OMNIBUS a Go Go Vol.72『DANCE CRAZE THE BEST OF BRITISH SKA…LIVE!』

1981年2月に2トーン・レコードからリリースされたライブ・オムニバスで、イギリスのネオ・スカ・シーンを追った同名ドキュメンタリー映画のサウンド・トラック・アルバム。

パンク後のイギリスでは様々なシーンが現れたがネオ・スカ(スカ・リヴァイヴァル)もそのひとつ。スピードは速く、オリジナル・スカよりもエッジーなアレンジ、メッセージ性もありつつ、ユーモラスでエンターテイメント性もある。もちろんこのアルバムのタイトルどおりダンス音楽でもある。

2トーン生みの親、ジェリー・ダマーズ率いるスペシャルズはパンキーな「Concrete Jungle」、 スリリングな「Man At C&A」、「Nite Club」の3曲。スリムでシャープな演奏を聴かせてくれる。バーミンガムからのザ・ビート(アメリカに同名のバンドがあることからイングリッシュ・ビートとも記載される)は、「Mirror In The Bathroom」、「Big Shot」、「Ranking Full Stop」の3曲。デイヴ・ウェイクリングとランキン・ロジャーのツイン・ボーカル、コーラスが魅力。演奏力も高い。スキン・ヘッドで巨漢のボーカリスト、ブラッド・ヴェッセルがフロントマンのバッド・マナーズは「Lip Up Fatty」、「Inner London Violence」のエネルギッシュながら軽快なダンス・ナンバー2曲。

女性ボーカリストのポーリン・ブラック擁するセレクターは「Three Minute Hero」、「Missing Words」、「Too Much Pressure」。 スペシャルズにも通じるシャープなサウンドとポーリンの響きの良いボーカルが魅力だ。女性7人組のボディ・スナッチャーズは映画では数曲フューチャーされていたと思うが、「Easy Life」1曲のみ。コーラスもキュートなナンバー。2枚のシングルリリースで解散してしまうが、ボーカリストのローダ・デイカーはスペシャルAKAへ、他のメンバーはベル・スターズを結成する。

ポップでタイトな演奏を聴かせてくれるマッドネスは「Razor Blade Alley」、「One Step Beyond」、「Night Boat To Cairo」が収録されていたが、1990年のCD化の際(右上のジャケ写はCD版)には契約の関係で収録されず、替わりにスペシャルAKAのライブEP収録曲「Too Much Too Young」、「Guns of Navarone」、「Skinhead Symphony(Long Shot Kick De Bucket~The Liquidator~Skinhead Moonstompのメドレー)」とセレクターのシングルB面に収録されていたライブトラックの「Carry Go Bring Come」が収録された。
映画やこのオムニバスでも重要なポジションになっていたマッドネスがCD版には収録されていないのは残念だが、 2トーン/スカ・リヴァイヴァルの最盛期のライブを伝える好オムニバスだ。

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