My Wandering MUSIC History Vol.15 THE STRANGLERS『LIVE (X-CERTS)』
このストラングラーズのライブ・アルバムが一番最初に聴いたパンク・アルバムまたは気に入ったパンク・アルバムだったと思う。右上のジャケ写は発売時のイギリス盤と同じ後のCD盤のものだが、日本では1979年2月の来日に合わせて、黒地に大きく赤いバンドのロゴと鼠のシルエットが黄色く描かれたジャケットに変更し、さらに1stアルバムの英初回盤に付いていたシングル収録曲の「Choosey Susie」と3rdアルバムの英初回盤に付いていたシングル収録曲の「Mean To Me」の2曲をカップリングした7インチ・シングルを付属した来日記念盤『X-Certs(Xサーツ)』として本国に先駆けて先行リリースされた。たぶん発売されてすぐに友人に借りて聴いたと思う。
シンプルな構成で迫力ある日本盤ジャケットにも魅かれたが、冒頭1曲目「(Get A)Grip(On Yourself)」が始まり、気に入ったのは硬質なベースの音色と印象的なキーボートのアルペジオの旋律、それに畳掛けるように歌うヒューのヴォーカルだった。他の楽曲「Hanging Around」や「I Feel Like A Wog」、「Straighten Out」、「5 Minutes」、「Go Buddy Go」なんかでもソリッドでシンプル、それでいてパワーのある魅力を感じた。ヒューが弾くテレキャスターはナチュラルなディストーションの音色じゃなくジャリジャリと鋭く歪んでいて、メロディアスなギター・ソロもない、コードをかきむしるか単音でフレーズを奏でる楽器のひとつ、という印象で新鮮だった。
それに歌の内容も“悪魔が~”とか“暗闇で血塗られた惨劇~”とか、そういう内容じゃなくて、ロックンロールを楽しむっていうのが基本にはあるんだろうけど、 “ちょっと考えてみろよ”、“世間じゃそう言われてるけどほんとにお前はそれでいいのか?” というスタンスや時事的な話題も盛り込んだ歌詞にも興味をもった。まぁストラングラーズの場合「Death And Night And Blood(Yukio)」のような少し?な曲もあるけど。
オリジナル・アナログ盤は11曲入りで1977年ラウンドハウスと1978年バターシー・パークでのライヴを収録。ジャケットは1978年9月のバターシー・パークでのストラングラーズのステージに登場したストリッパー達(「Nice'n' Sleazy」演奏中に踊りながら服を脱いでいく演出で、なかなか刺激的なもの)を報じる記事を握り潰すデザイン。