曲だけでなく「I Spy For The FBI」(Jamo Thomasのカヴァー)、「Coco」や「Carioca」といった曲でも感じられ楽しめるアルバムだ。ボーナストラックのシングル曲も良い。全体的に聴いて感じるのはファンカラティーナも英国モッズの流れにあるということだ。 この再発されたデラックス・エディションはオリジナル・アルバムにシングル曲やシングルB面曲を収録したデ

My Wandering MUSIC History Vol.30 BLONDIE『THE BEST OF BLONDIE』

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1981年10月クリサリス・レコードよりリリースのベスト・アルバム。 NHKの“ヤング・ミュージック・ショー”という番組でブロンディとストラングラーズのヴィデオ・クリップを特集して放送した回があった。ネットで調べてみると1980年12月に放送されている記述がある。この番組では1時間近く両バンドのヴィデオを流していて、外国のロック・バンドはシングル曲毎にプロモーション・ヴィデオ(当時はこういう言い方も知らなかった)を作ってるから特集番組が出来るんだなぁ、と感心したものだ。それにこの番組、テレビとラジカセを繋いでカセット・テープに録音 した記憶がある。当時ヴィデオ・デッキはもの凄く高かったのでうちにはなかったし、まとめて両バンドのシングル・リリース曲を繰り返し聴きたかったのだろう。 それから1年近くたってリリースされたブロンディのベスト・アルバム。 ストロボを持つデボラ・ハリーの白いドレス姿とバックに写るブルーの空が眩しいジャケット。クリス・スタインの右手の先も気になるけど、男たちは揃ってコンバースを履いているのもこの頃を象徴しているか。私も長い間愛用していましたよ、ハイカットのコンバースを。今じゃウォーキング・シューズだけど…。 このアルバムは輸入盤(あたりまえだけどアナログ盤)で購入。先のカセットじゃ音質的にも良くなかっただろうから、リリースされてすぐ購入したんじゃないかな。なにしろアメリカでのNo.1ヒットが「Heart of Glass」、「Call Me」、「The Tide Is High」、「Rapture」と4曲も入ってるし、他にも本国でヒットしなかったが、イギリス等でヒットしたシングル曲を含む。 US盤とイギリスやヨーロッパなど他国盤(インターナショナル盤)では収録曲の違いがある。私の持っているのはUS盤で「One Way or Another」がB面2曲目に収録されているが、他国盤にはこの曲は収録されておらず、代わりに「Denis」、「Picture This」、「Union City Blue」が収録されていて14曲入りとなっており(US盤は12曲入り)、曲順も異なる。当時発売された日本盤も他国盤と同じ仕様。国によってこれ以外の収録曲の違いがあるようだ。 ブロンディはバンドの始まりがCBGBと関係が深いからニューヨーク・パンクにカテゴライズされてい

THE BLUEBELLS「EVERYBODY'S SOMEBODY'S FOOL」

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2014年7月リリースのコンピレーション・アルバム『Exile On Twee Street / Songs From Glasgow 1980-1982』より。 ブルーベルズがメジャー・デビュー前に録音していたレア・トラックを集めたアルバムがリリースされた。1981年12月にポストカード・レコードからシングルをリリース予定だったというブルーベルズ。結局ポストカード・レコードは1981年8月のアズテック・カメラのシングル・リリースを最後に活動を停止してしまい、ブルーベルズはメジャーのロンドン・レコードと契約、1982年にデビューすることになる。 このレア・トラック集はブルーベルズがポストカードからのリリースに向けて行っていたとも言える初期のデモ・リハーサル音源集で(「Happy Birthday」はブルーベルズの最初のリリース音源であるファンジン付録フレキシ・ディスクからの収録、ヴェルヴェッツの「I'm Set Free」のカヴァーはライヴ・ヴァージョンでの収録)、曲毎のクレジットは無いが、ライナーのインタヴューによると、多くの録音は共同住宅の地下室を改造した4トラックの録音設備しかなかった“The Hellfire Club”という所で行われ、他にはケルビングローブ公園近くのスタジオ(16トラックの設備があった)やエジンバラのスタジオで録音されたという。後にアルバム『シスターズ』やシングルとしてリリースされる曲を含むが、これまで未発表曲だった「East Green」等も収録されている。 「Everybody's Somebody's Fool」はブルーベルズのヴォーカル、ロバート・ホッジンズのペンによるオリジナル曲で、ロンドン・レコードからのデビュー・シングル(1982年)の12インチに収められていたロビン・ミラー(EBTGやウィークエンド、シャーデー等を手掛けた) とコリン・フェアリー(コステロ等を手掛けた)がブロデュースしたヴァージョンと、バンド活動中唯一のオリジナル・アルバム『シスターズ』(1984年)に収録されたボブ・アンドリュース(ブリンズレー・シュウォーツやグラハム・パーカー&ザ・ルーモアで活躍)と コリン・フェアリーによるプロデュースのアルバム・ヴァージョンがこれまでリリースされていた。 今回このコンピレーションの1曲目に収録

THE DREAM ACADEMY「SUNRISING」

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2014年7月リリースのベスト・アルバム『The Morning Lasted All Day - A Retrospective』より。 ドリーム・アカデミーのCD2枚組ベスト・アルバムがリリースされた。 3枚のオリジナルアルバムからチョイスされた曲と、シングルでリリースされたスミスの繊細なカヴァー・ヴァージョン「Please, Please, Please Let Me Get What I Want」、シングル・カップリング曲「Girl In A Million(For Edie Sedgwick)」、シングル・カップリング曲「The Demonstration」の未発表別ミックス、未発表曲は1989年サード・アルバム録音時のセッションから「Living In A War」と「The Chosen Few」、ジョン・ヒューズの映画『大災難P.T.A(原題:Planes, Trains & Automobiles)』に使われた「Power To Believe」のインスト・ヴァージョン、1984年にシングルB面用として録音されていた「The Last Day of The War」の4曲。 注目はニック・レアード=クルーズとギルバート・ゲイブリエルによる2014年新録音の「Sunrising」が収録されていることだ。反復するピアノの響きが美しく、歌声は優しくも力強い。ドリーム・アカデミー最大のヒット曲であり、このベスト・アルバムのタイトルとなった“The Morning Lasted All Day”という歌詞が含まれている「Life In A Northern Town」の第2章というか、この曲をリリースすることによって1990年に解散してしまい現在まで長い空白期間があるバンドの歴史 ~1985年と2014年~がひとつの円環となるような印象をもつ曲でもある。

JAJOUKA『ERECTROCK』

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2014年7月リリースのシングル。 日本脳炎~The Bacillus Brainsのギタリストだった、ヒノケンこと日野研志率いるJajoukaの3枚目となるシングルがリリースされた。 パーカッシブなブルースを追及した2011年のアナログ・シングル「Hellhound On My Trail c/w 僕と悪魔のブルーズ」、ファンク&ダンサブルな2013年のシングル『Joy』に続くものだ。今回はエレクトリック/テクノな手法が目立ち、更なるJajoukaの進化を聴くことができる。ニュー・シングルのタイトルは『Erectrock』。“Electro”じゃなくて“Erect”、“Pop”じゃなくて“Cock”でもない“Rock”。うーむ捻りが効いているのだろうか、そのままなジャケットではある。歌詞カードのグラフィックに使われている映画の“Westworld”っぽいイラストの方がカッコよかった思うけど、こっちの方がインパクトあるかな。ファーストシングルに収められていた「僕と悪魔のブルーズ」の再録を含む3曲入り。ドラムが一人抜けて3ピースとなっているようだ。 「Dry」は遊びたりない乾いた気持ちを歌った“早くしなきゃ朝が来る/早くしなきゃ世が明ける”っていうフレーズが鋭いダンス・ナンバー。6分余りの長さを感じさせない様々なサウンドが詰め込まれたJajoukaのニュー・センセーションな1曲。「真夜中のシークレット」はオートチューンを使用したと思われるヴォーカルが特徴なポップ・チューン。世知辛い都会暮らしを “窮屈な時を(TOKIO)過ごしているよ”という言葉遊びも面白い。再録された「ボクと悪魔のブルーズ」も原曲のポップさを更にブラッシュアップさせたアレンジで聴き易くなっている。ちょっと線の細いヒノケンのヴォーカルもリリースを重ねる毎に良くなり楽曲に合ったものとなってきていると思う。