Shiggy Jr.「LISTEN TO THE MUSIC」
たまたま見たJ-COMのテレビ番組「MUSIC GOLD RUSH」(お笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄が司会をしている)で取り上げられていたShiggy Jr.。インディーズ・バンドは山ほどあるなぁと思って見ていたのだが、このバンドのセカンド・ミニ・アルバム『LISTEN TO THE MUSIC』のジャケット・イラストを江口寿史が描いていると紹介があり、なんとバンドメンバーが江口寿史に直接ジャケットのイラストを依頼して実現したそうで、ギャラの交渉も直接したらしい。凄いね。思い切ってるね。番組では江口寿史のインタビューもあり “こういう直接交渉めったにないけど、ギャラの話もちゃんとして、音も気に入ったし”みたいな内容で、出来たジャケットは“ヘッドフォンに流れる音楽に身を委ねたい”という「Listen To The Music」の世界観をイラスト化したジャケットで、80年代ひばりくん等の漫画で慣れ親しんだオヤジの購買意欲を刺激する仕上がり。番組で流れたライヴの模様や、チェックしたYouTubeの動画の音も、いいじゃないか、という内容で購入。
Shiggy Jr.の初ライヴは2013年1月というから、まだ2年足らずのバンド。2013年に1枚目のミニ・アルバムをリリースしているが、その後ドラム、ベース、キーボードが脱退しており、ヴォーカルの池田智子とギターの原田茂幸の二人の他はメンバーが変わっている(ベース、ドラムが加入)。作詞作曲を手掛け、サウンド・プロデュースもしている原田がデモの段階から最終的なサウンドの作り込み・仕上げまでを行っているようだ。このミニアルバムも基本的に演奏トラックは原田の打ち込みによるもので、新メンバーの演奏はほとんど入っていないらしい。
タイトル・トラックの「Listen To The Music」もバンド・サウンドではなく、4つ打ちのディスコ・ビートにカラフルなシンセが加わり、ギターはほとんど聴こえない打ち込みのトラックに “どキュート”な池田のヴォーカルがのったダンサブルでPop&Funtimeなナンバー、キラー・チューン。まちがいなく多くの人に訴求する際立った魅力を持つメロディとサウンドだ。
それでほかの曲がどうかというと、6曲(プラス「Listen To~」リミックス1曲)捨て曲なしのポップ・アルバムと言っておこう。特に、高速ぐーたらソングの「oyasumi」が最高。あまたあるインディ・バンドから江口寿史のイラストがとっかかりとはいえ、このアルバムに辿り着き、聴けたのはうれしい。アルバム全体から音楽を、サウンドを、ビートを信じるバンドの姿が浮かび上がってくる。 それは、
“no-one is singing for the loneliness 今夜だけは許して wow oh oh"
と歌われる「dance floor」の歌詞からも伺える。