MY PLAYLIST Vol.10『TRIBUTE TO THE VELVET UNDERGROUND & NICO』
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』。1966年にほぼ4日間で録音され、リリースされた1967年当時は全米ビルボードチャートの171位という結果だったが、1970年代後半のパンク、ポスト・パンク、ネオ・サイケデリックの多くのバンド・アーティスト達に支持された。いわくこのアルバムを聴いた奴は“全員が音楽を始めた”という。幻想と現実、ハーモニーとカオスをポップ・アートで包み込んだ『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』は、今となっては絶大な影響力を持つモンスター・アルバムである。
数多くのカヴァー・ヴァージョンがあるが、手持ちのディスクから、以下、私の選んだ『TRIBUTE TO THE VELVET UNDERGROUND & NICO』
1. Sunday Morning Strawberry Switchblade
2. I'm Waiting For The Man Vanessa Paradis
3. Femme Fatale Teenage Fanclub
4. Venus In Furs Jim O'Rourke
5. Run Run Run The Motorcycle Boy
6. All Tomorrow's Parties Japan
7. Heroin Echo & The Bunnymen
8. There She Goes Again R.E.M.
9. I'll Be Your Mirror The Primitives
10. The Black Angel's Death Song Smile Kick
11. European Son Ride
Track 1. 12インチ・シングル「Since Yesterday」(1984年)
Track 2. アルバム『ビー・マイ・ベイビー(原題:バネッサ・パラディ)』(1992年)
Track 3. CDシングル「Ain't That Enough」(1997年)
Track 4. 10. Various Artists『VUトリビュート RABID CHORDS 002』(2000年)
Track 5. 11. Various Artists『アン・ピーシング・ザ・ジグソウ』(2009年)
Track 6, アルバム『クワイエット・ライフ』(1979年)
Track 7. ボックスセット『クリスタル・デイズ:1979–1999』(2001年)
Track 8. アルバム『デッド・レター・オフィス』(1987年)
Track 9. ボックスセット『ブルーム! ザ・フル・ストーリー1985-1992』(2020年)
という内容。
「Sunday Morning」はグラスゴーの女性デュオ、ストロベリー・スウィッチブレイド2枚目のシングル曲の12インチに収録されていたシンプルなアレンジのカヴァーでリリース当時から好きだった曲。CDでは1999年にリリースされたオムニバス『ギター・ポップ・ジャンボリー ステッピング(モア)~レア・トラックス ワーナー・ミュージック・エディション』に収録された。「I'm Waiting For The Man」はフランス出身のバネッサ・パラディ3枚目のアルバム『バネッサ・パラディ(邦題:ビー・マイ・ベイビー)』収録曲でオリジナルにほぼ忠実なアレンジ。キュートなヴァネッサのヴォーカルが魅力。ドラムはこのアルバムのプロデューサーでもあるレニー・クラヴィッツ。アンジー・ストーンのコーラスも効いている。1994年リリースのライヴ・アルバム『ライヴ』に同曲のライヴ・バージョンも収録。トレイシー・ソーン、R.E.M、トム・トム・クラブ、コステロ、日本だとルースターズや古くは3/3など、多くのアーティストがカヴァーしている「Femme Fatale」は、UKギター・バンドっぽいアレンジのティーンエイジ・ファンクラブのCDシングル「Ain't That Enough」(CD2、型番CRESCD228X)に収録されていたカヴァー。「Venus In Furs」は日本でリリースされた日米アーティストによるVUカヴァー集『VUトリビュート RABID CHORDS 002』からで、ミュージシャン、プロデューサーのジム・オルークによるカヴァー。「Run Run Run」はショップ・アシスタンツのヴォーカル、アレックス・テイラーが1980年代後半に在籍したモーターサイクル・ボーイによるカヴァーで、VUのトリビュートアルバム『ヘヴン・アンド・ヘル』Vol.1〜3を纏めルー・リードのインタビューを追加したCD4枚組『アン・ピーシング・ザ・ジグソウ』から。「All Tomorrow's Parties」はジャパンのアルバム『クワイエット・ライフ』からで無機質ともいえるストレンジなムードのクールなカヴァー。
「Heroin」はエコバニのCD4枚組ボックスセット『クリスタル・デイズ』に収録されていた1983年ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴで、イアンの歌う歌詞は最初のヴァース以外はほぼ即興のようなものだが、続けて「Do It Clean」になだれ込んでいくバニーメンにしか表現し得ない圧倒的な演奏。「There She Goes Again」はR.E.M.の初期音源集『デッド・レター・オフィス』からで、ピーター・バックによればR.E.M.のファーストアルバム『マーマー』録音時のアウトテイクだったという。1983年にI.R.S.からリリースされた7インチ・シングル「Radio Free Europe」のB面に収録された。「I'll Be Your Mirror」はプリミティヴスのシングル「Sick of It」のカップリング曲。2枚目のアルバム『ピュア』の日本盤CDにはボーナストラックで収録されていたと思う。私はこの日本盤CD持ってたけど売ってしまったので、2020年リリースのCD5枚組ボックスセットから。「 The Black Angel's Death Song」は『VUトリビュート RABID CHORDS 002』からヨダサチエがヴォーカルの3ピースバンド、スマイル・キックによるカヴァーで、混沌としたオリジナルを、はっきりとした音色のギターメロディで形作り、印象的なコーラスワーク、多彩なリズムアレンジでうまく表現している名カヴァーだと思う。ライドによるノイジーでヘヴィな「European Son」は『アン・ピーシング・ザ・ジグソウ』から。