My Wandering MUSIC History Vol.42 THE MODS『NEWS BEAT』
デビュー・アルバムから4か月後というスピードで制作/リリースされたザ・モッズのセカンド・アルバム。バンドにしてみたら『FIGHT OR FLIGHT』の音質はきれい過ぎたらしい。もっとラウドな音質で、ということと『FIGHT OR FLIGHT』をロンドン・サイド、『NEWS BEAT』を東京サイドという2枚でひとつというイメージで短期間で制作された。曲のストックは沢山あったのだろう。「ゴキゲンRADIO」や「夜が呼んでいる」、「熱いのを一発」なんかは博多時代から演奏している曲だ。
当時聴いた印象では、ファーストの緊張感を持った音作りとはやや違い、ラフな録音で歌の内容も“Leave Me Alone!”な印象を受けた。アルバムの1曲目はシングルとしてもリリースされた「ゴキゲンRADIO」で、そんな“ほっといてくれ!”といった内容が歌われるタイトなティーンエイジ・ロックンロール。この曲がアルバム『NEWS BEAT』のムードを象徴していると言ってもいいんじゃないかな。ジャケットはコラージュとメンバーのイラスト。これはあまり好きじゃなかった。コラージュ・ジャケっていいジャケ無いんじゃないの。切り貼りってところでは、ピストルズの脅迫状を模したレタリングの影響は大きいだろうけど。
個人的には、高速ロックンロール「記憶喪失」と「ご・め・ん・だ・ぜ」、クラッシュ・ライクな「夜が呼んでいる」、ワウワウ・ギターで始まり、アコースティック・ギターも効果的に使われた「ハートに火をつけて」は、 “死人のような冷たい体さ でも俺の心はカラッポじゃない”というフレーズがカッコ良かった。ピストルズみたいにボトムの効いた「All By Myself」、 これぞ森山節のマイナー・ビート・チューン「Crazy Beat」。このあたりが好みだった。
他には、やや軽いノリの「熱いのを一発(HOT STUFF)」や、元サンハウスのドラマー浦田賢一が作詞したニヒルな歌詞のスカ・ビート・ナンバー「イヤな事さ(EYANACOOTA)」、ニュース・ビートと言うからには時事性を持ったものも目指したのかな、そんな一面が感じ取れる「Do The Monkey」。 “ポリスとコソ泥”、“テストチューブ・ベイビー”といった単語が並んでいる。「Do The Monkey」のサウンドはモッズにしてはやや実験的で面白い。この辺もう少し追求しても良かったんじゃないかなと個人的には思うけど。
このアルバム制作後「News Beat」という曲が作られ、アルバムには間に合わず収録されなかったが、1981年10月から始まった“ニュース・ビート・ギグ・ツアー”でソノシート「News Beat c/w Knife And Pistol」として配布されている。「News Beat」はいろんな事象が盛り込まれ、CIA、KGB 、FBI、KKKと歌われるパンキー&セカンドラインのビート・ナンバー。「Knife And Pistol」は“夜になればいつも俺のPistolで遊ぶ”と意味深なフレーズもあるレゲエ/ダブ・ナンバー。この2曲は後にベスト・アルバム『BEAT ODYSSEY』(1986年)に収録された。
さらに1981年11月にはロンドンのマーキークラブで3日間のライヴをおこなったが、その時スタイル/カルチャーとしてのMODSとの混同を避けるため、使用したのが“NEWS BEAT”というバンド名だった。