スターリン「WALK BOY」
1989年10月発表のアルバム『スターリン』より。 THE STALIN解散から4年後の1989年にSTALIN結成(途中VIDEO STALINというのがあるが)。 1989年は、2月にシングル「包丁とマンジュウ」、アルバム『JOY』、7月ビデオ『P』、9月シングル「勉強ができない」、10月アルバム『スターリン』 発売とリリースラッシュだった。それだけアーティスト、レコード会社側も新しいバンドに力を入れていたのだろう。 ギターにTHE LIPSの山盛愛彦、ベースにはパラノイア・スター時代にもベースを弾いていた西村雄介、ドラムはローザ・ルクセンブルグ、ルースターズの三原重夫。 ホームページ「三原重夫のページ」の中の「人のケツ見て24年」にこの頃のレコーディングや合宿についての記述があるが、 三原の“キーとリズムを中心に緩い構成がある他は自由にし、ソロパートなど長さも決めない演奏にミチロウの詞を融合する”という提案に “ミチロウも喜んだ”と書かれている。この三原の提案した即興性を重視したアプローチでこのアルバム製作は進められ、 3人が完成させたサウンドにミチロウの歌を後録りするという形がとられた。前作『JOY』では作詞・作曲遠藤ミチロウだったが、 『スターリン』収録曲の作曲は全てバンド名義でクレジットされている。 「Walk Boy」はディレイのかかったギターのフレーズと三原の弾くキーボードで始まり、シンプルなベース(音符の置き方が変わってるけど)、 ドラムが入り、ミチロウが羊の数を数え始める…。 歌詞は、“行かなけりゃ/Walk Walk Boy/こんなに遠くまで来たはずなのに/ ここがどこだかちっとも気にならない”という短いもの。 “こんなに遠くまで来たはずなのに”という表現がなんとも気持ち悪い。 淡々とした曲調だが、羊の数が100に近づく頃、曲の盛り上がりがピークを迎える。 羊は眠る為に数えているのではなく、歩き続け彷徨える羊(少年)たちを数えているのか。