OMNIBUS a Go Go Vol.87『CREATION:FLOWERS IN THE SKY 1984-1987』
アラン・マッギーが1983年に始めたクリエイション・レコードの初期コンピレイションで1988年のリリース。初期クリエイションと言えばマッギーがマネージャーもしていたジーザス&ザ・メリーチェインのシングルが重要だが、このコンピには収録されていない。
収録曲の中では個人的にはなんといってもハウス・オブ・ラヴの「Shine On」だ。1987年5月にリリースされたハウス・オブ・ラヴのデビュー・シングルで彼らの代表曲。1970年代末からのUKニュー・ウェイブ/ネオ・サイケデリック(ジョイ・ディヴィジョンやバニーメン、キュアー等) のエッセンスを凝縮したともいえる名曲。後にフォンタナに移籍してからリメイクし、1990年にシングルでリリース、UKチャート20位のヒットとなった。どちらも基本的には同じアレンジで、よりタイトになり高揚感が増したフォンタナ・バージョンも素晴らしいが、柔らかなストローク、ドラムのロールから鋭利なギターが空間を切り裂くイントロを持ったオリジナル・バージョンも魅力のあるものだ。初期メンバーの紅一点アンドレア・ホイキャンプのコーラスが光るギターソロ後のアレンジも聴きどころ。
プライマル・スクリームは初期の2枚のシングルから1985年のデビュー曲「All Fall Down」と2枚目のシングルのカップリング曲「Velocity Girl」。後々のプライマルが想像つかない、どちらも繊細なギター・サウンドのショート・チューン。このアルバムのタイトルはクリエイションの2枚目のシングルリリースとなるリヴォルヴィング・ペイント・ドリームのシングルからと思われるが、同曲はこのコンピには収録されておらず、カップリングの「In The Afternoon」が収められている。ジャスミン・ミンクスはレーベル4枚目のシングルリリース「Think!」と1986年のシングル「Cold Heart」の2曲。
アラン・マッギーのバンド、ビフ・バン・パウ!は「Better Life」と「Love's Going Out of Fashion」の2曲で手作り感あり。ビフ・バン・パウ!にも参加していたジョー・フォスターのスローター・ジョーはノイジーな「I'll Follow You Down」と素朴ながらキラキラした「She's So Out of Touch」の2曲で、どちらもヴェルヴェット・アンダーグラウンドを感じさせる。パステルズはクリエイションからの2枚目のシングルでポップな「Million Tears」。なかなか渋いメロディを聴かせるロフトは2枚のシングル曲「Why Does The Rain」と「Up The Hill And Down The Slope」、チェリーレッドから移籍したフェルトは2曲のシングル曲で軽快な「Ballad of The Band」と12インチのみだった静謐な「The Final Resting of The Ark」。
他にボディーンズ、フィル・ウィルソン、ブロウ・アップ、エルからクリエイションに移ったモーマスを収録しているが、どれも聴きやすい。