OMNIBUS a Go Go Vol.52『I WAS PUNK BEFORE YOU』

P-VINEから1998年にリリースされたコンピレーション。ニューヨークに限らずアメリカのアーティスト/バンドの1965年~1979年までの音源が集められている。

前回の『SINGLES The Great New York Singles Scene』CD盤から8年後という歳月を経て、テレビジョン「Little Johnny Jewel」はフルバージョンで収録。7分に及ぶ曲だがちっとも長さを感じない最高のサイコトリッピン・ナンバー。2004年にリマスターされリイシューされたファーストアルバム『MARQUEE MOON』にもボーナストラックとして収録されたが、2004年盤は音ヤセしているように思えて個人的にはこのコンピのほうが好みの音質。

パティ・スミスは「HEY JOE」と「PISS FACTORY」の自主盤A/B面を収録。ジミヘンでも有名な「HEY JOE」をパティは、誘拐された後に過激派の同志となった富豪の娘パトリシア・ハーストの歌に作り変えている。この曲ではテレビジョンのトム・ヴァーレインがギターで参加、エキセントリックな演奏が聴ける。

以下他の収録曲を簡単に紹介。
ルー・リードがヴェルヴェッツ以前にラフネックス(ROUGHNECKS)名義でリリースした「You Driveing Me Insane」はルーのボーカルもさることながら、バックで聴ける“ワォ!”とか“ウホホ!”とかの奇声が耳に残るガレージナンバー。MC5「Boderline」はメジャーデビュー前のシングルから。イギー&ストゥージズ「I Got A Right」はアルバム『ロウ・パワー』セッションから。 ニューヨーク・ドールズ「Pills」はボ・ディドリーのカバーでデモ・バージョン。
モダン・ラヴァーズ「She Cracked」はキム・フォーリーがプロデュースのデモ・バージョン。 そのキム・フォーリー「Ain't Got No Transportation」はアルバム『Animal God of The Street』から。ロッキー・エリクソン「Two Headed Dog」は1975年のシングルから。ラモーンズ「LOUDMOUTH」はメジャーデビュー前のデモ。

デッド・ボーイズ「WHAT LOVE IS」はファーストアルバム『Young Loud And Snotty』収録曲の別ミックス。 ハートブレイカーズ「I LOVE YOU」はアルバム『LAMF』のアウトテイク。スーサイド「ROCKET USA」はファーストアルバムから。サンフランシスコのやさぐれパンク、クライム「HOT WIRE MY HEART」はファーストシングルから。サイコビリーのクランプスはVengeanceレコードから1978年にリリースした2ndシングルからのナンバー「HUMAN FLY」でアレックス・チルトンのプロデュース。

ジョニー・サンダースがウェイン・クレーマーと結成したギャング・ウォー「LONDON BOYS」はトロントでのライブテイク。ブルーオイスターカルト「CITY ON FLAME WITH ROCK'N'ROLL」はヘヴィなリフのナンバーでニューヨークでのライブテイク。BOCはこのコンピでは異色かもしれないが、キーボードはパティ・スミスと一時期恋人だったアラン・レニアーで、初期にパティは歌詞も提供している。またプロデュースは後にクラッシュのセカンドアルバム『動乱』をプロデュースするサンディ・パールマン。

女装の怪人ウェイン・カウンティの「MAX'S KANSAS CITY '76」、センダースのストロングR&Bパンク「THE LIVING END」、サンフランシスコの“パブロッカー”ともいえるフレイミン・グルーヴィーズ「SLOW DEATH」の全21曲を収録。どの楽曲もプロトパンク、パンクの幕開けを伝えてくれる。

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