OMNIBUS a Go Go Vol.1『東京ニュー・ウェイヴ'79』
オムニバス・アルバムというのは魅力的だ。あるテーマに沿ったショウ・ケースとも言える。 気に入ったバンドが収録されていて買ってみたら、全然知らなかったバンド・アーティストが凄く気に入るなんて事はよくある。 そこで始めてみたのが、この「OMNIBUS a Go Go」。
第1回目は日本で一番初めにリリースされたパンク/ニューウェーヴのオムニバス・レコードとして位置づけられる『東京ニュー・ウェイヴ'79』。1979年1月21日に新宿ライヒ館モレノにおいてライブ録音され、同年4月初めにリリースされた。
同タイトルのライブ・コンサートにはPAIN、8 1/2、BOLSHIE、SEX、自殺、スピード、ミラーズ、リザードが出演したが、このアルバムにはスピード、ミラーズ、リザードの演奏は収録されていない。しかし、その“東京ロッカーズ”の3バンドが外れた事で、当時の別の側面を描き出す好オムニバス・アルバムとなった。
個人的にはかなり聴きこんでいたアルバムで、特にアナログ盤でSEX、自殺、PAINの収録されていたA面はよく聴いた。
管理されている事に対する不安・怒りをぶちまけたイギー直系の「TVイージー」、
「無力のかけら」の
“いったい何が俺たちをこんなに
一人一人をバラバラにしたのか”
というフレーズは凄くリアルだった(し、今もそう感じる)。これがSEXの2曲。
毒のある歌声を聴かせ、凶暴でサイケデリックなギターが表現力抜群の「ゼロ」、
山口冨士夫のカバー「ひとつ」は瀬戸際のセンチメンタルを感じさせる。これで私は山口冨士夫を知った。これが自殺の2曲。 この4曲は今聴いても最高のナンバー。
鳥井ガクのPAINも翳りのあるパンクチューンを聴かせてくれたし、8 1/2「シティ・ボーイ」も痛快。メンバーの平均年齢16.5才だったBOLSHIEは、ストレートな曲と共に若いが捻れた演奏も聴かせてくれる。
ジャケットは『Cool Struttin'』のパンク版、足フェチなデザインかな。