IAN McCULLOCH「BIRDY」
イアン・マッカロクが1992年にリリースした2枚目のソロ・アルバム『ミステリオ』も前作同様ボーナストラック追加、2CD仕様で再発されている。
このアルバムを聴くのは初めて。『キャンドルランド』は気に入っていたと思うし、来日公演も多分楽しめたと思うのだが、1992年当時はバニーズ関係はもういいかなぁという感じで買わなかったんだろう。1990年にはイアン抜きのバニーズ(ノエル・バークがボーカリスト、デイモン・リースがドラム)のアルバムが出たり(一応聴いた)、イアンと他のバニーズのメンバーの確執もあったりで興味は他に移っていたんだと思う。そんなことで1990年の後購入したバニーズ関係の音源は91年にリリースされたBBCライブ、4枚組コンピ『クリスタル・デイズ』(2001年)、『ライブ・イン・リヴァプール』(2002年)、25周年のエキスパンド・オリジナル・アルバム・シリーズ(2003年)くらい。
前作『キャンドルランド』で強かったジェントルな面は影を潜め、ダンサブルでコンテンポラリーな意識もあり、打ち込みサウンドの使用も継続しつつ、バンドサウンドに戻ったように思えるが、その分かつてのバニーズとの比較をしてしまう曲もあり、焦点が絞りきれていない印象。まぁ全体的に悪くは無いが、これだといえる曲を選ぶのも難しい。
シングルにもなった「Lover Lover Lover」これが一番の気もするけどレナード・コーエンのカバーだし、 コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーがバッキング・ボーカル、ロビン・ガスリーのプロデュース、アズテック・カメラのロディ・フレイムがギターで参加している「Heaven's Gate」、これも少し弱い。
というわけでCDシングル「Lover Lover Lover」のカップリング曲で、このリイシュー盤ではディスク2に収められている「Birdy」という曲を選んだ。この曲のプロデュースはコクトー・ツインズのロビンで、前作にも通じる静謐でジェントリーでメロディアスな曲。イントロのライド・シンバルに絡まるギターの音色、深いイアンのボイス、これがやはりイアン・マッカロクの世界ともいえる。 結局ソロのイアンにはこういう曲を望んでしまうな…。この曲にもエリザベスを参加させて欲しかった。
CDシングル「Lover Lover Lover」にはもう1曲ロビンのプロデュース曲「Ribbons And Chains」が収められている(このリイシューにも収録)が、こちらも良い曲だ。
ディスク2にイアンとウィル・サージェント作の「History Chimes」という未発表録音が収められていて、アップテンポで軽快な良い曲なのだが、後のバニーズのアルバム『ウィズ・ユア・ライフ』(1999年) 収録曲の初期バージョンといっていいのだろうか。
その他エルビス・プレスリーのトリビュート・アルバム『ラスト・テンプテイション・オブ・エルビス』(1990年)に参加した「Return To Sender」(好カバー、このエルビス・トリビュートは参加アーティストが豪華で名演多し)、レナード・コーエン・トリビュート・アルバム『アイム・ユア・ファン』(1991年)参加曲「Hey,That's No Way To Say Goodbye」、そのプロモCD『モア・ファンズ』に収録されていたというやはりレナードのカバー曲「There Is A War」も収録。
今回のエドセルからのイアン・マッカロク・ソロ再発は2枚購入してから気付いたのだけれど、 『SLIDELING』も1CDの“EXPANDED EDITON”として同時に再発されていた。