My Wandering MUSIC History Vol.86 ECHO & THE BUNNYMEN『OCEAN RAIN』
印象的なアルバム・ジャケットは、シングル「Silver」と同じイングランド南西部のカーングレーズ洞窟の地下湖で撮影されている。バニーメンはこのアルバムの主なレコーディングをフランス・パリでおこなったが、ジャケットを撮影したブライアン・グリフィンはパンドの写真をパリではなく、風景の中で撮影したいと考えたようだ。そのおかげで息を飲むような美しいジャケットを我々は手にすることができた。
BRIAN GRIFFIN ALMUM COVERS ECHO AND THE BUNNYMEN
ブライアン・グリフィンのサイトには別カットが2枚掲載されている。
ブライアン・グリフィンのサイトには別カットが2枚掲載されている。
そのうちの1枚は2001年にライノからリリースされた4枚組コンピレーション『CRYSTAL DAYS 1979-1999』のジャケットに使用された(よく見ると裏焼きだな…)。
アルバムをパリでレコーディングしたのは、ヨーロッパ的な雰囲気を持ったシンプルで美しいものにしたいというバンドの希望からで、フランス・パリのスタジオ・Des Dames,(デ・ダム)とスタジオ・Davout(ダブー)でおこなわれている。また、ラヴのアルバム『フォーエヴァー・チェンジズ』のような管弦楽を使用したいと考えていたようだ。『オーシャン・レイン』のストリングス・アレンジは1980年代のバンド、ザ・フラワーポット・メンのアダム・ピータースが担当している。
先行シングルの「Silver」に続く、寂寥としたダークで重厚、ドラマティックなアレンジの「Nocturnal Me」は、イアンの高音〜低音を駆使したヴォーカルもスリリング。
“ 僕らに馴染まないやりかたを清らかにし、僕らの透き通る日々を広げていこう ”と歌われる明るい響きの「Crystal Days」だが、混沌としたウィル・サージェントのギターソロも耳に残る。
いつも上がったり下がったりのヨーヨー人間というユニークな「The Yo Yo Man」は、中間にファンタジックな転調部を持った曲。もともとは「Watch Out Below」というタイトルだった。
「Thorn of Crowns」は、ウィルによれば荒涼としたヨーロッパ海賊のイメージということだが、ボ・ビート・ライクなリズムの曲で、 “ きゅ、きゅ、きゅうり、きゃ、きゃ、キャベツ、か、か、カリフラワー ”と歌われるかなりフリーキーでシアトリカルな雰囲気。アレンジにストリングスが使われておらず、これまでのバニーメン・スタイルに近い曲と言えるか。
いつも上がったり下がったりのヨーヨー人間というユニークな「The Yo Yo Man」は、中間にファンタジックな転調部を持った曲。もともとは「Watch Out Below」というタイトルだった。
「Thorn of Crowns」は、ウィルによれば荒涼としたヨーロッパ海賊のイメージということだが、ボ・ビート・ライクなリズムの曲で、 “ きゅ、きゅ、きゅうり、きゃ、きゃ、キャベツ、か、か、カリフラワー ”と歌われるかなりフリーキーでシアトリカルな雰囲気。アレンジにストリングスが使われておらず、これまでのバニーメン・スタイルに近い曲と言えるか。
イアンが目覚めた時、“ Fate up against your will (運命はきみの思い通りにならない)”という一節が浮かび作られたという「The Killing Moon」。アナログ盤ではここからB面。
この曲はイングランド・バースのCresent(クレセント)スタジオで録音されたが、風邪をひいていたイアンのヴォーカルと、仕上がりに満足できなかったドラムは、後にリヴァプールのアマゾン・スタジオで録音し完成させたという。“ Your lips a magic world ”と歌われる部分のドラム・フィルが素晴らしいタイミング。
残酷な運命、行く道を照らす月明かりも無い漆黒の闇が訪れる夜。
12インチの“ All Nigtht Version”も素晴らしい。
アコギのストロークの響きが涼しげでポップな「Seven Seas」は後にシングル・カットされた。
イギリスでは『オーシャン・レイン』のアルバム告知広告に歌詞の一部、
“ If my heart is a war
It's soldiers are bleeding
If my heart is a war
It's soldiers are dead ”
が使われていた「My Kingdom」。ウィル・サージェントのギターが活躍する曲だ。
タイトルトラック「Ocean Rain」。ポツリ、ポツリとしたイアンのヴォーカルからウィルのギターのリフレイン、徐々に音数を増やしていくストリングス、砂浜に染み込む雨粒から、やがて大海原を揺らすハリケーンを見ているような壮大なイメージを受ける。
『オーシャン・レイン』はUKアルバムチャート4位を記録。
バニーズはアルバム発表毎に最高傑作を更新してきた。以前も書いたけど個人的にはこのアルバムがバニーズのひとつの到達点と思っている。
2019年10月にリリースされた『The John Peel Sessions 1979-1983』に収録された『オーシャン・レイン』収録曲を聴くのも面白い。
1983年6月に録音、放送された「Silver」、「Seven Seas」、「The Killing Moon」と、
1983年9月に録音、10月に放送された「Nocturnal Me」、「Watch Out Below(後のThe Yo Yo Man)」、「My Kingdom」、「Ocean Rain」を聴くことができる。
Echo & The Bunnymen Nocturnal Me, Ocean Rain, Thorn Of Crowns Live The Tube 16/12/83。
これは、ちょうどアルバム制作時期のTVライヴだと思うんだけど。アルバムの中からシングルカットじゃない3曲を演奏。
参考文献:Four Disc Set『CRYSTAL DAYS 1979-1999』liner notes(2001年)、Reissue CD『OCEAN RAIN 25th Anniversary』liner notes(2003年)、 Reissue CD『OCEAN RAIN COLLECTOR'S EDITION』liner notes(2008年)