ECHO & THE BUNNYMEN「THE KILLING MOON "ALL NIGHT VERSION"」

壁に飾りたいジャケ~Pictures On My Wall~Vol.7

1980年代のニューウェイブの12インチ・シングルやアルバム・ジャケットには綺麗なもの、センスのいいものが多かった。アズティック・カメラ、ジョイ・ディビジョン、ザ・スミス、ドルッティ・コラム、ペイル・ファウンテインズ、ストロベリー・スイッチブレイド...。 絵画、風景、動物もの、ポートレイト等々。このエコー&ザ・バニーメンは、自然派とも言うべき美しい写真を使い、素晴らしいジャケットを多く残した。

凍てついた瀑布に立つメンバーを写したアルバム『ポーキュパイン』や地下(洞窟?)の湖に舟を浮かべた『オーシャン・レイン』、 海辺の鳥たちを写した「A Promise」の7インチやアルバム『ヘブン・アップ・ヒア』、ロイヤル・アルバート・ホールの写真に彩色したシングル「ネヴァーストップ」、 これは絵画だがHenry Scott Tukeによる、木々の下に佇む少年と少女を描いた油絵を使用したシングル「The Back of Love」などなど。 その中で1984年1月にUKリリースされたシングルの12インチ・ヴァージョン「The Killing Moon“All Night Version”」を選んだ。

雲の間に浮かぶ満月に照らされた岸辺。右側には木々が黒く、手前には一艘の帆船の影。画面中央より上に浮かぶ月、やや下を横切る水平線、 夜風に流れゆく雲や、月光が照らすさざめく波の陰影は奥行きをあたえ、写真の中に物語を感じさせる。

“All Night Version”の通り、9分余りの長尺に仕上げたこのヴァージョンは、 妖しく美しい弦の響き、アクセントをつけながら物語を進めていくリズム、イアン・マッカロクの艶のある声が月光と闇を紡ぐ、 ジャケット、内容共に極上の12インチ・シングル。

このブログの人気の投稿

PANTA & HAL『マラッカ』・『1980X』再現ライヴ

恒松正敏・音楽活動引退へ

追悼・PANTA