加藤和彦&サディスティック・ミカ・バンド『1974ワンステップ・フェスティバル』

2018年11月28日、Super Fuji Discsよりリリースのライヴ・アルバム。

先に紹介した四人囃子と同時にリリースされたサディステック・ミカ・バンドのワンステップ・フェスティバルに於けるライヴ演奏の全曲を収録したアルバムで、2017年12月にリリースされた『1974郡山ワンステップフェスティバル永久保存盤21枚組ボックス』からの単品販売となった。全7曲、収録時間およそ35分と短めだが、発掘音源としては各楽器のバランスも良くエキサイティングなステージをコンパクトに堪能出来る。

CDが加藤和彦&サディステック・ミカ・バンド名義なのは、ワンステップ出演時のアーティスト名が加藤和彦とサディステック・ミカバンドだったからか。やはり当時としてはサディスティック・ミカ・バンドって名前だけより、世間的には加藤和彦の名が通っていたのだろう。
メンバーは、加藤和彦、ミカ、高中正義、小原礼、今井裕、高橋幸宏という最強ラインナップ。このメンツで制作したアルバム『黒船』は1974年5月の時点でレコーディングを完了、1974年11月にリリースされるが、そのアルバムからは「塀までひとっとび」、「タイムマシンにおねがい」が演奏されている。

ファースト・アルバムからは「影絵小屋」、「ピクニック・ブギ」、「ダンス・ハ・スンダ」が演奏されているが、キーボードが入ったこともあり、いずれもライヴならではのドライヴ感が増してカッコいい仕上がり。

その他、カヴァーアルバムとして1974年頃計画され幻に終わったアルバム『駅前旅館』の収録候補だった高峰秀子「銀座カンカン娘」のカヴァー。なんでも当時この曲の使用許可が下りなかった為計画は頓挫したという。コーラスのアレンジも面白く、ブギウギ・ピアノ、ミカのヴォーカルもハマった名カヴァーだ。小原礼のペンによる未発表曲だった「ロックンロールバンド」はラテンムードのある、インプロビゼーション・パートの多いおよそ12分に及ぶ長尺曲で各プレイヤーの面目躍如。

ミカ・バンドはワンステップ・フェスティバルの最終日、ヨーコ・オノ・ウィズ・プラスティック・オノ・スーパー・バンドと同じ1974年8月10日に出演しているが、「タイムマシンにおねがい」の冒頭でミカがヨーコ・オノばりにヴィブラート・シャウトしているのがユニーク。加藤和彦によればワンステップ・フェスは出演するつもりなかったから “パーッと行ってすぐ帰ってきた” らしい…。

ワンステップの音源は単品で他にはクリエイションがリリースされており、外道や上田正樹&サウス・トゥ・サウス、かまやつひろし、沢田研二&井上堯之バンドのリリース予定があるが、サンハウスも単品で出してくれないか…。

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