OMNIBUS a Go Go Vol.21『TASTE OF WILD WEST 3』
“西部無法地帯の味”と題された関西地方のノイズ系コンピレーションでシリーズ3作目。1990年、徳間ジャパンからリリースされた。 タイトルはアルケミーからリリースされたLP『WEST PSYCHEDELIA』や1988年8月大阪エッグプラントでおこなわれたライブ“WALK ON WILD WEST”を収録した『WEST PSYCHEDELIA 2』の流れをくむものだ。
山塚アイ・Unrimited Freak Out or Dieの正にワイルドな演奏や、ユーモラスかつキケンなボアダムズ、そのボアダムズにも在籍した山本精一・思い出波止場のフリーキーな楽曲、インキャパシタンツの不安感を増す音響、ソルマニアのハイパーに捻れた演奏、このコンピのオーガナイザーでもあるJOJO広重率いるキングオブノイズ・非常階段の27分に及ぶノイズと絶叫...と物凄い無法地帯ぶりだが、轟音、雑音、騒音、爆音、奇声と怒号、唸り、叫び声の狭間に、ひっそりと静かに、しかし色彩豊かに咲いたエンジェリン・ヘヴィ・シロップの演奏がとても魅力的だ。
表情豊かなベース、多彩なリズムを刻むドラムス、澄んだ音とノイジーな音を使い分けるギター、透明感のある歌声・スキャット、それらが一体となり、SEで水の音を使用しているからか、音で水面に波紋を描いているような印象を与える「Crazy Blues」は、エンジェリン・ヘヴィ・シロップとしての初レコーディング曲。アレンジは多面的だ。
エンジェリンは板倉峰子(Vo&B)、中尾峰(G)、マンドレイクヨウコ(Ds)により1989年に結成され、このコンピに1曲を提供した後、1991年にファーストアルバムをリリースした。アメリカ・カリフォルニアの“Subeterranean Records”からリリースされたエンジェリンのファーストアルバムには、この「Crazy Blues」がボーナストラックとして収録されている。
アルケミーレコードHP内JOJO広重こころの歌・最後の歌 第99回には、再発されたAngel'in Heavy Syrupのベスト盤をJOJO広重が推薦している。このベスト盤には『TASTE OF WILD WEST』収録とはバージョン違いの「Crazy Bules」(セカンドアルバムからの選曲)が収録されている。