OMNIBUS a Go Go Vol.60『LIVE AT THE VORTEX』
Vortexクラブは1977年7月4日オープン。オープニングギグはマンチェスター勢のバズコックス、フォール、ジョン・クーパー・クラークに、ゲストがジョニー・サンダーズ&ハートブレイカーズだった。翌1978年3月に閉店するまで、スージー&ザ・バンシーズやスリッツ、シャム69、ジェネレーションX、アドヴァーツ、999、オンリーワンズ等、数多くのパンクバンドが出演した。
このライブオムニバスは1977年10月10日と10月11日に録音されたもので、10日の出演者は、
The Wasps
Bernie Tormé
Maniacs
Neo
Mean Street
Raped
11日の出演者は、
Johnny Curious
Art Attacks
The Suspects
だったが、The Raped、Johnny Curiousは収録されていない。
ワスプスの「Can't Wait Til'78」とミーンストリート「Bunch of Stiffs」はこのアルバムからシングルカットされた。ワスプスはもう1曲ヴェルヴェッツの「Waiting For My Man」のシャープなカバーを収録。骨太な演奏かつニューウェイヴィーなギターフレーズもとびだすネオは「Small Lives」と「Tell Me Please」の2曲。ギタリストは後にUltravoxに参加するRobin Simon。
個人的にはバーニー・トーメが聴きたくてこのアルバムを随分探したものだ。元ディープ・パープルのイアン・ギランはバーニーをギタリストに迎え、バンド名をGILLANと変えてNWOBHM旋風吹き荒れる1979年末から1980年のイギリスのハードロックシーンに名乗りをあげ成功を収める。バーニーもその名を知られていったが、このオムニバスアルバムに録音された演奏は、バーニーのソロ(というかBernie Torme Band)の1stシングル(1978年)リリース前の最初期のプレイが聴ける。
収録されているのはそのへんのパンクバンドよりスピード感に溢れた「Living For Kicks」とラフなロックンロール「Streetfighter」の2曲。もちろんギターもキレてる。Phil Spalding(後にMike Oldfield、Toyah、Original Mirrors)のベースとMark Harrison(後にThe Nipple Erectors)のドラムによるスリーピースの演奏だ。ハードでありながらパンキーで、アームを多用したバーニーのギタープレイは好き嫌いが分かれると思うが、バーニーしか出せないユニークなサウンドだ。
Edwin Pouncey(Savage Pencil)のボーカルが強烈な印象を残すアートアタックスは「Animal Bontage」と「Frankenstein's Heartbeat」の2曲。マニアックスは元リングのAlan Lee Shaw(ボーカル・ギター)とRod Latter(ドラム)にベースのRobert Crashのスリーピース。キリキリした緊張感も感じられる「You Don't Break My Heart」、激烈な叫びのパンクロック「I Ain't Gonna Be History」の2曲。 他にサスペクツの「Nothing To Declare」を収録。