THE CLASH「THIS IS ENGLAND」
1985年9月30日リリースの12インチ・シングル。 たぶんクラッシュのアルバム『カット・ザ・クラップ』はリリースされた当時誰かに借りてすぐに聴いたと思うが、まるで興味持てなかったな。カセットテープにも録音しなかったから、1990年代になってCD化された際に一応買っとくかという程度で、それも一通り聴いてCDラックから取り出すことはほとんどなかった。この「This is England」の12インチ・シングルも、 ニック・シェパード、ヴィンス・ホワイト、ピート・ハワード参加後のクラッシュのライヴブートCDで聴いた「Sex Mad Roar」がロカビリーぽくてカッコ良くて「This is England」の12インチにスタジオ・ヴァージョンが収録されているのを知り、やはり90年代初め頃中古で入手したものだ。 前回のストラマー、シムノン&ハワードの「Czechoslovak Song / Where is England」を紹介するのに、クラッシュの「This is England」を改めて聴いたのだが、メロディとしては良いものがあるなと思いつつ、フェイニー(Fayney)というサウンド・デザイナーがプログラミングしたデジタル・サウンドは正直好みではない。だがメロディにのせた歌詞は注目に値するもので、これこそが「This is England」が近年再評価された要因でもあるだろう。 2012年にリリースされたクラッシュのドキュメンタリーDVD『THE RISE AND FALL OF THE CLASH』のなかで、ヴィンス・ホワイトは自分達の演奏・アレンジで作品化出来なかったことを嘆き、涙ながらに語っていた。 “考えるだけでつらい。本当に泣きたくなるよ。 「ディス・イズ・イングランド」は英国の現状を表す素晴らしい曲だと思うんだ ” 1979年、英国首相に就任したマーガレット・サッチャーは当時“英国病”と呼ばれていた経済的・社会的衰退から脱却すべく、国営企業の民営化、労働組合の弱体化、税制改革、福祉政策の削減、規制緩和といった政策を打ち出す。税制改革に対する反応や人員削減など合理化による失業者の増加等により支持率を下げていたが、1982年のフォークランド紛争勝利後にサッチャーは支持率を上げ、総選挙に圧勝、首相に再選されると、サッチャリズムと呼ばれるその政策をさらに強力に推し