My Wandering MUSIC History Vol.87 ECHO & THE BUNNYMEN『SEVEN SEAS』
エコー&ザ・バニーメンのアルバム『オーシャン・レイン』からのシングルカット。
私が購入したのは輸入盤の12インチで、カップリングにはビートルズのカヴァー「All You Needs Is Love」と「The Killing Moon」、「Stars Are Stars」,「Villiers Terrace」を収録。7インチ「Seven Seas c/w All You Need Is Love」、12インチ収録曲を7インチ2枚に収録した限定盤もリリースされている。
「Seven Seas」はアコースティック・ギターの涼やかな響きで始まり、軽やかなベースラインとタイトなドラムにのせイアンのヴォーカルは高らかに艶やかに響く。チャイムが鳴り渡ると弦楽とともに盛り上がるサビ部分を持ったポップなナンバー。
この曲では各地を巡る、ユニークな寸劇仕立てのプロモ・ヴィデオがつくられ、リヴァプールのロイヤル・リヴァー・ビルディングから出発。そこにはリヴァプール・エコー紙を読むピート・デ・フレイタスが。レイキャビックではペンギンの絵をバックに歌うイアン。それにウッドベースを抱えたペンギン姿のレスが登場するが、アイスランドにペンギンはいない…のでは。赤旗たなびくレニングラードではウィルと思われる半魚人登場。これはソヴィエト映画「両棲人間」をモチーフにしたのか…な。ハンブルグではビートルズゆかりのスタークラブ前で歌い、アムルステルダムではイアンが女装姿でメンバーを誘う(!)Red Lightな雰囲気。ヴェネツィアのカナル・グランデに架かるリアルト橋を鑑賞し、カサブランカではハンフリー・ボガードの絵を前にハリボテ魚と共にメンバー退場、で終了。七つの海を渡る、というよりはヨーロッパ旅行的な感じ…か。
カップリング収録された4曲は、リヴァプール出身の元ボクサー、ブライアン・マキャフリイ(Brian McCaffrey)が営む食堂を取り上げた英チャンネル4のテレビ・ドキュメンタリー番組 「Play At Home, Life At Brian's -Lean And Hungry」のために録音されたヴァージョン。レコーディングはリヴァプール・カテドラルで録音されている。ボンゴやクラリネット、シタール、ハープシコードなども使用したアコースティックなテイストで、アットホームな雰囲気に作られていると思う。
ブライアンのダイナーはリヴァプール出身のバニーズやティアドロップ・エクスプローズ(ジュリアン・コープ)等にもお馴染みのようで、ウィル・サージェントによればダイナーはバンドのリハーサルスタジオの近くにあり、よく朝食や食事に行ったそうだ。
「All You Need Is Love」のイントロにはブライアン・マキャフリイがボクサー時代を振り返って “ 1対1の対決、恐怖と興奮でトリップしたような状態になるよ ”といった内容の語りが被さっている。また、曲の終盤にはJack Smetheramの語り、Gladys Palmerの語りの断片が演奏に被さっている。
「All You Need Is Love」のイントロにはブライアン・マキャフリイがボクサー時代を振り返って “ 1対1の対決、恐怖と興奮でトリップしたような状態になるよ ”といった内容の語りが被さっている。また、曲の終盤にはJack Smetheramの語り、Gladys Palmerの語りの断片が演奏に被さっている。
言わずと知れたビートルズのカヴァー「All You Need Is Love」だが、曲の後半 “ Love Love Love ”のコーラス部分には、ビートルズの「She Loves You」、ディランの「Like A Rolling Stone」や「Rainy Day Women」、ジェームス・ブラウンの「Sex Machine」、バニーズ初期の曲「Read It In Books」、エンゲルベルト・フンパーディンクやトム・ジョーンズなど様々な歌手に歌われた「Release Me」の一節が少しずつ歌われている。番組内の演奏シーンはリヴァプール・カテドラルでロケされた。
「The Killing Moon」は 水面に映る三日月、森と霧、そして怪しげな太極拳(カンフー?)が登場する、不可思議なムードで歌われるシーンで使用された。番組ではオープニング・タイトルやダイナー内で演奏しているシーンに使われていた「Villiers Terrace」は、ボンゴやKhiem Luuのサックスがフューチャーされたエキゾチックなヴァージョンになっている。シングル盤ではこの曲が終わって、テレビ番組でGladys Palmerが歌っていた「What I've Got In Mind」(ビリー・ジョー・スピアーズ)の一部が収録されている。
番組ではいちばん最後に使われていた「Stars Are Stars」は、アラン・パーマンが弾くハープシコードが印象的なヴァージョン。イアンの肩の力を抜いたヴォーカルも味わいがある。
「Villiers Terrace」と「Stars Are Stars」のオリジナル・ヴァージョンはバニーズが1980年にリリースしたファースト・アルバム『クロコダイルズ』に収録されていた。
「Play At Home Part Two」
「Play At Home Third and Final Round」
番組ではPart Oneの終わりに「Silver」を演奏しているシーンがあるが、1984年にリリースした12インチ・7インチともにシングルには未収録で、2003年にCDリイシューされた『OCEAN RAIN 25th Anniversary』にボーナストラックとして初めて収録された。
「Play At Home Third and Final Round」
番組ではPart Oneの終わりに「Silver」を演奏しているシーンがあるが、1984年にリリースした12インチ・7インチともにシングルには未収録で、2003年にCDリイシューされた『OCEAN RAIN 25th Anniversary』にボーナストラックとして初めて収録された。
シングルのジャケットはこの番組のオープニングで映る船の映像を使用しているようだが、他にペンギンスーツを着た写真に変更したジャケットでもリリースされている。
それにしても今は便利な時代。かつて1984年にこのシングルを購入した時はテレビ番組のサウンドトラックらしいということしか分からず、どんな内容のテレビ番組でバニーズの曲がどのように使われているの皆目分からなかったのが、今では全編が見られるのだから、ありがたいものだ。
「Play At Home, Life At Brian's 」の楽曲のCD化だが、ライノから2001年にリリースされた4枚組コンピ『CRYSTAL DAYS 1979-1999』に「All You Need Is Love」 のみ収録、2003年の『OCEAN RAIN 25th Anniversary』にシングル収録4曲全曲に「Silver」を加えた5曲が “ The Life At Brian's Sessions ”として収録されている。これらの盤には第1世代のマスターテープが使用されており、バニーズの演奏のみが収録されている。そのため「All You Need Is Love」にオーヴァーダビングされていたマキャフリイなどの語りの断片や「Villiers Terrace」に続いてGladys Palmerが歌う「What I've Got In Mind」は含まれていない。
私が持っている日本のみで1988年にリリースされたコンピレーション盤『NEW LIVE AND RARE(邦題:まぼろしの世界 12'+LIVE)』には「All You Need Is Love」が収録されているが、 このCDにはシングル盤に収録されていたままの語りの断片がオーヴァーダブされたヴァージョンが収録されている。
私が持っている日本のみで1988年にリリースされたコンピレーション盤『NEW LIVE AND RARE(邦題:まぼろしの世界 12'+LIVE)』には「All You Need Is Love」が収録されているが、 このCDにはシングル盤に収録されていたままの語りの断片がオーヴァーダブされたヴァージョンが収録されている。
まぁ演奏のみの方が聴きやすくていいと思うけど。
[参考文献:Four Disc Set『CRYSTAL DAYS 1979-1999』liner notes(2001年)、Reissue CD『OCEAN RAIN 25th Anniversary』liner notes(2003年)