頭脳警察「見知らぬ友への反鎮魂歌」
2004年10月発表のアルバム『music for 不連続線』より。 頭脳警察が演劇の音楽を手掛けている、というのはパンタ詩集「ナイフ」などを読んで知っていたが、その音に接する事は出来ないだろうと思っていた。 映画と違って演劇は手軽に繰り返し見られるメディアではないし、なにしろ70年代のことだ、演劇そのものをフィルムに記録するというのも難しいことだろう。 しかし、このCDは実際の公演で使用していた6mmのオープンリール・テープをマスターとして製作され、今我々の耳に届いた。 パンタの活動の中でも歴史的な記録であることは間違いない。 全20曲のなかでパンタがボーカルをとるのは5曲。 凶暴な「鴉の歌」や後にアルバム『歓喜の歌』に再録される「最終指令自爆せよ」もいいが、 「見知らぬ友への反鎮魂歌」のスローな曲にのった菅孝行の叙情的な歌詞が耳に残る。 このアルバムの歌詞は「最終指令~」など3曲を除き全て劇団・不連続線主宰の菅孝行だが、 革命の演劇を目指していた不連続線の志と、 パンタが常に持っている‘世界は未だ闇に包まれている’というイメージはこの歌の中で共鳴している。 “見知らぬ友よ まだ世界は夜だ たとえ殺したおまえと殺されたおまえが手をとりあっても 冷えた心に炎は還らない” というフレーズが秀逸。