岡崎友紀「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」
数年前に気になって欲しいなと思って探すと中古CDが高値で取引されていたので、再リリースを待っていたのだが、ようやくリマスタリング、紙ジャケ、ボーナス・トラック3曲入り、SHM-CDで復刻された。
シングル・カットもされた「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」はサウンド的にはロネッツの「Be My Baby」を意識したというが、初めて聴いた時にはトレイシー・ウルマンの楽曲と同様のドライヴィング感覚と爽やかさ、甘酸っぱさを感じたものだ。曲を引っぱるベースライン、重ねられた幾つものキーボード、気持ちのいいギターのストローク、タンバリンやハンドクラップなどに彩られた豊かな音像は魅惑的だ。ギターソロでのロー・ポジションのフレーズやサックスソロも効果的。このあたりは今回のリリースでボーナス追加となった同曲のインスト・バージョン(2001年リリースの4曲入CDから)でも充分堪能できる。もちろんほぼヴィブラートのないキュートなヴォイスで歌われるメロディも最高な、安井かずみ/加藤和彦作のジャパニーズ・ポップスの至宝。
このアルバム、オリジナル・アナログでは10曲中、6曲を加藤和彦がプロデュースをしているが、安井かずみ/加藤和彦作は「ドゥー・ユー~」の他、ロカビリー風味「ウォッカ・ツイスト」、「ドゥー・ユー~」に似た雰囲気を持つ「You Make Me Happy」、加藤のソロに通じる味わい「メランコリー・キャフェ」の4曲。あと2曲がカバーで安井が日本語詞をつけたシルヴィ・バルタンの「アイドルを探せ」、幾重にも重なったギターが印象的なストーンズの「As Tears Go By」。こちらは英詞のままで歌われている。
残り4曲は牧村憲一と清水信之のプロデュースによるものでオーケストレイションを主体にしたアレンジ。大貫妙子/竹内まりやによる「雨の街」、大貫妙子作「恋のジャック&クイーン」、岡崎友紀が作詞「さよなら・for you」、岡崎作詞作曲の「タキオン」で、加藤プロデュースとは違う触感。なかでも「タキオン」はアルバムの他収録曲とは異なる壮大なイメージの歌詞で、聴き応えある6分半の曲だ。
ボーナストラックには先の「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」のインストバージョンの他、 安井/加藤作の「ジャマイカン・アフェア」と「ラブ・ストーリー」を収録。