THE STALIN『STALINISM NAKED』

2019年4月20日、いぬん堂からリリースのアルバム。

1987年1月にIndependent Recordsよりアナログ盤でリリースされた編集盤『STALINISM』。
THE STALINが初期〜解散する直前までにインディからリリースしたソノシート、シングル、オムニバス参加の音源を集めたものだった。
アナログ盤『STALINISM』の内容は、
SIDE A
1. 電動こけし
2. 肉
3. バキューム
4. 解剖室
5. Chicken Farm Chicken
SIDE B
1. 豚に真珠
2. サル
3. コルホーズの玉ネギ畑 
4. 猟奇ハンター
5. アーチスト

A-1.2は、THE STALIN最初の音源で1980年5月ポリティカル・レコードからリリースのソノシート「電動こけし/肉」収録曲、
A-3.4は、1984年11月BQレコードからリリースのアルバム『Fish Inn』の通販特典ソノシート「バキューム/解剖室」収録の2曲、
A-5は、アメリカの雑誌『MAXIMUM ROCK N ROLL』が1984年5月にリリースしたオムニバス『Welcome To 1984』参加曲、
B-1〜5は、1981年4月ポリティカル・レコードからリリースのEP『スターリニズム』収録5曲全曲。
しかし音源は加工されており、「電動こけし/肉」とEP『スターリニズム』収録曲はエフェクト/イコライジングされた音像のものが収録されていた。個人的な想像でしかないが、オリジナルの簡素な録音を多少1987年当時の現代的な音に加工/補正した、ということだったのではないか(ミチロウやバンドがどこまで関与したのか定かではないが…)。
「コルホーズの玉ネギ畑」に顕著だが、オリジナルはよく言えばシンプルでタイト、悪く言えばやや貧弱な音質だったのだが、編集盤『STALINISM』ではエコー感の非常に強い音像になっている。残響が強調され、高音が耳につく。

『STALINISM』は1990年3月にMajor RecordからCD化。2005年にはSS Recordings/スカイステーションから「電動こけし/肉」とEP『スターリニズム』がアナログ盤とCDで再発、24bitデジタル・リマスタリングされたということだが、ソースとしては編集盤『STALINISM』と同じと思われる。2007年にリリースされた遠藤ミチロウのボックスセット『飢餓々々帰郷』に「電動こけし/肉」の2曲がオリジナル・マスターから復刻され、オリジナル・ソノシート・リリース時の音像を再現した最初のCDとなった。

今回いぬん堂からリリースされた『STALINISM NAKED』は、“オリヂナル・マスター・テープから初の完全復刻!”(CD帯より)、そして「仰げば尊し(FMフレッシュ・ウェーブ・ヴァージョン)」を追加収録し、曲順を年代順に変更した再編集盤。
『STALINISM NAKED』曲目
1. 電動こけし
2. 肉
3. 豚に真珠
4. サル
5. コルホーズの玉ネギ畑 
6. 猟奇ハンター
7. アーチスト
8. Chicken Farm Chicken
9. 仰げば尊し(FMフレッシュ・ウェーブ・ヴァージョン)
10.バキューム
11.解剖室

右上のジャケ写は裏ジャケ(バックインレイ)で、ボックスセット『飢餓々々帰郷』のディスク4を収納するのに使用されていた宮西計三のイラストを使用、このイラストはもともとアルバム『trash』のジャケットに使われる予定だったが、結局NGとなったもの。元のイラストは白地だが今回は赤地にして使用された。確かに面妖なイラストだよね…。

表ジャケットはEP『スターリニズム』と同じデザインが使用されている。
おっと、忘れていけないのが、EP『スターリニズム』オリジナル盤には収録されていた「サル」の冒頭のセリフ “朕は…” が復活収録されている!
まぁ偶然なんだろうけど、改元直前のタイミングでこのセリフが復活するというのも、昭和という時代が遠のいていくのを実感…。

追加収録された「仰げば尊し(FMフレッシュ・ウェーブ・ヴァージョン)」は、FM東京「FMフレッシュ・ウェーブ」で1983年11月30日にオンエアされた音源。メンバーはミチロウの他、ドラム乾純、ベース尾形テルヤ、ギターJUNE-BLEED。

初期のシングル2枚もいいけど、この編集盤で好きなのはディスチャージ直系のハードコアな「 Chiken Farm Chiken」。歌詞も最高で演奏もカッコいい迫力あるもの。この曲のメンツはミチロウの他、ベース杉山晋太郎、ドラム中村貞祐、ギターTAMとJUNE-BLEED。それから「バキューム」と「解剖室」も演奏が重圧でカッコいい。ミチロウの他、ドラム乾純、ベースにヒゴヒロシ、ギター小野昌之による再録音になるが、この2曲のスタジオヴァージョンは貴重。

参考文献:ボックスセット『飢餓々々帰郷』ブックレット

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