OMNIBUS a Go Go Vol.82『PILLOWS & PRAYERS 2』

日本独自企画で新星堂シリウスコレクションから1984年12月にリリースされたチェリー・レッド・レコードのコンピレーション“Pillows & Prayers”第2集。前作が好評・好調だった為に日本側から続編制作を持ちかけたようだ。第1集を企画したA&Rマイク・オールウェイがチェリー・レッドを離れていた為、イアン・マクネイが曲をリストアップした。

アルバムはマリン・ガールズ「Place In The Sun」で始まる。続くジェーンの「It's A Fine Day」はジェーンのヴォーカルのみで録音されているのだが、素晴らしいトラックでこのアルバムのハイライトとも言える。このアルバム発売後しばらくたってからだと思うが、クリネックス・ティシューのCMにこの曲が使われた時に奇怪な噂が流れた事があった。

ファクトリーからも音源をリリースしていたケヴィン・ヒューイック「Feathering The Nest」は、ギターとボーカルだけのゆったりとしたナンバーだが、なかなかエモーショナルなギターソロも聴ける。ファンタスティック・サムシング「If She Doesn't Smile」はS&Gを思い出してしまう、小粒だけどサニーサイドで素敵な曲。アイレス・イン・ギャザは実験的ながらもポップな「New Risien」、モノクローム・セットはガレージというかマカロニ・ウェスタンも連想させる「Jet Set Junta」、1985年には日本に移り住んで活動をするモーガン・フィッシャー「Un Hamme Et Une Femme(男と女)」は、1983年リリースのアルバム『シーズン』からのご存知フランシス・レイの映画音楽。

フェルト「Penelope Tree」はもう完全にトム・ヴァーレインのフォロワーだけど美しい調べ。名曲。そのフェルトのギタリスト、モーリス・ディーバンクのソロアルバムからは耽美的ともいえる「The Watery Song」が収録されている。グラブ・グラブ・ザ・ハドック「I'm Used Now」は、マリン・ガールズ解散後にアリス・フォックスとジェーン・フォックスが新たに結成したグループのキュートな曲。

以上紹介した曲はアナログLPとCD(2000年に『Pillows & Prayers』との2枚組でCD化された)共通だが、両者では収録曲が異なる。

アナログLPにはB面の1曲目にエブリシング・バット・ザ・ガールの超名曲「Each And Everyone」、B面3曲目にドイツのダイ・ツワイのヴォイス多重録音「Skyliner」、B面6曲目に打ち込みを使用しつつジャジーな雰囲気のスワロウ・トング「Animation」が収録、7曲目にはエクストラ・トラックとして「The Compassion & Humanity of Margaret Thatcher(マーガレット・サッチャーの哀れみと人間性)」というサッチャー政権への抗議の意味を込めた、当時の政治的な背景を感じさせる1分間の沈黙=無音トラックが収録されていた(日本独自企画ということではあるが、国際的な抗議の喚起の意味合いもあったのだろう)が、いずれもCD化の際カットされている。

CDにはイン・エンブレイスのシンセサイザーとアコースティック、コーラスがミックスされ、ゆったりとした「Shouting In Cafes」の他、ベン・ワット&ロバート・ワイアット「Walter And John」、ファイブ・オア・シックス「Anothre Reason」、レッド・ボックス「Chenko」が収録された。

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