OMNIBUS a Go Go Vol.86『AMERICAN HARDCRE History of American Punk Rock 1980-1986』

2006年に公開されたドキュメンタリー映画『AMERICAN HARDCORE History of American Punk Rock 1980-1986』のサウンドトラック盤。日本では2006年末から2007年初頭にかけて公開されたが、このサントラ盤の国内盤のリリースは2006年12月。

バッド・ブレインズ、ブラック・フラッグを初め、マイナー・スレットやサークル・ジャークス、SSディコントロールなど、USハードコアの演奏シーンも交えつつ、バンドのメンバー、関係者のインタビューによるUSハードコア勃興、全土への伝播、1986年のブラック・フラッグのラスト・ツアーをハードコアの終焉として捉えた映画は非常に興味深い内容だ。

初期衝動から興奮の頂点へ、徐々に衝動から醒めていく過程を描いているともいえる。中にはマッチョで殆ど単なる武勇伝みたいな証言もあるが、フラストレーションと憎しみ、日常的なヴァイオレンス、子供じみた悪戯、アンダーグラウンドなステージ、DIY、ノー・ファッション、ノー・センチメンタルが映し出されるタフな内容だ。この映画を見てると何故こんなにヒリヒリした音が生まれ、演奏されてきたのか少し理解できる気がする。映画の元になったスティーブン・ブラッシュの本も読み応えがある内容だ。

そしてこのサウンドトラック盤もUSハードコアの好サンプラーとなっている。なんといっても1曲目のブラック・フラッグ「Nervous Breakdown」から、ミドル・クラス「Out of Vogue」、バッド・ブレインズ「Pay To Cum」へ続く冒頭3曲には痺れる。この3バンドのデビュー盤シングルの名曲を並べたのは豪華というか快挙というか選曲が素晴らしい。これだけでも言う事なしだが、他にもカナダのD.O.A.「Fucked Up Ronnie」やSSディコントロール「Boling Ponint」、アドレセンツ「I Hate Children」のデモや、映画のエンドロールで使われるフリッパー「HA HA HA」まで全26バンドを収録。

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