田代俊一郎著『博多ROCK外伝』
西日本新聞に現在も連載されている“九州近代歌謡遺聞”のロック編をもとに加筆・修正、上田恭一郎と吉村輝幸の写真を加えて出版されたもので、博多ロック先駆者であるサンハウスの誕生と活動にフォーカスし、他にもブロークダウンエンジンや山善の活動が取り上げられた1960年代~1970年代後半、フルノイズ、ロッカーズ、モッズ等を取り上げた1980年代、と大きく2つの年代の博多ロックシーンを現代の状況も踏まえながら振り返り、昭和、ぱわあはうすといったライヴ喫茶、本格的なライヴハウス80'sファクトリーの誕生、レコードショップ(ジュークレコード、ボーダーラインレコード)開店や、イベントのジャンピングジャム開催、タウン誌シティ情報ふくおか、音楽専門誌ブルージャグの発刊なども絡めて博多という都市の音楽的拠点を検証する。もちろん関わった人物も多彩に取り上げられている。
興味深いエピソード満載、シーナと鮎川の結婚式での写真やアーティスト若かりし頃、80'sファクトリーの店内等々珍しい写真が掲載されている。ルースターズは連載1回分、他にはアクシデンツやモダン・ドールズ、アンジー、ヒートウェイヴなど。巻末に掲載されている博多ロック略年表は、もうちょい詳しい年表にして欲しかったが、著者の博多ロックへの熱い思いはこの本の刊行された日付に象徴されているだろう。
過去記事でロック編が読める。本ではモノクロだがここではカラー写真で掲載されているものも。現在は民謡編が連載されている。