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6月, 2016の投稿を表示しています

TYPHUS「ノータッチ」

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2016年6月22日発表のアルバム『Typhus』より。 日本のハードコア・パンク黎明期に活動していたチフス(1980年秋結成~1981年7月解散)の “ほぼコンプリート音源集” CDがリリースされた。 ソノシート、カセットリリースの音源からセレクトされているが、チフスがポリティカルから1981年1月にリリースしたソノシートは今では非常に高額で売買されているから、こうして手軽に聴けるようになったのはありがたい。帯なし、歌詞記載も解説書も無し、厚紙ジャケット1枚封入のみでクレジット記載は裏ジャケのみ、という簡素な作りではあるが…。 全13曲26テイク収録。 やはりソノシートの4曲は強烈な印象を残すが、その他の音源、スタジオリハーサルやライヴ音源を聴くのは私は初めてなので興味深い。 14曲目に収録されている1980年10月28日のスタジオライヴ・テイクの「ノータッチ」は、ロミという女性メンバーがヴォーカルをとっているのも新鮮で、あのハードなチフスの演奏と“傷んだハートにノータッチ”と歌うやや脱力気味の女性ヴォーカルが妙にマッチしていてよい。この曲イギリスのスリッツの曲をもとにしているらしい。まぁどの曲も歌詞はユニークで極めて辛辣。 チフスはVoのイズミはあぶらだこへ、ギターのタムはザ・スターリンへ、ベースのシンはガーゼへ、ドラムのタクはスティグマへ、 とその活躍の場を移していく。

田代俊一郎著『博多ROCK外伝』

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2016年6月9日、INSIDEOUT刊 西日本新聞に現在も連載されている“九州近代歌謡遺聞”のロック編をもとに加筆・修正、上田恭一郎と吉村輝幸の写真を加えて出版されたもので、博多ロック先駆者であるサンハウスの誕生と活動にフォーカスし、他にもブロークダウンエンジンや山善の活動が取り上げられた1960年代~1970年代後半、フルノイズ、ロッカーズ、モッズ等を取り上げた1980年代、と大きく2つの年代の博多ロックシーンを現代の状況も踏まえながら振り返り、昭和、ぱわあはうすといったライヴ喫茶、本格的なライヴハウス80'sファクトリーの誕生、レコードショップ(ジュークレコード、ボーダーラインレコード)開店や、イベントのジャンピングジャム開催、タウン誌シティ情報ふくおか、音楽専門誌ブルージャグの発刊なども絡めて博多という都市の音楽的拠点を検証する。もちろん関わった人物も多彩に取り上げられている。 興味深いエピソード満載、シーナと鮎川の結婚式での写真やアーティスト若かりし頃、80'sファクトリーの店内等々珍しい写真が掲載されている。ルースターズは連載1回分、他にはアクシデンツやモダン・ドールズ、アンジー、ヒートウェイヴなど。巻末に掲載されている博多ロック略年表は、もうちょい詳しい年表にして欲しかったが、著者の博多ロックへの熱い思いはこの本の刊行された日付に象徴されているだろう。 著者は1950年北九州市生まれで慶大卒業後に西日本新聞社入社、現在は客員編集委員。 西日本新聞のHP 西日本新聞・連載・九州近代歌謡遺聞のページ 過去記事でロック編が読める。本ではモノクロだがここではカラー写真で掲載されているものも。現在は民謡編が連載されている。

My Wandering MUSIC History Vol.73 ARB『W』

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1982年6月21日、ビクター/インビテーションよりリリースのアルバム。 前作では入院していたドラムのキースが復帰、戦争・労働・女性など“W”をキーワードにしたアルバム5枚目。アルバムに先駆けて5月にはシングル「クレイジー・ラブ c/w エイリーン」がリリースされている。「クレイジー・ラブ」は作詞・柴山俊之、作曲・木戸やすひろ、と曲作りをバンド外部へ発注しシングルヒットを狙ったらしい。クラッシュ&沢田研二のス・ト・リ・ッ・パーってイメージの曲調だがヒットとはならず…。当時聴いた私もこのシングルはチャート狙いだな、とは思ったものの曲としてのインパクトは薄く、この路線じゃないだろーと思ったものだった。B面の「エイリーン」は映倫(映画倫理委員会)を揶揄したルーズなロックンロール・ナンバー。どちらもアルバム『W』に収録されている。 アルバムのオープニングは「ウィスキー&ウォッカ」で、当時の冷戦構造をウィスキーとウォッカに喩え、米ソ中の対立をユーモラスに描き出したラップ調のファンキーなナンバー。クラッシュの「Magnificent Seven」の影響下にあったとも思えるが、田中一郎のギターがキレてるし、パーカッションも多彩に使用した軽快な曲だ。自分達も含めた日本のロックがチャートに上がらない歯がゆさ。なんとしても自分達のやり方で芸能・歌謡界のシステムに切り込んでいきたい。その石橋凌の思いを詰め込んだ「ユニオン・ロッカー」では、芸能界の“イカサマ野郎”を“高く吊し上げろ!”と同志ロッカー達へ連帯を熱く叫ぶ。 つらい繰り返しの日々に別れを告げたくても、夜が明ければまた振り出しに戻る…「Heavy Days」は石橋凌作のスローなワークソング。ビートルズの「The Ballad of John And Yoko」のような「二人のバラッド」はフォーキーな曲調でエンディングをビートリッシュに決める。 “家事なんてしなくていいから俺に愛だけおくれ”という柴山俊之作詞の「愛しておくれ」は、マディ・ウォーターズ「I Just Want To Make Love To You」のソフト訳版という感じだ。曲は田中一郎作。工業都市で働く男女をモチーフにした「モノクロシティ(Man Stand Up, Woman You Too)」、今夜もまた午後6時からステージでサックスを抱く男…激しくバップするサ

『TH eROCKERS アルバム・3タイトル再発!』

TH eROCKERSのオリジナル・アルバム3タイトル再発! ファーストアルバム『WHO TH eROCKERS』にはボーナス・トラックとして『REAL ROCK SEE SAW SCENE VOL.1』(プロモLP・未発売) からのライブ音源「可愛いあの娘」ほか4曲収録。 セカンドアルバム『COME ON』にはボーナス・トラックとしてアルバム未収録のシングル曲「黒い眼をしてU.S.A」、「シャープ・シューズでケリ上げろ!」収録。 2016年7月20日発売。トーク・イベント、ライヴも予定されている。 待望のプロモ盤収録曲、アルバム未収録シングル曲のCD化。サード『SHAKIN'』にはボーナス・トラックは無いのかな…。もうちょっと未発表のものはないのだろうか。