サンハウス『1974ワンステップ・フェスティバル』
待ってました。サンハウスのワンステップ・フェスティバルに於ける演奏を収録したライヴ・アルバムがリリースされた。
帯には、2010年2月17日にテイチクよりリリースされたサンハウスの8枚組ボックスセット『THE CLASSICS 〜35th ANNIVERSARY〜』に使用した同ソースの音源マスターを元に新たにマスタリングを施した、と記載がある。サンハウスの『THE CLASSICS 〜』も『1974郡山ワンステップフェスティバル永久保存盤21枚組ボックス』も、どちらも持っていないのでありがたいリリースだ。
1曲目「キング・スネーク」のイントロがフェイドインで始まるのが残念なのと、ドラムのハイハットの音が潰れ気味な音質が気になるが、ドラムが鬼平(坂田紳一)に代わって約4ヶ月後、デビュー・アルバム『有頂天』のリリースは翌1975年6月という時期のライヴで、レコードはまだ何もリリースされておらず、九州ではその名前が知られていたものの、博多からはるばる福島県郡山までやってきてのサンハウスの演奏は集まった観客の度肝を抜いたのではないかな、と想像してしまう内容だ。
鮎川、篠山、奈良、鬼平のエキサイティングな演奏、柴山はなんだかリラックスしているような余裕のあるヴォーカル(いつもかな?)のライヴ。ライヴ終盤では観客とのやりとりも聞け、盛り上がっているのがわかる。
鮎川は雑誌「ユリシーズ No.3」(シンコーミュージック刊)のインタビューで “ちょうどワンステップの頃が、ある意味スタートライン ” だったと語っていたが、全10曲で収録時間およそ36分と短いものの、博多を拠点としながらもレコードデビューに向け動き出した頃の演奏が聴けるのはうれしい限り。
10曲中6曲が後にファーストアルバム『有頂天』に収録される楽曲で、その他は「おいら今まで」がセカンド・アルバム『仁輪加』に収録される曲、「ぬすっと」と「すけこまし」はどちらもサンハウスがオリジナルを作り出して早期に出来ておりライヴでは演奏されていながら、1980年にリリースされた『ストリート・ノイズ』で初めて音盤化された曲。
「ねずみ小僧の唄」は作詞作曲・鮎川誠の痛快なロックン・ロール・ナンバーで、1998年にリリースされたCD3枚+VHSのボックスセット『ROCK'N BLUES BEFORE SUNSET』に収録(のちに『THE CLASSICS〜』にも収録)された1974年京都拾得でのライヴや、2008年にリリースされた1974年3月31日博多・ぱわあはうすでのライヴを収録した『ハウス・ストンプ』で聴くことができる曲で、チャック・ベリー「Sweet Little Sixteen」のようなオリジナル曲が欲しくて作った、と鮎川は語っている(『ROCK'N BLUES BEFORE SUNSET』ブックレットより)。