映画『BLADE RUNNER 2049』
映画『ブレードランナー2049』をレンタルのブルーレイで観賞。続編は観たくないなぁと思っていたんだが、今のブレードランナーな気分で興味津々借りてきた。 この映画と共に観ておいた方がいいのが、ネットで公開されている3本のショート・フィルム。 『ブレードランナー ブラックアウト2022』(アニメーション・渡辺信一郎監督) 『2036:ネクサス・ドーン』(ルーク・スコット監督) 『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』(ルーク・スコット監督) どれも本編『ブレードランナー2049』の世界の背景を理解するのに役立つもので、『ブラックアウト2022』は大停電というレプリカント禁止法のきっかけとなった大事件の、『ネクサス・ドーン』はレプリカント製造再開の、『ノーウェア・トゥ・ラン』は本編冒頭に登場するサッパー・モートンについての、興味深い内容を持っている。 で、本編『ブレードランナー2049』はどうだったかというと、屈折した言い方だが、“ブレードランナーの続編”というこだわりを捨てて観れば、良く出来た映画だと思う。 個人的にはハリソン・フォードとショーン・ヤングは出演しなくてもよかったと思う。特にウォレス社内部でのシーンは脱力した。このあたりのエピソードは他の方法でうまく処理できたんじゃないかなぁ。あとなんだか警察内部は杜撰で、重大な発見の処置を警部補の一存であっさり決定したり、貴重な発見の証拠を簡単に持って行かれたりとアウトオブコントロールな状況でがっかりな描き方。 まぁ映像は綺麗だし、ストーリーもキリストの生誕や旧約聖書といった宗教的要素を絡め、 木馬を象徴的に使用したり、ウラジーミル・ナボコフの『青白い炎』の引用というインテリジェントな仕掛けなど、なかなか深読みの出来る内容になっている。前作がハードボイルドなムードだったが、続編はヴァーチャルな恋人との絡みがソフトな印象もあり。 右上の表紙は『ブレードランナー2049』公開された2017年に洋泉社から出版された別冊映画秘宝『ブレードランナー究極読本』。