THE STALIN「玉ネギ畑」
2007年10月発表の『Stop Jap Naked』より。 1982年7月にリリースされたスターリンのメジャーデビューアルバム『Stop Jap』がレコ倫によってかなり歌詞修正を余儀なくされた、という事はミチロウのエッセイ集『2003年版 嫌ダッと言っても愛してやるさ!』にも書いてあった。 それもスターリン・シフトで、他のアーティストが良くてもスターリンだとダメな言葉があった(“偏執狂”がルースターズはOKでスターリンはダメだった等)。このレコ倫によるチェックは、ミックスダウンした後におこなわれた。“ピー音で消す事も検討されたが、結局修正箇所の歌を入れ直し、 再度ミックスダウンしたものが1982年に発売された『Stop Jap』だ。 今回の『Naked』は残されていた修正前の歌詞の歌に戻し、テープスピードを早めていた「ロマンチスト」、「Miser」は元のスピードに戻している。ミックスダウンも新たにおこなわれ、全体的に太い音に生まれ変わっている。修正された箇所はかなりの数で、なぜダメなのか理解に苦しむような言葉もあるし、これではミチロウも怒るはずだ。 「玉ネギ畑」はスターリン初期から「コルホーズの玉ネギ畑」として演奏されている曲だが、 1982年版『Stop Jap』の呟くようなボーカルから、この『Naked』ではボーカルトラックがまるごと差し替えられ、ミチロウの激しいボーカル(ヒステリー・バージョン)になっている。 “玉ネギ病”については先の『2003年版 嫌ダッと言っても愛してやるさ!』に詳しいが、訳も無く泣けて、ほおっておくと死ぬほど健康的になるというのがこの病気の特徴らしい…。 それにしてもこの曲の“雨、風、陽照り”と歌われる箇所は最高にイマジネイティブ。この曲に限らずアルバム全て素晴らしい出来上がり。