OMNIBUS a Go Go Vol.63『LIVE STIFFS LIVE』

スティッフ・レコーズはレコーディングスタジオも備えたパブ、ホープ&アンカーを経営していたデイヴ・ロビンソンと、Dr.フィールグッドのロードマネージャ等をしていたジェイク・リヴィエラによって1976年に設立されたインディペンデントレーベルで、最初のリリースは1976年8月ニック・ロウのシングルだった。

その後エルビス・コステロ、パブ系のレックレス・エリック、ルー・ルイス、イアン・デューリーらに加え、ダムドやアドヴァーツといったパンクバンド、リーナ・ラヴィッチ、カースティ・マッコール、プラズマティックス、トレイシー・ウルマン、マッドネス、ポーグス、アメリカのディーヴォやNYパンクのリチャード・ヘルのシングル等、様々な音源をリリースした。

この『LIVE STIFFS LIVE』はスティッフ黎明期、ニック・ロウ、エルビス・コステロ、イアン・デューリー、レックレス・エリック、ラリー・ウォリスの5アーティストが参加して1977年10月~11月におこなわれたレーベル・パッケージツアーの模様を収録したコンピレーションで1978年2月にリリースされた。ジャケット裏にはイースト・アングリア大学、レスター大学、ロンドン・ライシアムが録音場所として記載されている。

コズモ・ヴィニールによるMCでニック・ロウが紹介されてアルバムは始まる。ニック・ロウはデイヴ・エドモンズやラリー・ウォリス等と共に“Nick Lowe's Last Chicken In The Shop”名義で デイヴとのダブル・ボーカルも気持ちいい軽快なナンバー「I Knew The Bride」(80年代に入ってアルバム『The Rose Of England』でスタジオ録音が発表された)と、こちらもグッドロッキンナンバー「Let's Eat」の2曲。ダブル・ドラムの迫力も堪能。

元ピンク・フェアリーズのラリー・ウォリスのセットになると同メンバーで名義を “Larry Wallis' Psychedelic Rowdies”と替えて演奏し、ここではデンジャラス&マイナーコードの「Police Car」を収録。レックレス・エリックはドラムになんとイアン・デューリーを迎え“Wreckless Eric & The New Rockets”名義でヘヴィなトーンの「Semaphore Signals」(ファースト・シングルB面曲)と、こちらはR&B調の「Reconnez Cherie」の2曲。どちらもシニカルで強力なダミ声を披露している。

エルビス・コステロはこのツアーの前1977年7月にファースト・アルバム『MY AIM IS TRUE』をリリースしていたが、自身のバンド、アトラクションズを編成しライブに臨んだ。バカラック/デイヴィッドのナンバーで素敵なバラード「I Just Don't Know What To Do With Myself」、ファーストアルバムにも収録されていた「Miracle Man」の2曲。

イアン・デューリーもまたツアー直前の9月にファースト・アルバム『NEW BOOTS AND PANTIES!!』をリリース後、自身のバンド、ブロックヘッズを編成している。メンバーはサックスに旧友のデイヴィー・ペイン(レックレスのバンドにも参加している)、ギターのチャズ・ジャンケルに加えて “LOVING AWARENESS”というバンドにいた4人、ミッキー・ギャラガー(Key)、ジョン・タールブル(G)、ノーマン・ワット・ロイ(B)、チャーリー・チャールズ(Dr)だった。ファーストアルバム収録のファンキーで最高な「Wake Up And Make Love With Me」、コミカルなムードの「Billericay Dickie」の2曲に、ラストは出演者総出でデューリーの「Sex & Drugs & Rock & Roll & Chaos」。各アーティスト入り乱れてのカオス…でもなくトリプルドラムの迫力ある演奏。

ツアーの模様はドキュメンタリー映像『IF IT AIN'T STIFF...IT'S WORTH A…』として公開された(たぶん未商品化だがブートは存在する)。この映像にはライヴ・アルバムに未収録の楽曲が収められているし、乱痴気騒ぎを繰り広げる他の参加者を嫌そーに冷たく眺めるエルビス・コステロが印象的だ。

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